歯科治療8年の苦労ばなし 1

 

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 歯の治療を始めて、今年の夏で8年になります。
 
まだまだ治りそうもありませんが、
 
やっと、1年くらい前から徐々に回復に向かっているような気がしてきました。
 
開業医の歯医者で2年半、その後、大学病院へ転院してから5年半です。
 
大学病院では、私同様に歯で苦労している沢山の人達を見て、
 
驚きもし、安心もしました。 私一人だけでないという安堵感です。
 
苦しさを他の人と分かち合えるのは、心の支えになると思います。
 
初めは自分自身の心の整理のために書いていた文章ですが、
 
他の方にも読んでいただきたくて、ブログを始めることにしました。
 
過去の治療の記録をもとに、5年前から書き貯めたものです。
 
週間連載で載せていきたいと思っていますので、
 
もし興味があれば続けて読んで下さいね。
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                                      「歯科巡歴の記ー蟻地獄に落ちた」
     
         第一章   蟻地獄に落ちた  
  
                        一   松葉杖に至る道 
  
「神経ブロック三回とも効果ないし、鎮痛剤も効かんし、どうしたもんかな」
 
「他に方法はないのですか?」
 
「向こうの病院の主治医はどう仰ってます?」
   
「ええ…どうして良いか分からないと…」
   
 整形外科ではかなり名を売る大病院だ。開業医や小さな病院で手に余る患者が送られてくる。
 
隣の診察室の会話が漏れ 聞こえた。
 そんな気の毒な人もいるのだ。その時は他人事だと思っていた。三軒目に行った整形外科で
 
の初診の日のことだった。
 
 
 
 初診から一カ月後、三回目の神経ブロック注射を終え、支払いをしていた。
 
「大丈夫ですか! 車いす持って来て! 患者さんが倒れました!」
 
「大丈夫です。少し横にならせていただけますか」
 
 突いていた松葉杖を取り落とし、その場に倒れ込んでしまったのだ。
 
 前の二回の神経ブロック注射も、一回目は左脚、二回目は臀部の感覚が鈍くなった。痛いの
 
は右脚。今度こそは三度目の正直と期待していた。しかし、左上半身に効いている。
 
腰から左肩、左手先と痺れてきた。血圧も上がっているらしい。いったいどういうことだ。
 
心臓のある左側に効いている。不安だ。自宅に帰っても誰もいない。
 
 夫が帰宅する時間まで病院で寝かせてもらうことになった。
 
 午後九時頃、血圧が一七十まで下がった。看護師は引き留めたが友人に迎えを頼んだ。
 
 注射の副作用なのか、頻尿に、逆に便は自力では出なくなる。長らく回復しなかった。
 
 
 
 歯の治療ミスで体全体の筋肉が引き攣ったのが、松葉杖の始まりだった。
 
 当の歯医者はお手上げで知らんぷり。大病院の歯科医は、筋肉と歯の関連は最近やっと解り
 
だした最先端のことなので知識がないと言う。
 
 整形外科へ行った。脚の筋肉が攣っている元の原因は首から上の筋肉の緊張だから、
 
歯科へ行くようにと紹介状を書いてくれた。原因が首から下の筋肉にあれば整形外科、首から
 
上の筋肉なら歯科の領域になるらしい。途方に暮れた。
 
 二年半、どこへ行って良いか解らず我慢していた。右の股関節、大腿部、膝から下へと
 
痛みが拡がり、ついに痛くて股関節や脚に体重が乗らず長くは歩けなくなった。しばしば町中で
 
立ち往生する。
 
 自力では治らないと観念して、二軒目の整形外科へ行った。しかし、医師の指示通り
 
筋肉トレーニングをしたのに、むしろ悪化して松葉杖が必要になってしまった。
 
 右脚太股の内側の筋肉が攣って、股関節のところで体が横に“く”の字に歪んでいる。右脚や
 
右股関節が痛いのは、どこかで神経を圧迫する為のようなのだが、正確な場所は分からない。
 
神経を直接刺激される痛みには鎮痛剤は効かない。二軒目の整形外科医は、場所が特定でき
 
ないので、仕方がないから患部にヒットするまで、目くらめっぽう、ただ順番に脊椎に
 
神経ブロックをしようと言う。
 
 セカンドオピニオンを聞きたくて、三軒目の整形外科へ行った。患部が特定できるらしい。
 
すぐ、その病院へ転院した。が、そこで神経ブロック注射に失敗、さらに重傷になった。
 
整形外科と歯科に通院する以外は、ほとんど寝たきりの生活になってしまったのだ。
 
 
    二 脳に記憶された痛み
 
「脚の調子はどうですか。神経の痛みは、痛みの中で一番痛いと言いますからね」
 
「ええ、歯の痛みには鎮痛剤が効いて息抜きの時間があります。
 
まだましだというのが分かりました」
 
 歯科病院の歯科医に慰められる。
 
 右脚が痛いので車の長距離運転は危険だ。往復六時間、電車とバスを乗り継ぎ、やっとの
 
思い大学歯科病院に通う。今日だけ、一日だけ頑張ればいい。明日からまた横になっていれ
 
ば良い。そう心を奮い立たせ、シャキッと歩いているつもりなのだが同情を買ってしまう。
 
左一本の松葉杖なのだが、よたよた歩く姿は痛々しく見えるのだろう。
 
 
 
「歯を治療していただくと脚の痛みが強くなるのですが、どういうことでしょうか」
 
「ああ、歯を治療すると、脚だけでなく手が痛くなると仰る患者さんもいらっしゃいますよ」
 
「えっ! そうですか?」
 
「詳しいことは良く分かりませんが、そういうことがあります」
 
「あのう、先生は、脳の感覚領域を表したホムンクルスの図をご存じですか。
 
義手の人が、ないはずの指の感覚を頬や肩に感じる原因を説明できるらしいのですが」
 
「ええ、あの小人の絵ですね」
 
「脳の感覚受容帯で領域が隣り合っている器官の感覚神経が混線するとか」
 
「最近は、いろいろ難しいことが解ってきましたね」
 
「ええ、でも私だけが変なことを言っているのではないとお聞きして、安心しました」
 
「同じようなことを仰る患者さんは何人もいらっしゃいますよ」
 
  脚の痛さは増していたが気分は軽くなっていた。
 
 それにしても、脳の中で神経が複雑に関係しているというのは厄介である。
 
 ながらく治療しても歯の痛みが取れない。
 
 「この歯二本抜いてください。何年も痛いままです。治らないのなら抜いて下さい」
 
 「抜いても、隣の歯に痛みが移るだけです。その歯を抜くと、その隣と次々に抜いていかなけれ
 
ばなりません。この歯で持ち堪えるのが良いのです」
 
 幻肢痛ならぬ、幻歯痛だと言う。既に痛みが脳に記憶されているらしい。痛い歯を抜いても
 
痛みの記憶は脳に残り、その痛みは隣の歯に出てくるというのだ。
 
 いったい、この先どうなるのだろう。
 
「詳しいことは、まだ、わかっていません。慢性痛の患者さんは大勢います。
 
日常生活で、なにか痛みを紛らせ気分転換できることを見付けて下さい」
 
「歯がこうなって朗読ができなくなりました。その替わりに、この体験を文章にしています」
 
「あまり詳しく思い出さない方が良いですよ。書きたければ構いませんが、
 
無理に書かない方が良いです」
 
  原因になる辛い経験を思い出すのは、それを復習することになる。脳での記憶が強化され
 
痛みや恐怖が消えないらしい。
 
 
 
 七年前、十年ぶりに歯医者へ行った。これが間違いだった。
 
 第一、痛くも痒くもないのに、虫歯の味がするというだけで、歯医者へ行った。
 
 第二、名医か藪か調べもせず、歩いて二、三分という利便性だけで歯医者を選んだ。
 
 第三、これが致命的なのだが、私自身が歯について、まったくの無知だった。
 
 一軒目の歯医者で治療後、本当に歯が痛くなった。その後、十人以上の歯医者に診てもらっ
 
たが、あちこち触られ、ますます大事になって、歯科だけでは済まなくなった。
 
 今は大学付属の歯科病院で十四人目と十五人目、二人の歯科医の治療を受け、
 
整形外科へ脚のリハビリに通う。
 
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                                                                                                 つづく
 
                       
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歯科治療8年の苦労ばなし 1 への3件のフィードバック

  1. Unknown より:

    はじめまして。かよこサンのところから、飛んできました。
    白い花サン(と呼ばせてもらいます)の名前は、そらサンの掲示板でも拝見しましたが。
    第一章、読ませてもらいました。とんでもないことが、起きたんですねぇ。
    ちょっとピアノさん(ネット仲間です)の話と似通うところが…。
    よろしければ、仲間になってください。少しでも多くの人が、白い花サンの体験を知ってほしいです。
    あ、本もお好きなようで「ほんとも(本の好きなグループ)」も大歓迎です。
     
     

  2. 白い花 より:

    有り難うございます。
    ピアノさんのお話もおききしたいので、また行かせていただきますね。
    ”花とも”か、”本とも”に参加させていただこうかなあと考えています。
     

  3. Unknown より:

    白い花サン、ありがとうございます。メール、送らせて貰います。

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