歯科治療8年の苦労ばなし  22

 
        P1000290
 
 今回も写真はキルギスのホテルの中のものです。
 
 歯の方は、最近、なぜかスプリントを嵌めていても下顎が左右に動き、噛み合わせが
 
安定しません。それなのに、これもなぜか左右の顎(左右の耳の位置)が水平線上に並ぶ
 
ようになりました。以前は、首の左が突っ張って左が高かったのです。スプリントを外すと、
 
首の左側が突っ張ってきて左顎が上がってきます。
 
それと、両奥歯の低いのが不快です。うまく噛めないので食べている途中で、食べる気が
 
しなくなるのです。少し痩せたような。
 
スプリントを二十四時間というのも、だんだん不快で嫌になってきました。
 
 今日は、第十四章、七軒目の歯医者の続きです。
 
                               P1000239
 
 
             「歯科巡歴の記ー蟻地獄に落ちた」 
 
 
    第十四章  七軒目の歯医者
 
 
          四  親知らずの抜歯をめぐって 
 
 
 七軒目の歯医者は、今までの歯医者より詳しく説明してくれる。良心的で親切そうだ。
 
 友人達も“良い先生に出会えて良かったね”と言ってくれた。
 
 ストレスのために五軒目の歯医者から一カ月以上続いていた下血が止まった。
 
 
 
  しかし、言うようには簡単には治らない。
 
 歯が痛い。仮歯がきつくて痛い。顎が痛い。筋肉が攣って痛い。歯列がますます歪む。
 
舌の捻れはまだ残る。前に飛び出た歯の角が唇に当たって血が出る。奇っ怪な体験も続く。
 
 歯の治療の方は、痛いので仮歯をセメントで留めずに乗せるだけの状態が続いていた。
 
仮歯の形の修正も上手くいかない。我慢できずに、痛くないように自分で何度か仮歯を削り
 
した事もある。百円ショップ鉄のヤスリを買ってきて何時間もかけて根気よく削った。
 
柔らかいプラスティックだから出来る。
 
 ついに歯医者も業を煮やした。
 
「やっぱり親知らずが残っているのが良くないのかなあ」
 
 以前の歯医者にも親知らずを抜いた方が良いと言われたことがある。
 
「これ以上なにかあると嫌なので、できれば抜きたくないのですが」
 
「親知らずを抜くぐらい簡単です。K先生に電話して抜いてくれるよう頼んでおきますから。
 
親知らずの生ている顎の奥、耳の下は近くをたくさんの神経が通っている難しいところです。
 
昔は開業医でも抜いたのですが、最近は事故があるといけないので、大きな病院で抜いて
 
もらうのです」
 
 簡単なのに難しい?!
 
 そんなことを聞かされると、余計に怖じ気づく。
 
「K先生は腕の良い外科医ですから心配ないですよ」
 
「……」
 
「親知らずを抜かないと、こちらの治療はこれ以上進められませんから」
 
「ちょっと考えさせて下さい。でも、抜かないと治療が進められないと仰るのなら
 
仕方がないですけれど・・・」
 
 またまた厄介な話になってきた。
                                                                                             P1000245 
 
 T大病院のK歯科医には、経過報告もかねて顎関節を一カ月に一度診てもらっている。
 
 次の週、予約が入っていた。
 
「えっと、親知らずを抜かんとあかんのかいな」
 
「ええ、歯や顎の痛みの原因は親知らずで、抜かなければ治療が進まないと仰っています」
 
「ちょっと見せてくれる。ああ、三本あるから一カ月に一本ずつ抜いたら良いな」
 
 若い歯科医に声をかけた。
 
「ちょっと親知らず抜きたいんやけど、診察台、空いてるか見て来て」
 
「あのう、私怖いのです。この二年間で、ここまで拗れていますから、またなにか起こるかも
 
知れないと思って…。本当は抜きたくないのですが」
 
「もう一度見せてくれる。うーん、僕も無理に抜くことはないと思うわ。歪んで生ているとか
 
だったら抜くけど、あなたの親知らずは綺麗に生ているものなあ」
 
「抜かないと治療が進まないと仰るのですが、どうしたら良いでしょう」
 
「あの先生が抜いてくれと言ってきたから簡単に引き受けたけど、怖がっている人の歯を
 
抜くのは、僕も怖いわ。抜く必要があるのかなあ。もう一度、確認してみます。
 
出直してくれますか」
 
 後日、あらためてT大病院へ行く。
 
「やっぱり、抜いてくれ言ってるから、抜きましょうか」
 
「そうですか。今からですよね」
 
「いえ、今日は抜きません。手術室で抜くので、手術室の空いている日でないと。
 
改めて別の日に予約を取り直してくれますか」
 
「えっ! この治療室の診察台ではないのですか」
 
「ええ」
 
「……」
 
 予約を取って病院を出た。まさか一般外科用の手術室で抜くことになるとは思っても
 
みなかった。ますます気が進まない。
 
 
 
 気が進まないまま七軒目の歯医者に報告した。
 
「来週、抜くことになりました。でも、K先生は抜く必要があるのかなと仰っていましたが」
 
「抜く必要があると僕が言っているのですよ!」
 
「ええ…でも、できることなら抜きたくないのですが。それに二人の先生が違うことを
 
仰いますので、素人の私には判断できかねて…」
 
「抜きたくなければ抜かなくて良いでしょう!」
 
「治療が先へ進まないと仰ったでしょう。抜かなくても大丈夫ですか?」
 
「抜くのが嫌なら抜かずに治療してもいいですよ!」
 
 どうしよう。親知らずを抜く日が迫ってくる。やっぱり止めておこう。
 
 T大病院へキャンセルの電話を入れた。
 
「どうも、申し訳ありません」
 
「いや、良いですよ。いろんな症状が消え、もっと落ち着いてからにした方が良いと
 
僕は思います。焦らない方が良い。焦ってはいけません」
 
 二人の歯科医の意見が違う。よほどの理由がない限り親知らずは抜かないことにした。
 
                                          P1000269                                                                   五  治療方針と緋寒桜        
 
 
 親知らずを抜かないで、治療を進めることになった。
 
 七軒目の歯医者は、T大病院K歯科医の意見のほうを患者が優先したということで、
 
機嫌が悪くなった。気まずい雰囲気になる。
 
 歯や顎の痛みはどうなるのか。原因は親知らずではなかったのか。どう治療を進めて
 
いくのか。気掛かりだ。
 
 診察が終わって帰ろうとしていた。突然、歯医者が言った。
 
「前歯、歪んで前に突き出て酷いことなってるけど、気にならないの? 
 
普通、女の人だったら奥の歯より前から治してくれと言うけどな」
 
「えっ?! ええ、気になります。でも、まず奥の歯から高さと位置をきちんと合わせて治し、
 
その後で前歯を治せば良いとK先生が仰いましたが、前から治せますか?」
 
「普通、女の人は前から治してくれと言うけどな」
 
「ええ…」
 
 煮え切らない会話になった。今まで、細かなその場その場の説明はしてもらっていたが、
 
全体的な治療方針については一度も説明を受けていない。一度きちんと聞かなければと
 
思っいた。前歯についても前歯から治せるのなら、もちろんそうして欲しい。仕方がないと
 
諦めいたが、あんなふうに言われると気になる。
 
 帰宅途中、駅から電話をかけた。
 
「今後の治療方針を詳しくお聞きしたいので、来週は時間を長く取って頂けないでしょうか」
 
「それは難しいです」
 
「いつでも結構ですので、そちらの時間の空いているときに予約を取り直して頂けますか」
 
「診察時間には無理です」
 
「えっ? いつなら説明して頂けますか」
 
「今日の午後なら良いですよ。午後から休診で空いています」
 
「はっ?!」
 
「今どこですか。もう家まで帰られたのですか」
 
「いいえ、帰宅途中です。ここから引き返せば、お昼過ぎには、そちらに着きますが」
 
「では、待っています」
 
 どうして次の診察時に説明の時間が取れないのだろう。説明は保険の点数に入らなくて
 
お金にならないのだろうか。とにかく今行って説明してくれるのなら、来週まで一週間、
 
イライラすることもない。急いで引き返した。
 
 一時間も話をした。結局なんのことはない、K歯科医の方針通りということになった。
 
「では、奥の歯から、その後で前歯ということですね」
 
「そうですね」
 
「有り難うございました。失礼します」
 
 玄関で靴に片足を入れたが、それからがまた長かった。
 
 奥さんが何年か前に癌で亡くなり、たまたま私と同じ歳だそうだ。闘病中のことや懐かしい
 
昔話に花が咲き、終わりそうにない。さらに一時間が経つ。相槌を打つのも気を使う。
 
人の生き死にに関することだからいい加減なことは言えない。
 
「あら、雨が降り出したようです」
 
 突然の雨音に助けられた。素早く玄関のドアを開ける。
 
「じゃあこれで失礼します。有り難うございました」
 
「傘、お持ちですか」
 
「いえ、大丈夫です」
                                                                                                    P1000244
 
 次の診察日の前日、生け花の練習をしながら友人に近況報告をしていた。
 
「やっぱり、なにかお礼をしないといけないかな」
 
「そうやな、二時間もやからな」
 
「でも、あとの一時間は、私の方が愚痴を聞いたげたようなもんやで」
 
「そうやけど、しょうないやろ」
 
「もう、高こつくなあ」
 
「診察時間なら保険が効いたかもしれへんのになあ」
 
 花材の緋寒桜を生け終える。この時季、私の好きな花だ。
 
 翌日、両腕一杯の緋寒桜を、お礼に持って行った。奥さんの供養にもなるだろう。
 
 その後、気まずかった雰囲気は一転して、また親切で優しくなった。ひとまず良かった。
 
                                        P1000263         つづく

 

 

広告
カテゴリー: 健康 パーマリンク

歯科治療8年の苦労ばなし  22 への12件のフィードバック

  1. ぷち より:

    私もこの1週間歯痛で苦しんだので・・人事ではありません・・・(>_<)
    でも、きっと歯科医の先生・・・白い花さんを見て、
    御自分の奥様を思い出されたんですね・・・(^-^)

  2. 乙女 より:

    親不知といえども悪くない歯は抜きたくないですよねぇ。
    診察台ではなく手術室でするなんて大事で驚いたでしょう。
    抜くのはいつでも出来るんだから・・・
     
    お花で雰囲気が良くなってホッとしました。
     

  3. Misa より:

    こんばんは☆
    親知らず、以前もお話したことがあると思うのですが、私は4本全て
    はえています。
    以前の職場の近くの歯医者さんに行ったとき、邪魔だから抜きましょうと言われて
    びっくりしたことがありました。
    今通っている歯医者さんは、なるべく抜歯はしない主義ということを前もって説明
    してもらっていますが、歯を抜くという切り分けは歯医者さんによって
    あまりにも違いすぎますよね。
     
    歯医者さんも人間だから仕方ないかもしれないけれど、自分のその日の気分で
    患者さんへの対応が変わっちゃうのって・・・
    患者さんはいつでも不安なのになあ(>_<)。。。
     
    キルギスのホテルの照明、どれも素敵です!
    あかりのセンスがいいと、インテリアが引き締まりますよね~♪

  4. 洋子 より:

    先生によって違う意見をいわれると
    判断に困ってしまいますよね。
    それにしても、親知ら抜くのに
    手術室、は怖いです!
    緋寒桜には救われたようですね。

  5. じばこ より:

    親知らずねぇ~
    若い時に抜いておいたほうがいいと言う説は、もう古いのかな?
    友人が、抜く前から大騒ぎして抜いたけど、今は_、やはり抜くのは
    危ないのですね?
    私は、お医者さんにお礼の品やったことないけど、贈物は、効き目が
    あるのですね(--;)
    具合が悪い上に、気を使って・・・・・・・・ねぇ。

  6. 白い花 より:

    ぷちぷち・Pさん

    そう思われますか? やっぱりそんな気がしました。
    それで余計にややこしくなったような・・・

  7. 白い花 より:

    昔の乙女さん
    初めの時は、その辺の治療台で抜くつもりのようでしたのに、
    改めて出直したら、手術室でと仰るので、驚きました。
    先生もちょっと緊張なさったのでしょうね。

  8. 白い花 より:

    Misaさん
    以前もそう仰っていましたよね。覚えています。
    親知らずも人それぞれに生え方が違うようです。綺麗に生えている人の方が少ないらしいですよ。
    最近では、歪んで生えていて痛みがあるとか不都合がある場合にだけ抜くようになって来ているらしいです。
     
    残しておいた方が、歳をとって第2大臼歯が抜けた時に、親知らずを脚にしてブリッジが架けれるので都合が良いとも聞きます。
    親知らずがなくて、第1大臼歯や第2大臼歯を抜いた場合、歯がない状態のままの人が多いらしいです。
    私は、今は第1大臼歯、第2小臼歯がないのですが、親知らずがあるお陰で、なんとかブリッジのようなものが作れるらしいです。
    インプラントという手もありますが、歳をとって病気になって寝たきりとかになると、インプラントは手入れが難しいとか。
    入れ歯だと外せば良いだけですので、ちょっと考えてしまいます。
    私の友人に聞いたところ、昔は親知らずは何がなんでも抜いた方が良いとかで、抜かれたという人が何人もいました。
    歯科は今、発展途上で先生によってすごい医療水準が違うようですね。
    私も説明を受けるたび驚いています。
     
    医者も人間、手に余るような患者には困ってしまうのでしょうね。
    個人差もあるようですが、結構感情が出るようですよ。

  9. 白い花 より:

    洋子さん
    そうなんですよね。
    この先、大学病院でも2人の先生の診断が違って、困ってしまいました。
    まだまだ今の科学レベルでは、はっきりとは診断できないこともあるのだと諦めています。
     
    緋寒桜は大好きだったのですが、嫌なイメージが付いてしまって、
    あれ以来生けたことがありません。

  10. 白い花 より:

    爺婆仔さん
    親知らずは、今は理由もなく抜かないようです。
    ただ年配の先生などは新しい知識がなくて、簡単に抜いたり、削ったりする方もいるようですが。
    親知らずと言っても、生え方や形に個人差があるようですよ。
    綺麗に生えている人から、歯茎の中に留まったままの人、根っこが捻れて歪な形の人とか。
    友人の知り合いで、親知らずの根っこが粘膜を破って鼻腔の中に突き刺さったように生えて、口腔外科で手術して取った人がいました。
    1泊入院した知人もいました。切開して大変な思いで取ったらしいです。
    お友達の方も、とんでもない親知らずだったのかも知れませんね。
     
    自分歯がきっかけで、合う人ごとについ観察してしまったり、色々と尋ねてしまいます。
    電車に乗っても、前の座席の人の口元ばかり観察して・・・
     
    私もお礼はしたことがないのですが、この時は時間外だったので。
    大した金額でもありませんでしたし。
    効果というか、悪い気はしないだろうと思いました。

  11. Nami より:

    先生によって、治療方針が違うと、判断きないですよね。私たちには。
    奥様が亡くなられて、その愚痴を聞いて差し上げたら、先生との関係も前よりはよくなったようですね。
    親知らず、私は全部抜きました。
    韓国にお嫁に来る前に^^なんせ、韓国の歯科は保険がほとんどきかないんですよ。
    それで、虫歯になると困ると思って^^;
    素人判断です^^

  12. 白い花 より:

    韓国では歯科にどうして保険が適用されにくいのでしょうか。
    でも、よくよく考えてみれば、日本でも、他の病気に比べたら、
    歯科は保険の適用がちょっと違って、効かないことが沢山ありますよね。
     
    でも良い親知らずだったのなら、惜しいことをしましたね。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

w

%s と連携中