歯科治療8年の苦労ばなし  19

  
                  P1000290
 今回の写真は、私の故郷の秋祭りのものです。
 
何年か前に、まだデジカメではない一眼レフでとったものです。
 
走っているだんじりを追いかけながらで、手ぶれ、ピンぼけ、ろくなのがありません。
 
今のデジカメならもっとよく撮れたと思うのですが???
 
 歯の方は、予約が3週間も開いていたので、良いんだか悪いんだか・・・
 
歯の低いのにはこれ以上耐えられそうもありません。スプリントを長時間付けるのにも。
 
しわしわの顔にも!? 噛めないのもですが、それよりも顎が落ちないかと怖いです。
 
来週月曜日が予約日なので、もう少しの辛抱。
 
 今回は、第十三章 奇っ怪な体験です。    
                         CAPYDBRD
 
 
                       「歯科巡歴の記 ー蟻地獄に落ちた」
                             
    第十三章  奇っ怪な体験
 
 
            一  喉、舌、顎      
 
 
 歯の痛いのは鎮痛剤でコントロールできる。直立できない、よく転ぶというのも困りものだ
 
が、二十四時間付き纏うことはない。しかし、喉の違和感はどうしようもなく不快だった。
 
 仮歯を外して一カ月近く経っても、舌の捻れはまだ残っていた。喉が詰まりそうで息苦しい。
 
腹筋運動をしようとする。ウッと喉が締め付けられ苦しくて二度は出来ない。運動は諦めた。
 
 朗読はできない。読書も集中できない。体を動かせば気も紛れるが、それも駄目。出来るこ
 
が減ってくる。ますます憂鬱だ。
 
 
 
 喉というところは小さな場所だが、人間の体にとって重要なところのようだ。思わぬトラブル
 
が続いた。
 
 声が喉の奥に響いて私自身には変に聞こえる。気のせいだろうか。趣味が朗読だ。声には
 
人一倍敏感で耳は良いと自負している。他の人には、どう聞こえているのだろう。
 
 友人に確認した。
 
「なんか、声太いし、割れたように聞こえるんやけど、どうお?」
 
「うん、なんか変な声になってるよ」
 
 それだけではない。話をしていると、唾液がだんだん喉の奥、上の方へ上がっていく。
 
突然、声が詰まる。
 
 別の知人と話をしている最中だった。唾液が喉の奥へ上がっていった。気持ちが悪い。
 
会話の途中だ。困った。
 
“ポッコン”
 
 喉の奥で音がした。音がしたのは初めてだ。私自身が驚いた。一メートルほど離れて座っ
 
いた知人が遠慮ぎみに言った。
 
「音がしましたけど」
 
「聞こえました?」
 
「結構はっきり大きい音でしたよね」
 
「歯医者では分からないし、やっぱり耳鼻科へ行った方が良いのかしら」
 
「ええ、そう思いますよ」
                              CATVGZJF
 こんなこともあった。
 
 喉の奥の気道が塞がる。なにかをした拍子にそうなる。どうして気道が塞がったと断言でき
 
のか。不思議なのだが、はっきりそう感じる。外界から自分が隔絶されたと、はっきり感じる
 
のだ。このままでは空気が肺に入ってこない。窒息してしまう。それが、実感として分かる。
 
何度もそんな状態になった。それまでは外界と自分が物理的に隔絶されていると感じたこと
 
などなかった。
 
 これをどう説明して、誰に解ってもらえるのか。それは無理だろうと思った。
 
「解るわ。私も何度かなったことがある」
 
「ほんまあ!」
 
「もうこのままでは窒息する、死ぬ、と思った。声は出ないし、玄関の鉄のドアを必死で
 
ドンドン叩いた。音に気がついて誰か助けに来てくれないかなと思って」
 
「怖かった? それでどうなったの」
 
「そのときは、直ぐに元に戻ったし、その後、体調が良くなってからは、なってないわ」
 
「心配ないのかな」
 
「何回もなるんやったら、そんなとき、どうしたら良いのか、お医者さんに聞いとけば」
 
 体験を共有できる、解ってくれるというのは、なんと心丈夫なことか。そんなの気のせいだ
 
言って理解してもらえないのが、一番こたえる。
 
 この喉が詰まるというのは、そう珍しいことではないようだ。喘息の人、お年寄りなど、喉の
 
筋肉の調整が巧くいかない人がなるらしい。それで窒息死する人がいるというのも分かった。
 
                                CAH4KMDF
 変な体験はまだある。
 
 うがいをしようとした。水を口に含んで上を向く。“ガラガラ、ペッ”といくはずだった。
 
 えっ!
 
 舌の上の水が動かない。正確には舌の左半分が動かない。
 
 まさかあ!
 
 もう少しで、声になりそうなほど驚いた。口に水があるから声にはならない。
 
 捻れた舌の筋肉が緊張しすぎて動かないのか。五軒目の歯医者で神経を殺す薬を誤って
 
舌の左側に注入された。それが原因で、舌の筋肉の神経がどうかなって動かないのか。
 
 三叉神経は顔の左右両側から顔の真ん中まで伸びているらしいが、きっかり左半分だけが
 
動かないと感じる。舌の上左半分の水が動かないと感じるのだ。こんな体験は、そうそうある
 
ものではない。
                                CAN082QS
 まだある。
 
 夜、犬の散歩をしている時だった。左の耳の下あたりが、なんか変だ。顎関節が痛いという
 
とも違う。腫れぼったいような、重いような、少し痛いような不思議な感じなのだ。手で触っ
 
ても、なにもない。帰宅後、ますます変な感じだ。左頬を手で触る。今度はムチムチと
 
丸いを貼り付けたような感触があった。堅さも、大きさも、子供のおやつにする半球型
 
ゼリーそのものだった。
 
 鏡を覗く。右のほっぺに瘤がある。瘤取り婆さんが訝しそうに、こちらを見ていた。
 
 なんなのよ!
 
 突然降って湧いた瘤。なにがどうなっているのか見当もつかない。一体どうなってんの!
 
 それを手で触りながら、夫も首をひねった。
 
「わからんなあ」
 
 顎関節の骨の間にある円盤状のクッションが飛び出して来たのだろうか。
 
 えらいことになってきた。
 
 痛くはない。腫れる前は少し痛かったが、腫れてから痛みは消えた。
 
 明日、医者へ行こう。今夜は寝よう。なるようにしかならない。
 
 翌朝、瘤取り婆さんはいなかった。瘤は消えたが、舌の左付け根と、喉の左下は腫れた
 
まま残った。後日、もう一度、反対の右側にもできた。                            
                          CAQS7EEP                            
      二  奇っ怪な体験の謎解きを求めて
 
 
 この奇っ怪な体験を説明してくれるかと医者へ行った。
 
「喉が塞がるような弁のようなものなんて、そもそも存在しません」
 
 耳鼻咽喉科の医師が、けんもほろろに言う。取り合ってもくれない。
 
 事前に読んだ解剖学者の本には書いてあった。
 
 人間は空気の通路と食べ物の通路が喉の奥で交差している。そのため食べ物が喉を通り
 
食道へ入っていくたび、喉で、食道へ行く道と気管へ行く道の交通整理をする。それは喉の
 
筋肉で、巾着袋の口のように強く緊張して閉じたり、弛緩して開いたりしている。蓋のような
 
ものはあるが、人間の場合それは機能していないらしい。この筋肉の弛緩と収縮は、意識し
 
くても自動的に体やってくれる。筋肉が衰えたり、筋肉を動かす神経がきちんと連絡を
 
なかったりすると、それが巧くいかない。誤嚥が多くなる。
 
 歯科医が書いた本だと、喉にある弁で調整していると説明していた。
 
「それに、お腹を押さえたら喉が詰まるなんてありえません。喉からお腹まで筋肉は続いて
 
いません。別々の筋肉ですから、そんなことになるはずがありません。炎症で赤くなって
 
いますが心配いりません。喉も塞がってないし、息はできています」
 
 あったりまえでしょう!
 
 息ができていなければ、今ここに来られるわけがない。とっくに死んでいる。喉が塞がった
 
とき、どうすればいいのか教えて欲しいのだ。さいわい今までは、どうしようと狼狽えている
 
うちに緊張が解け息ができるようになった。
 
「そんな頬が腫れるなんて聞いたこともありません。あなたの言うことは医学的にあり得ない
 
ことばかりです。もう勘弁して下さい」
 
 医者は持っていたペンをカルテの上に放り投げた。
 
「あとの患者さんが支えています。迷惑ですから早く出て下さい」
 
 看護師が言う。
 
 散々だった。ここで医者と喧嘩をしても時間とエネルギーの無駄。こんな無知な医者に何を
 
言っても始まらない。
 
 
 
 耳鼻咽喉科の診察のすぐ後、同じ病院の整形外科で同じことを話した。
 
「筋肉は一続きのものではないのですが、神経で繋がっています。筋肉がばらばらで連動し
 
なければ、体は動けないでしょう。連絡が巧くいかないと、そういう症状がでるのです」
 
 整形外科医は、いとも簡単に言った。
 
「あなたの場合、症状は全身に出ていますが、もとの原因は口の中の筋肉にあると
 
思います。首から下の筋肉は整形外科ですが、首から上の筋肉は歯科の担当になります。
 
歯科に紹介状を書きましょう」
                               CA83W7KD                   
 
 会計をすませようとしていた。会計のカウンター越しに思わず言葉が出ていた。
 
「責任者を出して下さい。クレームがあります」
 
 会計係の女の人が驚いた顔でこちらを見る。
 
「ちょっとお待ち下さい」
 
 予想より若い男の人が出て来た。耳鼻咽喉科での出来事を説明した。
 
「今までの自分の経験と知識では解らないと言えても、そんなことは医学的にあり得ないと
 
断言できますか。それに迷惑だから出て行けとはなんですか。お医者さんに謝っていただ
 
ないと、料金はお支払いできません」
 
「それは困ります」
 
「じゃ、謝って下さるのですね」
 
「ちょっと待って下さい」
 
 苦情係はカウンターの中へ。会計係の女の人と、しばらく話をして帰って来た。
 
「耳鼻咽喉科のお支払いは結構です。整形外科の分だけ払ってください。」
 
 ウッー。
 
 そんな破廉恥な答。返す言葉がない。これでは喧嘩にならない。どうしてお金のことなんか
 
先に言ってしまったのか。作戦負けだ。余計に悔しさが増した。    
 
                                 CA8AZGDX
 次ぎは、歯医者へ行った。
 
「筋肉のことは、まだ新しい分野ですから知りません」
 
「それでは、唾液が貯まってポッコンといったのは」
 
「喉の奥に唾液が溜まるわけがない。喉の奥に唾液腺なんてありません。唾液腺は顎下腺と
 
舌下腺と耳下腺だけです」
 
 解剖学者の本に書いてあった。舌の奥の上面にも唾液腺はある。“フォン・エブナー”の腺
 
言う。
 
 頬に出来た瘤についても歯医者は全く知らなかった。
 
「へー」
 
 で、終わり。
 
 またまた本のお世話になる。
 
“ガマ腫“というらしい。頬というより、舌の付け根が腫れ、顎の下の喉あたりがガマ蛙の
 
ように腫れるので、そう呼ぶ。唾液腺の病気で、唾液が溜まって嚢胞ができ、舌の付け根が
 
腫れる。手術が必要な場合もある。唾液腺の病気には悪性の腫瘍もある。唾液腺部分の
 
腫れやしこりに気づいたら、歯科か口腔外科で調べてもらうのが良い。頬が腫れ痛みがない
 
が、顎の骨の中にできる嚢胞は摘出手術をすることもある。歯が原因でなる場合が多い。
 
そう書いてあった。
 
 開業医の歯医者では無理なのか。
 
 大きな病院の歯科へ行った。やっぱり知らなかった。
 
「顎の筋肉が緩んで膨らむはずもないし、そんなところが腫れるなんて絶対にありません」
 
「でも、本当なんです。夫も見ているんですけど」
 
「ありえません」
 
 これでは、私が嘘つきだと言わんばかりだ。どちらにしても素人向けの本に載っているよう
 
ことを知らない。
 
 もう一軒、試しに大病院の歯科へ行く。やっぱり知らなかった。
                                                                   
                          CAVTI4X5                               
 驚いた事に、後日、他の病院で出会った超音波とMRIの検査技師が知っていた。
 
「ああ、ガマ腫ですね」
 
 超音波の検査技師もMRIの検査技師も、まだ二十代に見える可愛いい女の子だった。
 
「ガマ腫って珍しいですか。最近知られるようになった症状で、若い方しか御存じないので
 
しょうか。少し年配の歯医者さんは御存じないようでしたが」
 
「そんなことはないですよ。昔から知られています。歯医者さんなら御存じのはずです。
 
私も歯科の本で知りましたから」
 
「私はブルーバックスの本で読んだのですが」
 
「医者がブルーバックスに載っているようなことを知らなかったのですか」
 
 自信に満ちた顔で検査技師が言った。
 
“歯科チンのアホ”なのか。たまたま私が尋ねた三人の歯科医が知らなかっただけなのか。
 
 一体、世の中どうなっているのだろう。
 
 名古屋はちょっと遠いが、K歯科医から貰った本の著者に診察を受けに行くべきだろうか。
 
この様々な症状への納得のいく説明、良い治療法を知っているだろうか。
 
あのポッコンという音は、いったいなんだったのだろう。 
                                  CAP8U7S8
                                                    
                                                   つづく
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歯科治療8年の苦労ばなし  19 への14件のフィードバック

  1. じばこ より:

    スプリントってマウスガ-ドのことなんですね?
    日中もつけたままなんて、不自由ですね。
    いつも、悲惨な話に和む写真が添えられて、いいですね^^
    喉が詰まって死ぬ思いだった、、、以前、姉も言ってました。
    扁桃腺が腫れたせいと思うと言ってましたが、手をアタフタしか出来ず、
    こんな感じで死ぬのかなと思ったって_
    ガマ腫だって、ネットにちゃんと出ていますよね~
    珍しいものじゃないんでしょうに。。。あまりにヤブで、切ないですね。
    白い花さん(^・^)歯の高さが治れば、歪んだのですから、皺は直りますよ(^_-)

  2. 乙女 より:

    虫歯の味がするからなぜここまで悪くなっちゃったのかしら?
    歯って大事なんだと痛感して読みました。
    まだ続くんですよねぇ~
    恐ろしい話です。
     

  3. Misa より:

    こんばんは☆
    歯の治療から、とんでもない方向に転がってしまって、
    本当に大変だったと思います。
    それにしても、医学的な話はもとより、礼儀をここまでわきまえない
    お医者さんがたくさんいることが信じられません!
    患者さんの立場で話をされる先生はどのくらいいるのでしょうね・・・
     

  4. 洋子 より:

    思いっきり首をかしげてしまいたくなる酷い対応の医師や
    看護師のなんと多いことでしょうね・・・
    色んなきつい目に遭われてこられたのですね。
     
     

  5. ク~ より:

    おはようございます・・・
    日々生活がどれだけ不安だったんだろうかと・・・
    どんな仕事も日々学べることが起きるのに
    信用できる医者がこんなにいないのかと・・・実感しました

  6. Jasmine より:

    壮絶ですね・・・・。なぜこんなにひどい対応をされなければならないのでしょう?
    歯科医にもそれぞれ自分の勉強してきた専門分野があるそうで、
    それ以外のことはあまり触れたくない、とかあるのでしょうかね?
    でも続きが楽しみ・・・・。スミマセン・・・。

  7. hulala より:

    あまりのすごさに何とも言いようがありません。
    大変だったのですね。我慢の域を超えているお話です。
    難しい治療が必要とするものは、病院のタライ回しと同じで難しいものは受けたくないと医者は
    思っているんじゃないかしら。そんな医者ばかりが多くなっているのかも知れません。

  8. 白い花 より:

    爺婆仔さん
    マウスガードってどんなのか、たぶんマウスピースと同じでしょうか。
    あれとはちょっとだけ違って、私の場合は上の歯列だけに被さっていて、舌の歯列はなにも被さっていません。
    堅いプラスティック製で、削って低くしたり、足して高くしたり調整できます。
     
    ひどい話で、写真でもないと、とても読めない感じでしょう?
    明日、歯医者へ行きます。シワのことを詳しく聞いてみますね。
    少しでも、ましになるように祈っています。
     
     

  9. 白い花 より:

    昔の乙女さん
    歯も、こんなに大事なんだなあと痛感しています。
    一度経験してみないと、どれだけ大事なものだったか気がつかないものですね。
    まだまだ続きます。

  10. 白い花 より:

    Misaさん
    自分の技量を超えると、人間は余裕がなくなるのでしょうね。
    私の経験ですが、軽く直してあげられる患者には、
    医者も親切に対応できるのだと思いました。
     

  11. 白い花 より:

    洋子さん
    私一人だけでなく他にも同じような経験をした方はいらっしゃると思います。
    泣き寝入りをしている方は大勢いらっしゃるでしょうね。
     

  12. 白い花 より:

    酔いどれク~さん
    なにもかもが安心できる文明レベルだとは思っていませんが、
    ちょっと酷いでしょう!
    技術よりもモラルの問題が大きいと思いました。
     

  13. 白い花 より:

    jasmineさん
    ちょっと拗れて難しくなると、どの医者でも知識があるというのではないようです。
    もう少し我慢して読んで下さいね。
    ”事実は小説よりも奇なり” でしょう?
     

  14. 白い花 より:

    hulalaさん
    もう少しのところで、電車に飛び込みそうでした。
    私も、難しくて手間暇のかかるのは、儲からないし、嫌なのだろうと思いました。
     
     

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