歯科治療8年の苦労ばなし  44

 
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 今回の花、ご存じですか。私はここへ引っ越すまで、花札の絵でしか見たことがありません
 
でした。藤は下に垂れて咲きますが、この花は上を向いて房を伸ばします。昔は女の子が
 
生まれると庭に1本植えて、お嫁に行くとき、それでタンスを作ったとか聞きました。もうお分
 
かりでしょう? 最後の写真に名前を添えますね。
 
 歯の方は、ひたすら5月11日を待つだけです。顔面筋トレに励むのみです。
 
 今回は、第十七章 教授が主治医 の ”5 あんなん偽医者や” です。 
 
           
 
                              
         「歯科巡歴の記ー蟻地獄に落ちた」 
   
   第十七章  教授が主治医
 
      
          五  あんなん偽医者や
 
 
 
 硬膜外神経ブロック注射と星状神経節ブロック注射を打つかどうか考えてくるから、次の
 
診察日まで待って欲しいと、前回は注射を断った。
 
 
 迷っていても前に進まない。他に為す術もない。西洋医だから鍼は素人だが、専門の麻酔
 
科医なのだ。西洋医学の術式ならプロだろう。
 そう自分に言い聞かせて診察室へ入った。
 
「今日は、硬膜外神経ブロック注射だけお願いしたいのですが」
 
「ああ、いいですよ」
 
 アザのことを報告した。
 
「僕、静脈になんか刺してません! 普通そんなアザにはならないです!」
 
「ご覧になりますか」 
 
 ズボンの裾を巻くし上げた。
 
「……」
 
 医者はチラと見て押し黙ったままだ。こちらも無言のまま巻くし上げた下着やズボンを
 
もとに戻した。部屋の空気が凍りつく。
                                                     
 
 なにか言わなくては! 今日の目的はブロック注射だ!
 
 医者の背後、診察室の奥に器械とベッドがいくつも並んだ大きな部屋が続いている。
 
あの器械を使えば正確に患部に注射できるのだろうか。この診察室のベッドで以前同様、
 
医者の感だけで打つのだろうか。
 
「あのう、注射はどこでするのですか?」
 
「注射はしません」
 
 医者はぶっきらぼうに言った。しますと言った初めの会話から何分も経っていない。
 
「えっ! どうして?」
 
「整形の先生に話を聞きましたが、特に間違ったことはしていないとおっしゃっています。
 
体質的にあの注射は、あなたには合わないのでしょう。ブロック注射は安全で後遺症がないと
 
今まで言われていましたが、そうでもないようなのです。そんなに何度もできません」
 
 話が違うではないか。それに、どんな体質だというのだろう。私は整形外科医が単に下手で
 
正確な場所に打てないのだと思っていた。
 
「今まで、そんなことはおっしゃらなかったですが……」
 
「次に待っている患者さん、神経ブロックで余計に悪くなったようなのですよ」
 
「はあ?」
 
「替わりに、鍼でなく、お灸でもしましょうか。匂いがするので病院にばれて叱られるかな。
 
アハハハー」
 
 置き針で懲りている。鍼灸で治すのなら専門の鍼灸師に頼みたい。
 
「前回、鍼灸師さんをご紹介いただけると、おっしゃいましたが」
 
「こういう体質の人は、あちらに迷惑ですから紹介できません。
 
行きたければ自分で行って下さい」
 
「どこが良いのか分かりませんので、その鍼灸院の住所だけでも教えて頂けますか?」
 
「……、はい、これ住所。では」
 
「この痛いまま帰るのですか?」
 
 歯には鎮痛剤が効くが、治療が巧く進まない。それに嫌気がさして衝動的に自殺するので
 
はと自分が怖かった。しかし、この脚の痛みは、痛さそのものに耐える自信がなかった。
 
このままで生きていたくない、生きていけないと感じていた。このまま帰るわけには行かない。
 
少しでもなんとかして欲しい。
 
「死にたいなどと形容するのは、精神的に問題があります。痛みで交感神経が高ぶって、
 
痛みを鋭く感じています。もう少し落ち着いて痛みが治まるか、交感神経が正常になったら、
 
ブロック注射をしても良いでしょう。その時また来て下さい」
 
 えっ! 
 
 返す言葉が見つからなかった。目を丸くしたまま医者の顔をじっと睨み付けていた。
 
 痛いから交感神経が高ぶる。交感神経が高ぶるから、よりいっそう痛く感じる。この悪循環
 
をどう断ち切るのか。自分ではどうにもならないから医者を頼む。なのに、薬も副作用が怖い
 
から止めろ。ブロック注射も体質に合わないから打てない。鍼もこんな体質では紹介できない
 
と言う。鍼の代わりにと言ったお灸の話も立ち消えた。なにもしないで、痛みが治まるか、
 
交感神経が正常になったらブロック注射をしてやるとは、どういうことなんだ。こんな説明を
 
どう納得したら良いのだ。
 
 もう、いい。この医者の器量はこんなものなのだ。診察室を出る。
 
 ばつが悪そうに取りなす声が追いかけて来た。
 
「また、いつでも遠慮なく来て下さい」
 
 白々しい、よう言うわ。
 
 前回の漢方薬の効果が芳しくないので違う漢方薬を処方してくれたが、次の予約はない。
 
変えた薬が、また合わなければどうするのだ。
 
 あれもこれも無責任ではないか! 
                                  
 
 診察室を出て、はっきり分かった。ここに来ることはもうないだろう。
 
 廊下の椅子に、前のめりになりそうなほど背中を丸め頭をうなだれた年配の男の人が座っ
 
ていた。自分の番をひたすら待っていたのだろう。私が診察室のドアを開けると重そうに
 
上げ、こちらに視線を向けた。しかし、チラと見ただけで、また重そうに視線を床に落とした。
 
目を閉じたのかも知れない。どうしようもない痛みを、ひたすら堪えているのだ。痛くてたま
 
ないときは、私も長椅子の上に上半身をベタッと寝かせ、目を閉じて待っていた。あの様子
 
余程痛いのだ。麻酔科医が言っていたブロック注射をして痛みが広がったというのは、
 
この人のことだろう。
 
 付き添っていた娘さんらしい人が、その人を残したまま、私と入れ違いに診察室へ飛び込ん
 
行った。                                                                                                                  
                                                                                         
 その夜、珍しく夫から尋ねてきた。
 
「それで、どうやった? 神経ブロックしたんか?」
 
「いいや。せえへん。あの医者、偽医者やったわ」
 
 思わず、そう答えた。
 
「なんやそれ、前は良い医者かもしれへんって言ってたよなあ?」
 
「うん、でも偽医者やった」
 
 初めは親切そうに色々言ってたけど、やっぱりあれは、ヤブや、偽医者や。
 
 今の医学レベル全部の病気が治せるとは、私だって思っていない。治せないなら治せな
 
いで、患者が納得きるような説明を用意してるのが、真っ当な医者なんや。西洋医学を
 
極めることも信じることできず、東洋医学もなめただけでチャラチャラお飾りにするだけ。
 
中途半端な気の弱い男や。
 
 あんな医者、糞食らえ! こっちからお断り! 
 
 お風呂の中で愚痴ってみたが、これからどうしたら良いのだろう。
 
 アザは青黒くさらに広がり、大きく醜く脚と腕に張り付いていた。あの医者が鍼をした患者が
 
全員こうなったのでないのなら、私の体質に問題があるのだろうか。原因はなんだろう。 
 
                                                               
 
アザを診てもらいに、近くの元循環器内科医の開業医へ行った。
 
「これはひどいですね。血液検査をします。紫斑病とかはないですね」
 
「ないと思います」
 
「それにしても右脚、細いですね。もとは左右同じだったのでしょう?」
 
 痛い右脚はさらに痩せ細っていた。張ってあるカイロで太く誤魔化せていると思っていたが、
 
ズボンの上からでも左右差がはっきり見て取れるようだ。
 
「血圧が百九十もありますよ」 
 
 フワフワしてなんか変だと感じていたのは、このせいだったのか。
 
「麻酔科でいただいた漢方薬を飲み始めてからのような気がします。止めてみます」
 
 一週間後、検査結果で血液の病気はないと分かった。
 
「ところで、その脚ですが、脊椎狭窄症だけでなく、動脈狭窄症でも似たような症状になりま
 
すよ。大きな病院の循環器内科で一度診てもらった方が良いですね」
 
 自宅の近くの総合病院に連絡を取ってくれると言う。
 
「病院の予約の日時が決まったらお電話します。紹介状を取りに来て下さい。
 
紹介の文書代を今日一緒に頂きますね」
 
 明日か明後日と言ったのに、三日待っても連絡がない。電話で問い合わせた。
 
「あっ、病院へ連絡するのを忘れていたようで、まだ予約の日時が分かりません。
 
すぐに手配しますので待って下さい」
 
 その後も連絡がない。電話すると、まだ忘れたままだった。
 
「もう一週間も待ちました。来週月曜日には診ていただきたいのですが」
 
  それには間に合わないと言う。紹介状なしで行くことにした。アザが薄くなる前に今の状態
 
を診てもらいたい。
                                                                                            
 
 
 どうしてこんなことまで手際よく運ばないのだろう。一度つまずくと、なにもかもが巧くいかな
 
いような気がする。精神的にも健康ではなくなってくるのだろうか。緊張してイライラしている
 
のだろうか。少しのことで、とんがってしまう。
 
 紹介状がないと初診料が要る!
 
 紹介状がないのなら、紹介状代を返金すべきだろう! 
 
                        つづく
 
             桐の木です。この感じ気に入っています。
 
 
 
 
 
 
 
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歯科治療8年の苦労ばなし  44 への14件のフィードバック

  1. booo より:

    歯科治療が、脊椎狭窄症、動脈狭窄症にまで発展しちゃうなんて。。。なんと言っていいのか、、、こうも無責任な医者達が当たり前の顔して診察したり、治療しているのかと思うと、本当に怖いですね。この状況では無理なことかもしれないけど、とにかく落ち着いてひとつひとつ対処していくしかないですね。白い花さんの痛みや苦しみが、少しでも早く和らぎますように!

  2. abend より:

    こんにちは。桐 こんな風に咲くのですね^^初めて見ました。本当に苦労されてますよね。気持ちが荒む時ありますからわかります。

  3. 乙女 より:

    桐の花は私も花札でしか見た事が無かったです。出来の悪い医者ばかりに当たっているような気がします(><)歯からこんなに苦しむ事になるなんて・・・恐い事です。

  4. 洋子 より:

    桐の花、初めて見ました。こんな風に咲くのですか・・・綺麗な花ですね。それにしても、白い花さんのお話を読ませていただいているとこんな歯科医や医師が世の中にはたくさんいるものなのか、と恐ろしく、また情けなくなります・・・心身ともにどれだけきつかったことでしょう・・・

  5. パンチ より:

    血圧190??今まで聞いた最高値だと思う、

  6. たんぽぽ より:

    こんなに辛い思いをされたんですね。それに、お金がかかってしょうがないですね。それでよくなればいいのですが・・・

  7. ミッキー・フォール より:

    こんばんは~!桐の花は初めて見させていただきました!花札か家紋の桐しか思い浮かばなかったですw青空をバックに花の青紫が映えて、とてもきれいですよ~♪精神的、肉体的痛みに大変な思いをされていますね。。病院も役所みたいに、たらい回し形態のように思えます。自分の失敗を認めないのは最低ですね。それと、紹介料を取っておきながら連絡を忘れるなんて・・権後両断です!

  8. じばこ より:

    そちらの地方でも、女の子が生まれたら「桐の木」を植える…..と言われているのですね?「福島県の会津地方では~…」と、聴いていたもんで^^;開業医も大学病院も、とんでもない医者にばかりにかかわっていますね。患者への応対が酷すぎますよね。今が、この頃よりいいので、文章を読んでられます。フワフワした気分の悪さ:::私も、経験しています。白い花さんは、今はないのですか?血圧は、塩分控えめにし、メタボでもなくても…薬でも精神状態(自律神経)でも上がりますよね–;

  9. main より:

    箪笥と言えば「桐」でしたね、最近は家具(箪笥類)は地震に倒れやすいと・・・家具屋さんが廃業してます。我が家では母のクローゼットを桐で作りました、今年1月に亡くなりましたが・・・その部屋には昔ながらの箪笥が残っていました。和服がいっぱい出てきましたが結局古着屋さんに一着当たり100円位で引き取ってもらいました(苦笑。お医者さん苦労が絶えませんね。信頼出来る歯医者さん、なかなか見つかりませんね、私も歯医者不信の一人です。歯学部って「お金で入れる学部」?(失礼。・・・なーんて思っちゃいます。

  10. Nami より:

    桐でしたか~。初めて見させていただきました。小さな川のほとりで桐のあたりだけが、華やいでいる感じですね^^それにしても、麻酔科の先生。ひどい先生ですね!私だったら、その場で憤慨して騒ぎ立てそうです。近くの病院もひどいですね。予約を取るというなら、ちゃんと取ってくれないと!血圧も上がってるようですが、はやくなんとかしてあげて欲しいんですが、なんの手助けも出来なくて、、、。

  11. Misa より:

    こんばんは☆もう、歯の話だけではなくなってきて…出てくるお医者さん、どんどん酷くなっているような気がします。患者さんの痛みをどこまで理解してくれるのか、そういう気持ちが全く感じられないですよね(>_<)世の中にどれほどの「偽医者」がいるのだろうか…考えると怖くなります…桐のお花は、初めて見ました!女の子が生まれたら植えて、お嫁に行くときのたんすにするなんて、素敵です。私の家には桐のもの、ひとつもないなあ~。。。

  12. ひだまり☆☆ニコニコ より:

    白い花さん、おはようございます^^(*^o^*)オ (*^O^*)ハ (*^。^*)ヨー!! ひだまりも桐の花、大好きですよ。ひだまりの近くには桐の木は見あたらないようですが、昨年SLを追いかけながら見つけました。母の部屋には古いタンスがあるので「こんな古ぼけたタンスは部屋に合わないよ」と言ってしまったことがあるのですが、桐で出来たタンスは、湿気の多いこちらの気候でも開け閉めがスムーズだったり、虫を寄せつけなかったり、良いところがたくさんあるのですよねっ。それが何年経っても変わらないから、母は自分の母からもらったタンスをお守りのように大切に使っています^^こちらでも桐ダンスで有名な街がありますよ^^どんどん大きくなっていく青黒いアザ、、、聞いただけでも怖くなってきます。知人も漢方薬を勧められて飲んだことがありましたが、体質に合わなかったようです。漢方薬は使い方を誤ると逆効果になることも多いと聞いたことがあります。治療が上手く進まず追い詰められていく白い花さんのお辛さがこの文章からあふれ出していて、ひだまりも悲しくなってきました(><)

  13. main より:

    こんにちは~♪連休に入り、いい天気になりましたね。桐の木の花も大きく開いてるかと思います、体調はいかがですか?先日の冷え込みで、ちょいと風邪っぽい私でした。

  14. 白い花 より:

    皆様、コメント有り難うございます。なんか色々と時間に追われて、一人ずつお返事を書くことが出来ませんでした。歯から、なんでこうなるのと、もう我ながら呆れました。友人達が言うように、お払いに行くしかないのかとか、前世で私はよっぽど酷いことをしたのかとか、無神論者?の私ですが、あの当時は考えたくなりましたよ。精神的にはかなりひどい状態で、今から思えば素直じゃなかったです。桐の花は古風な感じがして、毎年咲くのを楽しみにしています。花札みたいな葉が付いたときに、また写真を撮ってきますね。

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