歯科治療8年の苦労ばなし  25

 
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 今回は、明日から5日ほど留守にしますので、いつもより早い水曜日の深夜になりました。
 
写真は前回の続きで、神戸の北の山の中のものです。
 
 歯は、歯科と私の両方の都合で、次の診察日が前回の4週後、12月15日になります。
 
外出先で食事に柔らかいものが出ますようにと願っていますが、外食だと中華料理は
 
柔らかいものが結構あるのに、西洋料理は肉がメインになるせいか食べにくいものが多い
 
という気がしています。
 
 今日も、第十四章の7軒目の歯医者の続きです。いよいよ、とんでもないことになって
 
しまって・・・。                 
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          「歯科巡歴の記ー蟻地獄に落ちた」
 
 
   第十四章  七軒目の歯医者
 
 
          八  理解に苦しむ歯医者の態度        
 
 
 こんな調子なのに、七軒目の歯医者は豪語する。
 
「春までには治ります」
 
「T大病院のK先生は焦るなと仰いましたが…」
 
 そう言うと機嫌が悪くなる。自分はT歯科医から任されたのだからということらしい。
 
 Oリングとやらが、だんだん増えた。
 
 かしこまった表情で人差し指を立てる。私の左顎を指さす。続いて右顎を指すように、
 
エイッと腕を振る。その後で、こう尋ねた。
 
「これで、左顎の痛みが右顎に移りましたか」
 
「いいえ」
 
 素っ気なく答える。また同じようなポーズを繰り返す。何事も起こらない。
 
「顎が痛いのは、親知らずが高いためですね」
 
 あっ!
 
 私の了解もなく、左下の親知らずを低く削ってしまった。削ってしまったものはもう戻らない。
 
親知らずだから良い、諦めよう。もうどう対応したら良いのか困ってしまう。私自身が投げや
 
りな態度になってしまうのだ。右下の親知らずも削るのを見過ごしてしまった。
 
「口の粘膜に歯の横が触れすぎているので、高さだけでなく親知らずの側面も削りました」
 
 えっ! まったく気がつかなかった。
 
「痛みはそのままですが」
 
「そうですか…」
 
 真面目な表情で、また人差し指を立てる。エイ、ヤアー。
 
「判りました。原因は親知らずではなくて、親知らずの前の歯です。高いし横にも張り出し
 
ています」
 
 それは以前、低いから高くしないといけないと言った歯だ。ヒビが入ったと言った歯だ。
 
詰め物をしてあるがクラウンを被せた歯ではない。削るとしたら親知らず同様、本当の歯を
 
削ることになる。エナメル質が薄くなって虫歯になりやすくなる。気安く削ってもらうわけには
 
いかない。
 
「本当に間違いありませんか」
 
「もう一度やってみます」
 
 さすがに少し気弱そうに言う。また人差し指を立てる。エイ、ヤアー。
 
「あ、違いました。その前の歯です。高いし横に張り出しているのが原因です」
 
「……!」
 
 それはこの前、金のクラウンが低すぎるといって保険で作り直した歯だ。
 
 好きにしたら。言葉も出ない。
 
「どうですか。ほんの少し側面を削りました」
 
 被せてあった金属のクラウンの側面を申し訳程度に削った。
 
「全然変わりません」
 
「左上の親知らずが高すぎるのかな」
 
 親知らずは三本ある。すでに下の左右の親知らずは削ってしまった。左上の親知らずだけ
 
が手付かずで残っていた。
 
「これ以上削らないでください!」
 
「はー」
 
 これはもう駄目だ。
 
 Oリングが良いとか悪いとかの話ではない。この歯医者は現代歯学にもOリングにも自信
 
がないのだ。信じてはいないのだ。もし、Oリングを信じているのなら、Oリングで出した結論
 
を、そんなころころ翻して良いものだろうか。気易く次々と歯を削るべきではないだろう。
 
                              010
 
 年が明けたら、作り直した三本の歯の責任を取ってもらって、他に替わろう。なんのための
 
三カ月だったのか。
 
 治療費も変だった。最初の二、三回は問診の時間も長かったのに安かった。良心的だと
 
思った。しかし、途中から高くなった。毎回、領収書を二枚くれるようになった。二千円台の
 
ものが二枚で、五千円で少しお釣りがある。いったいどういう計算なのか。どうして領収書が
 
二枚なのか。不思議だったが、とうとう尋ねることができなかった。
 
 あれこれ考え出すと、腹立たしい以上に悲観的になり希望がなくなる。もう、今年はこれで
 
終わろう。ややこしいことは年が明けてからにしよう。
 
 お正月には、三人の子供達が伴侶を連れて五人で帰ってくる。年末年始は麻雀三昧で
 
賑やかになる。毎年、私達夫婦が一番楽しみにしている家族団欒だ。準備に忙しく専念する
 
のが、一番の慰め。鎮痛剤は充分残っている。              
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       九  喉に薬を垂らされる
          
  楽しいお正月が終わった。噛める奥歯がなくなったので、お正月料理は自分では堪能でき
 
なかったが、家族が喜んでくれた。充分満足だった。
 
 歯医者へ行く。新年早々、三本の歯を作り直してくれるよう交渉しなければならない。
 
「昨年暮れに作って頂いた歯ですが、前にもお話ししましたが、やっぱり合っていないように
 
感じます。治療を進める前に、一本一本きちんとしていただけますか」
 
「きちんとしたつもりですが!」
 
「右の保険のクラウンは低いです。上の歯と巧く噛み合っていません」
 
「この上に金属を少し足して高くできます。お金払ってもらわんとあかんけど」
 
「えっ!」
 
「三千円です。良いですね」
 
 そんな! 
 
 合わない歯を作っておいて。それは歯医者の責任で、患者の責任ではない。
 
「……分かりました。お支払いします」
 
 もうややこしく揉めるのは嫌だ。歯が治ればそれで良い。作るのに保険で二千円程だった。
 
どうして修理費が三千円もするのだ。残りの自費の二本はどうなるのだろう。考えるだけで
 
気が重くなる。またこの次、考えよう。
 
 
 
 修理のために保険のクラウンを外して、プラスティックの仮歯を嵌めた。以前のをまだ
 
保管していたようだ。
 
「終わりました」
 
「まだ、左のブリッジの仮歯を高くして頂いていません」
 
 年末年始を挟んでいたので、仮歯のプラスティックはいつもより磨り減っていた。
 
 歯医者は邪魔くさそうに作業に取りかかった。
 
“ぁぅ!”
 
 細い針のような緊張が空気を刺す。針穴から一気に溢れ頭上に覆い被さった。
 
 ポタ、ポタ、ポタ。液体が歯の上に落ちる。歯茎を滑って喉に流れた。
 
 なんだろう! 思わず、閉じていた目を開けた。
 
 口の真上を小さな瓶が素早く動く。歯医者の手に薬の瓶らしきものがある。私が顔を向け
 
ると、慌てて治療器具用のトレーの方へ体を回し、背を向けた。何事もなかったかのように
 
仮歯に積むプラスティックの粉を練り始めた。
 
 沈黙が支配する。押し黙ったままの歯医者の背に言葉を切り出すことが出来ない。
 
「口の中を洗いましょう」
 
 しばらくして、横にいた衛生士が言った。今まで、そんなことはしてもらったことがない。
 
「自分でうがいしますから」
 
「いえ、きれいに洗っておきますから」
 
 水が出る噴射器のようなもので丁寧に口の中を洗ってくれた。
 
 その夜、苦しくて眠れない。喉が真っ赤に腫れて咳き込む。ベッドに横になると息ができ
 
なくなる。布団を丸めて背をもたせ、上半身を立てたまま朝を迎えた。 
 
 一週間経っても症状は治らない。
 
 次の予約はキャンセルした。とても口を開けて治療を受けられる状態ではなかった。
 
 あの瓶の中味は、いったいなんだったのだろう。
                                     016   つづく
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歯科治療8年の苦労ばなし  25 への16件のフィードバック

  1. じばこ より:

    こんなに調子悪い時でさえ、子供たちの帰省時には、母親の態度、役割をしておられたのですね。これから、もっと、もっと、とんでもない状態になったのですね。ブログが、変な文字・やり方に様変わりして、皆さん戸惑っているでしょうが、白い花さんの更新が、前の文字のままで、???です。ゆっくり、お出かけを楽しんでいらしゃって下さいね。

  2. hulala より:

    こんにちは読むたびにこんなことがあるのだろうか、と思ってしまうくらいすごく大変な治療しているんですね驚きです。紅葉の美しさに感動しています、歴史を感じます。

  3. booo より:

    なんか、とんでもなく恐ろしい現実を読んで、「自分だったらどうしただろう。。。」と考えさせられました。瓶の中身が気になる。。。

  4. main より:

    お邪魔します、芳川町内会です。書き込み感謝<m(_"_)m>。しかし歯の治療は大変ですね、ログを拝見してて、思わず私も「・・・・・治療しなきゃ・・・」と。しかーし、一家が集まっての麻雀、いいですよね~、我が家も毎年やってます(景品は私が準備して)。長男、次男、長女の亭主と私で、昨年は年末が忙しくて出来なかったんで今年を楽しみにしてます。女(家内、嫁達、長女)は無駄話に熱中、今年生まれた2人の孫も一緒に来ます。しかし、そういう生活がいつまで続くのか先行き不安もありますね。愉しい年末を一家でお過ごし下さいね (*^-^*)ps:コメントはまさに正解ですね、私達は恵まれすぎてきたのかもしれません。東南アジア(タイ・ベトナム・カンボジア)の人々の生活から比較したら、とてつもなく恵まれてると思います。

  5. 乙女 より:

    読むたびに恐ろしさを感じてますが、白い花さんは不安だったでしょうね。ビンの中身が何だったのか気になりますが、衛生士が洗うって事は・・・

  6. Misa より:

    こんばんは☆お金、本当にどんどんと払わなくちゃいけないし、でも、一度削った歯は戻ってきませんよね。自分に自信がないお医者さんなんて・・・もうこれ、恐怖です・・・ビンの中身とともに。きれいなお花や、紅葉の写真ですが、ブログ記事は壮絶ですね(>_<)

  7. 白い花 より:

    爺婆仔さんなんというか、母は強しで頑張れるのだと思います。ブログの文字は、前のままだと変だったので、出かける前に文字だけ変更しました。でも、他の機能はぜんぜん読む暇もなく出かけましたので、昨夜帰宅してブログを開けたらビックリでした。

  8. 白い花 より:

    hulalaさん私もこの年になってこんなことになるなんてと思いましたが、この年で良かったとも思いました。もう人生のメインステージは無事(?)に終えた後ですし。神戸の裏の山にはけっこう古い神社仏閣があるんですよ。

  9. 白い花 より:

    boooさん事実は小説よりも奇なりでしょう?もっと毅然とした態度をとるべきだったと今は思うのですが、その時は出来ませんでした。無念です!昨夜は有り難うございました。

  10. 白い花 より:

    Kazuhiroさんわざわざお越し下さり有り難うございました。今年も(来年も?)家族麻雀は楽しみです。お正月はもうすぐですね。日本は、まあなんとか幸せですよね。でも、この冬は鳥インフルエンザの流行も懸念され、少し落ち着きません。なにか世界を震撼させる様なことが起きそうなきがします。インフルエンザの蔓延の時は家にじっとこもっていなければと思い、今から食糧の備蓄をした方が良いのかと考えています。

  11. 白い花 より:

    昔の乙女さん不安というか、狐に騙されたというか、現実のことかと不思議な気さえしました。「えっ! 嘘! ほんま!」って感じのことが続くよねって、友人が言います。半分冗談で、御祓いに行くしかないとも・・・

  12. 白い花 より:

    Misaさんこんな読んで気分が悪くなるのを、ずっと付き合ってくださって皆さんに本当に申し訳ないと思って、感謝しています。この年でこんなことになるなんてと、落ち込んだりしていたのですが、このことがあったから、色々な方ともお知り合いになれたし、自分の中にも違ったものが生まれてきたように思います。私にないもの、足りないものをくれるということだったのかもしれません。これをプラスに出来ると良いのだと最近は思っています。

  13. main より:

    こんにちは~♪その後の歯の経過はいかがですか?インフルエンザの予防ワクチンを準備してるようですが国民みんなに行きわたるかどうかわかりませんね。年末に職を失った方々はワクチンを受けることすら考える間すらないでしょう、暗い話ばかりで寂しいですね。楽しく、明るい話題が欲しい今日この頃です。お大事にして下さい。

  14. 白い花 より:

    芳川町内会さん歯の方は来週の月曜日に歯科へ行きます。両奥歯が低くて使えない状態なので、気持ち悪いのもありますが、食事に差し障りがあり不便です。普通のインフルエンザの予防注射は、数的には不足しないのではないでしょうか。詳しくは知りませんが。鳥インフルエンザのワクチンがまだウィールスの形が決まらず製造に入れないので、大流行の場合はすぐに全員に行き渡ることは不可能のようですね。普通のインフルエンザ用のワクチンは、今年は私は打っています。昨夜のテレビのニュースで失業して寮も出ないといけないし、困り果てている方々のインタビューを見ました。昔の不況時代に同じような光景を見たことがある様な気がしました。

  15. ミッキー・フォール より:

    こんばんは~! 初コメです。今後とも宜しくです♪歯科治療のエピソード拝見しました! この歯科医、何か不審な行動が多いですね。。?私も痛みに我慢が出来ず、先ほど歯科医に行って来ました。開業したばかりで心配でしたが、行って良かったですよ!私の年代は、歯医者に対して恐怖感を抱いているのですが、処置してくれた医者は、患者に安心させる為、状況をモニターで説明しながら、治療してくれました。只、麻酔が解ける前に食事したので、唇噛んでしまいました~。。。^^

  16. 白い花 より:

    ミッキー・ホールさんコメントのお礼が遅れて申し訳ありません。今度のシステムでは、以前の記事のコメントは見つけにくいです(自己弁護でごめんなさい!)。最近の若い歯医者さんは、新しい知識を持っていらっしゃるし、接客?態度もきちんと教育された方が多いようですね。良い歯医者さんで良かったですね。最初の治療が大切ですよね。

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