歯科治療8年の苦労ばなし 12

                   
                                      P1000481                                              
 今回から、またキルギスの写真です。
 
上のはイシク・クルという湖です。その畔のホテルに宿泊しました。
 
湖の岸辺が、ホテルのマイ・ビーチで、そこから対岸を向いて撮りました。
 
対岸は木の後ろのずっと向こうにあります。後ろに見えるのが天山山脈。 
 
この湖は琵琶湖の9倍の大きさ、両岸を天山山脈に挟まれ、
 
本当に美しい湖です。中央アジアの真珠と言われいます。
 
ソ連時代は外国人立ち入り禁止、井上靖も見れなかった幻の湖なのです。
 
そこへ鎮痛剤を携え、杖をついて行ったのですから、我ながら呆れます。
 
 歯の調子は、先週予約外で調整し直してもらってから、まあまあですが、
 
噛めないし顎関節が痛いのは、やっぱり、低すぎるからだと思います。
 
次回、はっきり、高くして欲しいと言わなければ・・・。
 
 今回は、第10章の続き、”大きすぎる仮歯”です。
             P1000477     
 
 

                   「歯科巡歴の記ー蟻地獄に落ちた」
 
     第十章  しぶしぶ五軒目の歯医者へ
 
           二  大きすぎる仮歯
              
「では、虫歯の部分を削り、綺麗にして、ベースの型を取ります」
 
 ブリッジの仮歯を作る前の準備の作業に、いよいよ、かかることになった。
 
 二本の歯は、エナメル質を削り象牙質が二年以上も剥き出しになったままだ。すっかり虫歯
 
が進行している。虫歯の部分を削ると歯が少ししか残らない。安定が悪いので仮歯を
 
そのままじかに被せることはできないようだ。
 
 まず少し残った歯に金属を被せベースというものを作る。その上に仮歯を被せる。仮歯の
 
調子が良ければ本物のクラウンに換える。そういう手筈らしい。
 
 二本の歯は、治療を始めた二年前は新品同様だった。口惜しい。どうしてなにかを被せて
 
保護してくれなかったのだろう。仮歯を作って保護してくれた歯医者は二人だけだ。
 
他の歯医者は剥き出しのまま放置した。仮歯は保健が効かないので、使う歯医者は少ない
 
と聞く。
 
 ベースの型取りは、下の歯二本だけだった。今までの経験では、下の歯に被せものをする
 
場合でも上下両方の歯の型を取った。ベースとはいえ、上下の歯の位置関係は関連あるの
 
ではないのか。下の型取りだけで良いのだろうか。
 
 虫歯の部分を削ってベースを被せる準備をし、その日の治療は終わった。
 
 いつもはそのままで放置していた二本の歯にセメントのようなものを被せ、小さな山のように
 
してくれた。歯はすっぽり隠れて見えない。毎回こうなら、虫歯の進行も遅かっただろうに。
 
 ところが、これには隠さなければならないという歯医者の意図があったようだ。ずっと後に
 
なって、それが分かった。
                       P1000446                                        
 
 次の診察日、二本の歯にベースを被せた。そう思っていた。
 
 ベースの上からブリッジの仮歯の型取りをする。今度は上下の歯の型を取った。
 
来週、いよいよ仮歯を被せてもらえる。
 
 しかし、右下側の二本の奥歯は四軒目で削られ、上の歯と上手く噛み合っていない。
 
左側上の二本の歯も、下のブリッジとは噛み合わないので作り直すと四軒目が言った。
 
そのままになっている。三軒目でも歯を何本も削っている。この状態で上下の歯を噛み合わせ
 
ようとすると、下顎が左横にずれる。これで精確な型取りができるのだろうか。
 
 歯医者に尋ねた。
 
「歯が削られて低くなったのではなく、詰め物が磨り減って低くなっただけでしょう。
 
大丈夫です」
 
「右下の歯は詰めて、まだ半年しか経っていないのですよ。セラミックとプラスティックの混合
 
の詰め物は、そんなに早く磨り減りますか」
 
「自分の歯はなかなか磨り減りませんが、詰め物は減ります」
 
 詰め物は、二本の歯とも歯の真ん中に埋め込まれている。その周囲は天然の自分の歯だ。
 
歯全体が同じ高さで低くなっている。詰めたところだけが低いわけではない。こんな説明で
 
納得いくだろうか。さらに質問したかった。
 
 こちらの言うことはまったく意に介さず、歯医者は口の中の作業をする。話を続けたくても
 
声が出ない。まただ。歯医者の治療はこれだから困る。患者は口に道具を入れられ、
 
思うように話せない。口がきける状態になった頃には、作業が終わっているか、
 
尋ねる気力が失せている。
                         P1000441                                                         
 左側下の仮歯を嵌める日が来た。
 
 右側ばかりで食べ物を噛んで二年になる。八カ月前には右下側も、四軒目の歯医者で奥歯
 
二本を低く削られ、かろうじて噛める右下側奥歯は、例の金歯の第一大臼歯、一本だけだ。
 
 不安もあるが、やっとなんとかなるかもしれない。
 
「二週間、お盆休みなので、そのあいだ様子を見てください」
 
「このブリッジの仮歯、大きすぎて、きついです。両横の歯を押して痛いのですが」
 
「これはプラスチックです。脆くて割れるといけないので大きめに作ってあります。本物は、
 
もちろん、きちんとした大きさの物を作りますから大丈夫ですよ。それまで我慢してください」
 
「でも、それで良いのですか?」
 
「大丈夫です。次回の二週間後に様子を報告してください」
 
「はあ…」
 
 本物は正確な大きさのを作るのは当然だ。仮歯もそうだろう。でなければ試す意味がない。
 
こんな痛さを二週間も我慢して様子を見るとは、どういうつもりなのだ。明日になれば、
 
馴染んで痛さは軽くなるとでもいうのだろうか。
 
 三万円払った。ベースの分を含んでいるとしても、健康保険で作る本物より高価だ。
 
保険だと三本続きのブリッジで六千円くらい。
 
 夜になって痛さは増すばかりだった。
 
 仮歯の入っている左下の歯の並びだけでなく、左顎も痛くなった。首を前後に振ると、
 
顎の骨が首の骨に引っ掛かって、カクッカクッと鳴る。首の骨と思っていたのは、
 
緊張した筋肉の筋と、後で知った。
 
 翌日になると、後頭部の骨が右横に押されるように痛くなり、その続きで押されたように
 
右顎が痛くなった。首を前後に動かすと、左と同じように右顎も骨と、骨と思っていた筋肉が
 
擦れ違うようにカクッカクッと当たる。
 
 そのうち、両顎はきつくロックされたようになった。カクッカクッという動きが、カクッで、
 
ぴったり固定され、金縛りにあったままコンクリート詰めされた、そんな感じだ。
 
 喉も赤く腫れ風邪でもひいたかのようだった。
 
 これは、二週間も我慢する状態ではない!
  
 五軒目の歯医者はお盆休みで留守。
                        P1000447                                                 
 
 土、日曜日を我慢し、月曜日を待って、T大病院K歯科医のところへ走った。
 
 研修医の問診と診察のあとでK歯科医が現れた。
 
「痛いので、外して頂きたくて参りました」
 
「外す必要はありません」
 
「えっ!?」
 
「以前にも、痛くてヒステリー状態になり、何度も部分入れ歯を外す患者さんがいました。
 
心配したご主人が夜中に電話をしてきたこともあります。それで、自分では外せないような物
 
に作り替えてあげました」
 
「この痛い状態で放置して大丈夫ですか。 取り返しの付かないことになりませんか」
 
「大丈夫です。心配ありません」
 
「このまま、あと二週間ほど、我慢していて、絶対に大丈夫なのですね」
 
「はい。この痛みを我慢して、それを乗り越えたら、あなたの歯は治ります」
 
 まさか、冗談でしょう!
 
 こんな痛みを我慢して、どうして歯の痛いのが治るのか。まったく理解に苦しむ。
 
 その患者さんは本当に、それで治ったのだろうか。
 
 しかし、権威のこの説明に対し、これ以上どう不安を表現すれば良いのか言葉に詰まった。
 
痛み止めの薬だけを、胸にしっかり抱きしめて病院を出た。
 
 このまま信じて我慢するしかないのだろうか。
                                            
                           P1000444                                                  
 五軒目の歯医者のお盆休みが終わるまで、二週間近く、生活感が消えた。
 
 歯や顎、後頭部の骨、それらの痛みだけでなく、全身に緊張が拡がって筋肉がこわばった。
 
息をしても痛みが増す。鎮痛剤はまったく効果がない。
 
 直立不動。無言。できる限り静かに。
 
 ひたすら歯医者のお盆休みが終わるのを待った。
 
           P1000472   つづく    
                                                   
                                            

                                                  

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歯科治療8年の苦労ばなし 12 への17件のフィードバック

  1. Tamaki より:

    白い花さん (*^-^*)/マイドー♪
    エナメル質を削り象牙質が二年以上も剥き出しになったまま ⌒Y⌒Y⌒Y⌒ミ( ̄Д ̄ /)/ヒェエエ!
    ひたすら 耐えたんですね 理論・専門の肩書に。

  2. ぷち より:

    恐ろしいお話ですね・・・
    私も他人事ではありません・・・

  3. 乙女 より:

    白い花さんの言うとおり下の歯に被せ物をする時には、
    噛み合わせを考えて上の歯も型をとりますよね。
     
    悲惨な治療方法で辛かったでしょう・・・
    何とも恐ろしい話です。

  4. じばこ より:

    こんな素敵なロシアに、体調の悪い時に滞在したのですから、もったいなかったですね。
    少しは、忘れることが出来たのでしょうか?
    このT医大って、公立なのですか?私立なのですか?
    こんな、教師が横着な医者を作りだしているのですね。
    酷い!余りにも・・・・・・
     
    写真、戻ってましたが、8月22日の3番目だけが、まだ見えません???
    私も、パソコンチンプンカンプンなもので、指摘するだけで、ごめんなさいね。

  5. じばこ より:

    ごめんなさい。爺婆仔のところを見ないで、コメント↓先に入れてました。
    大変御苦労さまでした。

  6. Misa より:

    こんばんは☆
    白い花さんの記事を読むたびに、お医者さんに対しての不信感…
    もちろん、ちゃんとしている方もたくさんいらっしゃると信じていますが、
    本当に歯医者さんって、口の中のことをやるので、話もできないし、困ってしまいますよね。
    ロシアの美しい風景、本来なら心休まる景色なのに…
    少しでも白い花さんの気持ちが柔らかくなったのであればいいのだけれど。。。

  7. 洋子 より:

    日本は痛みに対する緩和医療が遅れているみたいです。
    私の母の場合は歯ではなく癌からくる激痛でしたが、その痛みをどこでもどうにか
    してはくれず、ずいぶんと苦しんでいましたね。
    医療機関はもっと患者の側に寄り添って考慮してもらいたいものです。

  8. 白い花 より:

    Tamakiさん
    そうなんです、私が無知でボーッとしていたので、
    後の祭りでした。

  9. 白い花 より:

    ぷち・ぷち・Pさん
    歯医者さんに行っていらっしゃるのですか。
    気をつけてくださいね。
    あなた任せにしないで、自分の歯は自分で管理するという姿勢が大事だと、
    私は、つくづく反省しています。

  10. 白い花 より:

    昔の乙女さん
    ここまででも、本当に怖かったのですが、
    恐ろしいのは、まだまだ、これからなのです。(涙)

  11. 白い花 より:

    爺婆仔さん
    写真まだ全部見えないですか?
    どうしてなのでしょう。
    印刷すると、全部、出来るようにはなったのですが。
     

  12. 白い花 より:

    Misaさん
    お医者さん不信にならないで下さいね。
    でも、気は許さないでください。
     
    今回から写真は、キルギスに変わりました。

  13. 白い花 より:

    洋子さん
    お母様も大変な痛みを耐えられたのですね。
    お辛かったでしょうね。
     
    痛いのは本当に辛いです。
    体だけでなく、心まで苦しくなります。
    今は殆ど痛みはないのですが、少しでも痛み出すと、
    恐怖心からでしょうか、精神的に落ち込んでしまいます。

  14. Unknown より:

    いつも思うのですが・・
    歯の痛み、治療は病気で無いような
    扱いを受けますよね(ぷんぷん)
    わたしの母は癌でしたが、医療者の声かけ、緩和ケアーで随分と
    精神的にも救われていました
    でも・・歯科医療にそういった発想が・・
    そうすれば、患者ももっと救われると思います
    白い花さん、がんばりましたね~
    追:わたしも皆さんのようなプロフイール画像をつけたいのですがやりかたが
    わかりません^^;)
     

  15. 白い花 より:

    そらさん
    本当にそうですよね。
    そのうえ、歯科の治療費は、生命保険に付いている医療費の給付の対象にもならないのですよね。
     
    画像ですが、プロフィールの編集を開けて、
    名前を入れる欄の下の欄の”参照”をクリックすると、
    自分のパソコンに入れてある写真が出てくるので、そこから選びます。
    私はそれでOKでした。試してくださいね。

  16. じばこ より:

    m(__)m,,,,,,,,
    苦労されて写真を貼り付けたと思うのに。。。
    他の方には、全部映っているのかしら?
    TV世界ふしぎ発見(9月6日)で、なんか聞いた場所と見ていたら
    天空のシルクロ-ドとして紹介してましたね(^・^)v

  17. 白い花 より:

    爺婆仔さん
    ご心配をお掛けしました。有り難うございます。
    たぶん、今の状態だと、他の方にも見えていると思います。
    原因がほぼ?分かりました。
    プリントアウトした状態できちんと写っていれば良いようなので、
    見えているかどうかを確認するために、その状態でチェックを入れています。
    見えるためには、”フォト” のところに、
    ブログにアップしたその時の写真が入っていなければいけないようです。
    これからも分からないことが色々出てくるでしょうが、また教えてくださいね。
     

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