歯科治療8年の苦労ばなし 4

                                                                              
                                          
 上の写真はキルギスの首都ビシケクの町中、
 
大きな柳の木の木陰にテーブルと椅子を並べたカフェでお茶をしているとき、
 
ずぼらにも椅子に腰掛けたまま撮りました。
 
 スプリントの調子が、今週は良くありません。
 
月曜日に再調整していただいてから、喉が苦しくなりました。
 
来週、月曜日に、また調整していただくことになっています。
 
 今日は、大病院の先生の指示で、紹介状を持って、二軒目の歯医者を、
 
再び訪ねるところからです。
                 
                  
               「歯科巡歴の記ー蟻地獄に落ちた」
    
      第六章  再び二軒目の歯医者へ
 
            一  地獄から天国     
 二軒目の歯医者を選んだものの気が進まない。気持ちを奮い立たせ、やっと電話した。
 
「あの…」
 
「ああー、僕も気になっていて、一度電話しようと思っていました。自分の勉強のためにも、
 
その後の様子を知りたいし、ブリッジの代金十七万円も返さないといけないし…」
 
 気分が軽くなる。ブリッジは外して、二軒目の歯医者が保管していた。
 
 紹介状を持って二軒目の歯医者へ行った。
 
「左奥の第二大臼歯は、抜く必要はありません。大病院の先生は口腔外科的発想で
 
抜きたがるのです。このままで、しばらく薬を付けて治療をすれば良いですよ。
 
削ったりする必要も、まったくありません」
 
 三軒目の歯医者の治療跡を見て独り言のように言った。
 
「それにしても、左下の歯二本、こんなに触って深く削ってしまって…
 
中で、まだ出血してますね。しかも、左上の虫歯と、他の健常な歯まで、ここまで削って、
 
ようこんなことするわ…」
 
 あらためて三軒目の歯医者に腹が立つ。どんなに悔んでも削ってしまった歯は元には
 
戻らない。悔しい。そんな歯医者を選んだ自分にも腹が立ち情けない。どうすれば良かった
 
のだろう。これからどうなるのだろう。
 
 三軒目の歯医者での、たった二週間の治療で事態は急転、量的にも質的にも以前とは
 
比較にならないほど深刻になった。治療の対象がブリッジ一組から上下五本になり、
 
削りすぎて短くなった歯が何本も残る。この削りすぎた歯のために事態はますます複雑で
 
困難なものになったと、後で知る。
 
 二軒目の歯医者で炎症の治療ができたとしても、それから後、形の細工が上手な歯医者を
 
捜さなければならないかもしれない。どうすれば見付けられるのか。この歯医者をどういう
 
ふうに辞めればいいのか。そんな気持ちで治療をしてもらうのは後ろめたく、ますます気が
 
滅入る。
 
 そんな思いを知ってか知らずか、歯医者は優しく親切で、治療時にも痛みはまったくない。
 
三軒目の”ロマノ”に比べると、地獄から天国に来たようだった。
 
 
 
  治療の長引くのがストレスなのか。知らぬ間に歯が悪くなる。
 
 こんなに頻繁に歯医者に通い、少しでも汚れると痛みが増すので食事の後は直ぐ歯を磨い
 
ている。それでも、気がつくと、右下の親不知が虫歯になっていた。それと、右下第一大臼歯
 
も被せた金属が磨り減って低く小さくなり、歯茎との間も端がめくれ隙間ができていた。水など
 
が沁みると痛い。十年程前に、この歯医者に神経を抜いて金属を被せてもらった歯だ。
 
「この二本、治療したほうが良いですよ」
 
「また、なにが起こるか分からないと思って怖いです。左側の治療がすっかり終わってからに
 
していただけますか」
 
「親不知は削らなくてはいけませんが、第一大臼歯は被せてあるのを外して、
 
新しく作り直すだけですよ」
 
「それなら、第一大臼歯だけ、お願いします」
 
「セラミックは堅いので奥の歯にはお勧めできません。金が、いちばん歯には良いです」
 
 金歯など今時、聞いたことがない。
 
「それに、あなたのような神経質な人には柔らかい金が良いと思いますよ」
 
 この金歯が上手でなくても、まあまあなら、ここで最後まで御世話になろう。
 
 ところが、出来た金歯は噛み合わせの凹凸が殆どない。
 
 迷っていた気持ちに踏ん切りが着く。最初、炎症の治療だけと思っていたのだ。
 
 その後、こんな下手な歯では噛めないのは無理もないと、他の歯医者に同情された。
 
 五万円は無駄だった。
 
 
 
            二   一度に上下五本は難しい
 
 
 金歯を被せ、その後しばらくして左奥二本の炎症の治療も終わった。T大病院の歯科医の
 
説明どおり、三カ月かかった。六月から始め、八月末になっていた。
 
「まあこんなもんですわ。慢性の歯根膜炎は残るかな」
 
「少しくらいの痛みなら仕方ありません。諦めます」
 
 三軒目の“ロマノ”に神経を削られ、歯根膜を貫通され、三時間おきに鎮痛剤を飲んで、
 
夜も満足に眠れなかった三カ月前の痛みを思えば、大したことはない。
 
 この歯医者は義歯や被せものの細工は下手だからと見限っていても、根の炎症だけ治療し
 
てもらって、後は結構ですとは言えなかった。
 
 今後の経過も、まだどうなるか分からない。ひとまず、一軒目の歯医者で外した左下ブリッジ
 
の三本と、そのすぐ上で、三軒目の歯医者が削ってしまった二本、合計上下五本の歯を
 
保険で作ってもらうことにした。一年ほど様子を見て、何事もなければ、それらを自費の歯に
 
作り替える。それが良いということになった。
 
 歯医者には申し訳ないが、その間に細工が上手な他の歯医者を見付けることもできる。
 
  いよいよ、まず左上二本の金属の被せ物ができた。
 
 被せてくれた歯を舌でそっと触れてみる。
 
 えっ!
 
 一本の歯は、被せた金属と歯茎の間に隙間があった。爪楊枝を差し込むと入ってしまう。
 
食べ物、飲み物を口に入れるたび沁みて痛い。その歯が痛くなると、一緒に被せてもらった
 
奥横の歯と下のブリッジの脚になる歯も痛くなる。これでは三カ月前に逆戻りだ。
 
 次の診察日に頼んでみた。
 
「これ、隙間があいています。作り直していただけないでしょうか」
 
「こんなもんですわ」
 
 続けて入れてもらった左下三本のブリッジも、変な形だった。三本続きのブリッジ中央の歯が
 
細くて小さい。他の二本よりも歯列から凹んでいる。食べ物を噛むと、歯列の外側に
 
食べ物が落ちて、その凹みに溜まる。噛むたび食べ物を舌で拾い集め、歯列の内側に運んで
 
こなければならない。口の内側の粘膜も噛んで痛い。高さも高すぎて、話をするたび
 
上下の歯がカチカチと当たる。高さは削って調整できるとしても、この凹みは作り替えない
 
かぎり、このままで調整できるというものではない。作り直して欲しい。
 
 難しい治療だと承知している。型を取るにも上下五本とも元の高さが分からない歯だ。
 
削る前の歯型は三軒目の”ロマノ”が保管していた。
 
 私が借りてこようかと申し出たが、要らないと言う。
 
 しかし、とても大変そうだった。
 
「一度に上下五本もですからねえ」
 
 これ以上は無理なのだ。
 
 こんなに拗れるのは、なにか私の方に他に原因があるのではと尋ねたとき、「そんなことは
 
ないですよ。たまたま運が悪いだけです。治せないのは医者の力量不足で申し訳ない」
 
そう言ってくれた。前回の十七万円も返してくれた。ブリッジと上の一本を作り直すと、儲けは
 
ないだろう。それを思うと、これ以上は頼めなかった。
 
 治療も巧い、被せ物や義歯の細工も上手、親切で良心的と三拍子揃うのは難しいこと
 
のようだ。
 
 歯は痛い。声を出すとカチカチ鳴る。口の粘膜は噛んで痛い。食事のたび食べ物を舌で
 
掻き集め歯列の中に運び込まなければならない。
 
 また、こんな事になるなんて、とても信じられない。ウソだ!
 
 
 
 そんなときだった。
 
「私も歯で大変な思いをしたのよ。あなたも歯で苦労しているって聞いて、良い歯医者を教え
 
てあげようと前々から思っていたの。とっても良い先生」
 
 年配の知人が、歯医者を紹介してくれた。
 
 口コミも当てにならない。前回で懲りている。用心したつもりだった。二度電話で話を聞いた。
 
若い人と違って、ある程度の歯医者通いは経験しているようだし、自信たっぷりの話しぶりで
 
そこまで言うのなら、大丈夫かも知れない。
 
 隙間が空いて爪楊枝が入る左上の一本だけでも作り直してくれればいい。沁みて痛みが
 
他の歯にも拡がるのが治まればいい。
 
 左下も炎症の治療は終わっているし、ブリッジも嵌っている。大丈夫だ。
 
 歯医者を替える決心をした。
 
                                      つづく
                                                                                                           
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カテゴリー: 健康 パーマリンク

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