歯科治療8年の苦労ばなし  37

 
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     写真は、雄岡山山頂にある神社の境内の椿の木です。ワビ助という花が全開しない
 
    小ぶりの種類で、古い神社らしく仰ぎ見るほどの大木に育っています。
 
     歯の方は、まだ次の歯科医が決まっていません。来週の月曜日に、以前の大学病院の
 
    主治医に相談に行く予定です。一月に予約を申し込んで一番早くて三月だったので・・・。
 
     今回も、大学付属歯科病院の続きで、 ”12 スプリントを嵌めて一生”。 これはから
 
     五年くらい前のことです。
 
           
 
 
                 「歯科巡歴の記ー蟻地獄に落ちた」
 
 
       第十六章  大学付属歯科病院
       十二  スプリントを嵌めて一生  
 
 
 
 通院、一年三カ月。試行錯誤の結果、やっと歯の高さ、位置が判ってきた。
 
「筋弛緩剤のおかげで随分と筋肉が緩んで、下顎の位置が変わったような気がします」
 
「そうですね。だいたい噛み合わせの位置も決まって来たし、そろそろ歯を作れますね」
 
「そうですか!」
 
「上下の歯の噛み合わせは、下が少し左にずれた位置で間違いないでしょう」
 
「ええ」
 
 確かに私自身もそう感じていた。今度こそ間違いない。

                               
 次の診察日。喜びは糠喜びになった。

 
「上下の歯をきちんと噛み合うようにするには、何本もの歯を高くしなければなりません」
 
 仮歯になっている四本の歯、仮留めになっているクラウン二本、合計六本を作り直すのは
 
もちろん。それ以外に、他の健康な歯にも、高さを調節するために上に金属を継ぎ足さなけ
 
ればならないと言う。三軒目と四軒目の歯医者が削った歯や、五軒目の大きすぎる仮歯の
 
せいで歯列が歪んで上下がきちんと噛み合わなくなった歯だ。
 
 さいわい歯の周りを削って被せる必要はなく、そのまま上に高さが足りない分だけ金属を
 
乗せることができるらしい。
 
「僕としては、そんなことはしないで、このままの状態でいた方が良いと思うのです」
 
「えっ? どういうことですか。おっしゃる意味が解りませんが」
 
「歯の先に付け足すものを、セラミックで作ることができれば良いのですが、僕は金属で作る
 
ことしかできません。セラミックは細工が難しいので失敗すると・・・。高価なものですから」
 
「は?」
 
「金属を歯の先に被せることになりますので、見た目が悪いです。
 
そんなことをしないで、スプリントを付けたままの方が良いのではと思うのです」
 
「えっ、そんな! 見た目がフランケンシュタインのような感じになるということですか?」
 
「はい・・・」
 
「スプリントを二十四時間、付けたままで、このままで、一生ということですか!」
 
「ええ・・・。全面矯正という方法もありますが、危険ですし・・・。だから何もしないで
 
スプリントを嵌め、噛み合わせの不都合や痛みを凌ぐというのが、一番良いと思うのです」
 
 一年以上も治療して、これが結論とはあんまりだ!
 
 今になって、酷いではないか!
 
 私の痛さ、苦しさ、不便さを解ってくれているのだろうか!
 
「全面矯正でなくても部分矯正して、その後、何本かの歯にセラミックを付ける
 
というのは駄目ですか」
 
「部分矯正でも危険で難しいです。・・・無理です。何かするなら、やっぱり歯の高さを足す
 
しかありません。あるいはこのまま何もしないか・・・。
 
教授に聞いても同じ事を言うと思いますよ」
 教授? 誰のことだろう。                                      
 
 通院して一年以上になるが、教授には会ったこともない。治療方針は教授が決定している
 
のか。その人は、まだ私の歯を一度も見たこともないのに、そんな結論を出せるのか。
 
 そもそも、私は歯科医六人グループの患者で、主治医はそのグループのナンバー2だ。
 
ナンバー1にも一度も診てもらったことがない。三度、私の座っている診察台の後ろまで
 
来たことはある。私の頭の後ろにあるカウンターの上のカルテを見て、指示を出しただけで
 
行ってしまった。
 
 だけど、ナンバー1を飛ばして教授とは、どういう事だ。
 
 私の歯はよほど厄介なのだろうか。
 
 スプリントを付けたまま、このままとは、どういう状態なのだろう。
 
 確かにスプリントは助けになる。しかし、三十分から一時間ごとに、スプリントを付けていて
 
不快になったら外す、外していて筋肉が痛くなるとか不都合が出て来たら付ける。煩わしい
 
限りなのだ。気になりだすと五分と持たない。自宅にいる時は、いつでも付け外しができる。
 
が、外出したときは厄介だ。四六時中、トイレを探す。長時間電車に乗ったときなどは、
 
乗換駅で必ずトイレへ行く。一本電車を遅らせる。次第に慣れてずぼらになり、乗客が少ない
 
ときは下を向いてハンカチで口元を隠し、こっそり外す。お婆さんが入れ歯を人前で外すよう
 
なものだ。外すことはできるが、付けることはできない。
 
 仮歯はどうするのだろう。
 
 奥歯がプラスティックの仮歯のままだと、食物を噛むにも不自由する。角が鋭くないので、
 
食べ物を噛み切ることは至難の業だ。上下が噛み合って食べ物を噛み切れる歯は
 
前歯一組だけ。このままでは普通の食事を一生取れないということだ。
 
 上下の歯が巧く噛み合っていないと、食べ物を噛んでいても美味しくない。下手に噛み合わ
 
せると顎が痛くなる。捻挫したような感じだ。口の中で、ああでもない、こうでもない、それは
 
痛い、と噛んでいると、だんだん嫌になってくる。食事の途中で食べる気がしなくなる。
 
人と一緒に食事をするのも大儀だ。食べる楽しみがない。栄養をサプリメントで補っている
 
が、痩せる一方だ。
 
 その上、スプリントや仮歯を付けていると臭う。口臭が気になり人に会うのが億劫になる。
 
ますます引き籠もりがちになる。
 
 それに、仮歯をセメントで留めたときの歯の痛み、筋肉の痛みは治らないのだろうか。
 
鎮痛剤を飲み続けなければならないのだろうか。それとも、留めずに上に乗せただけの
 
今の状態のままなのだろうか。
 
 筋肉の緊張、平衡感覚は、いったい、どうなるのだろう。
 
 食卓の椅子に座り、白い壁を見詰めていた。
 
 目立たないように、金属ではなくセラミックで作ることができる歯科医はいないのだろうか。
 
 そうだ! 教授に直接聞いてみよう。                    
 
「教授にお逢いできないでしょうか。治療方針について直接お聞ききしたいのですが」
 
「分かりました。それなら早い方が良いですね」
 
「急がなくても、お忙しくないときに、いつでも結構です」
 
「いえ、主治医の次の予約の前に、教授に診て頂いた方が良いですね。
 
ちょっとお待ち下さい。空いている日を調べてみます」
 
「お願いします!」
 
 良かった。親切な人が電話に出てくれて。
 
「もしもし、お待たせしました。一週間後は、いかがですか」
 
「そんなに早くですか。本当に有り難うございます」 
 
 大学病院の外来予約は一カ月に一度、それなのに一週間後にしてもらえるなんて!
 
                         つづく
 
 
 
 
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歯科治療8年の苦労ばなし  37 への13件のフィードバック

  1. Misa より:

    こんばんは☆大きな病院って大企業病みたいなのありますね。トップは下で何が起きているか知らないけれど、とにかく方針は下へ流す。白い花さんの苦しみを、わかろうとしていないあくまでもビジネス的対応。ただ、最後の電話で教授と会えることになって…よかった!と思ってから、うーん、このまま上手く行けばいいけれど…と心配になってしまいました。

  2. パンチ より:

    雄岡山山頂?場所知らないけど山頂に神社は珍しいね、富士山くらいかと思ってた、教授登場しても変わらないような?

  3. ガオゾン より:

    こんにちわ中国で作った義歯もようやく慣れてきて、唇を噛んで血を流すこともなくなりました。香港・中国は歯医者も客商売、日本はお医者さんが少なくて競争が無いですよね。香港は高いんで、羅湖の中国側に大きなデンタルクリニックが開業して、盛んに宣伝しています。本当に、航空券代使ってもこちらでの治療のほうが安くて確実かも知れないですね。

  4. booo より:

    自分も体に障害が出てから今まで健康だったときには感じたこともない事がいっぱい出てきました。それは、「人間の体って凄い!」ということです。 いろんな意味で。。。当たり前のことなのでしょうけど、、、ひとつひとつの神経はちゃんと的確に機能していて、頭の先から足先まで全てがちゃんと機能していないと自分の体なのに言うこと聞かなくなります。言うこと聞かない部分があると、他の健康だった部分にも負担がかかります。もちろん、いろんな働きをする歯も同じでしょう。。。白い花さんの苦悩が自分なりに分かります。教授が希望の光になるといいのですが。。。

  5. たんぽぽ より:

    こんばんは。これでは本当に痩せてしまいますね。私も歯を治療したことがありますが・・・歯は大事ですね。続きが気になります。

  6. abend より:

    こんばんは~なんだか 大変な想いをされたみたいですね。教授の様子がどんなか気になるところです。

  7. Nami より:

    フランケンシュタインのようになったら。。。どうしても、避けたいですよね~。教授がいるなら、少しは期待ができそう?かな。

  8. 洋子 より:

    スプリントというものの実物がどういったものなのか分かっていないのですが、読ませていただいているとずいぶんと億劫なもののようですね・・・それを一生、などと言われたらやりきれないのでしょうね・・・ワビ助の赤が鮮やかですね。

  9. じばこ より:

    「ワビ助」って、こんなに大きくなるのですね?向田邦子の作品でのイメ-ジで、大木にならないと勝手に思っていた。椿の種類って、花の様子がちがうのですね。「ワビ助」は、全開花しないのですねぇ~「山茶花」のように、花びらが散らばらないのかな?大病院は、難しい治療の患者は、判断を上にお伺いしなくてはならないのですね。余りにひどい!…時間をかけながら、困っている患者主体じゃないのね。一生、スプリントのままがいい_なんて、よくぞ、医者なのに言いますよね。明日、良い先生を紹介して貰えますようにヾ(゚ー゚ゞ)

  10. hulala より:

    こんにちは先日大きな口を開けたら骨のちょうつがいが痛かったのですよ、まずいことをしてしまったかなと思っていたら次の日は片側の肩から背骨が緊張してしまったのです。白い花さんの治療話を知っていたので緊張した筋肉を息を吐きながらゆるめるようにしていたら 3日くらいで治りました。知らないうちに筋肉が緊張してしまうのは怖かったですよ。(自分のことだけ書いてしまいm(__)m)

  11. ひだまり☆☆ニコニコ より:

    白い花さん、おはようございます^^(*^o^*)オ (*^O^*)ハ (*^。^*)ヨー!! 美味しいものを美味しく食べられないって、とっても辛いですよねっ(><)ひだまりも健康になり、普通に食事できることが、どんなに幸せなことなのかを気づいた時、幸せの意味みたいなものを感じることができました。歯のために、人と食事することが大変だったり、人と会うことが億劫になったりと、白い花さんのお辛かったことや、先のことを考え不安になられたお気持ちを考えると、一日も早く全ての治療が終わり、笑顔で生活できるように、ただただ願うばかりです。ひだまりもブログのお友達のところで可愛い「ワビ助」を見たので、先日、お気に入りの椿を観察してみました。ピンクの八重咲きで可愛い「乙女椿」は、まだ蕾でした。早く暖かくなって咲いて欲しいです^^

  12. main より:

    歯の治療大変ですね。お察しもうしあげます・・・とか言えないですが・・・。人間の体の部品はすべて消耗品ですね、宇宙開発とか進んでる時代なのに生活に必要な物への投資が少ないのは嘆かわしいですね、同じような悩みを持ってる方々は多いかと思います。こうして長期治療をされてる方々にも見てもらえるように、これからもブログを続けて下さい。

  13. 白い花 より:

    皆様コメント有り難うございました。なんか色々あって、でも次の歯科医も決まってで、ほっとして気が抜けてダウンしていました。一人一人の方にお返事することができません。申し訳ないです。本当に有り難うございました。

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