歯科治療8年の苦労ばなし  48

 
        P1000290
  今日の写真も、我が家の庭の小さな花です。
 
 歯は、前回入れていただいた2本続きのクラウンと2本続きの部分入れ歯の調子を見て
 
います。部分入れ歯はプラスティックなので、高過ぎて痛いようなら自分で削っても良いと
 
言われています。1週間ほど我慢したのですが、少し削りました。その1週間後、まだ痛い
 
のでまた少し削りました。病院まで行って歯科医に削ってもらおうかと迷ったのですが、
 
自分でした方がほんの少しの調整が巧くいくので・・・。痛くなるのはクラウンや入れ歯の
 
乗っている歯茎の下の方の歯槽骨の辺りです。歯の根っこの下の辺りと言いましょうか。
 
そこが赤くなって膨れています。これは上下の歯の位置の変化などで、力のかかり方が
 
変わると、それに合わせて歯槽骨が増殖して補強されるためらしいです。新しく入れた歯
 
以前の歯とは位置が違うのだろうと思います。
 
 今回から後半の 「歯科からの帰還」 です。大雑把なこれまでの説明が前半分ほどを
 
占めていますので、退屈な方は飛ばしてください。
         
 
 
      「歯科巡歴の記―歯科からの帰還」
 
第一章  二人目の主治医
 
     一  長い悪夢   
     
  五十二歳の夏だった。
 
 歯を磨いたときに虫歯の味がする。治療は早目が良いと歯医者へ行った。虫歯はないが、
 
ブリッジが壊れているという。作り直すことになった。
 
「神経を抜いた方が、二度と痛くなることはないし、丈夫なブリッジが出来ます」
 
 勧められるまま、ブリッジの脚になる二本の歯の神経を抜いた。
 
 悪夢が始まる。
 
 神経を抜くのに失敗。歯が二本とも痛くなったのだ。その後、開業医八軒、総合病院の
 
歯科医二人に診てもらったが、ますますこじれるばかりで、街の歯医者では手に負えなくなっ
 
てしまった。大学付属歯科病院を紹介される。治療を始めて二年半経っていた。  
 
 大学病院へ転院したときは、二本の歯は痛いまま、そのうえ何本もの歯を削られ
 
九本の歯のブリッジ、クラウン、詰め物の治療が必要になっていた。それだけではない。
 
治療の過程でプラスティックの仮歯を試すとき、大きすぎるのを嵌めたために全身の筋肉が
 
攣り、歯列全体が歪み、噛み合わせが狂い、平衡感覚まで狂っている。顎関節も痛い。
 
筋肉の症状は全身に及び、股関節も痛くて長距離は歩けない。さらに厄介なことに、歯と
 
筋肉の痛みに鎮痛剤は効くはずなのに、歯と筋肉の痛みが合体したような私の痛みには、
 
まったく効果がなかったのだ。
                               
 
 大学付属歯科病院で治療を始め、一年が過ぎた。
 
 歯一本一本の正しい三次元的位置が分からないと、クラウンもブリッジも作ることができ
 
ない。一年間、スプリントというマウスピースに良く似たものを上の歯列に嵌めて、噛み合
 
せの位置を探した。スプリントだけでなく筋弛緩剤で筋肉の緊張を緩めることも試した。
 
その甲斐あってか、筋肉も以前よりは緊張が解け、歯の位置もはほぼ分かってきた。
 
だが、分かってもその通りに歯を作れるとは限らないようだ。主治医は自分の技量では難し
 
いと言う。
 
 この主治医では、ここから先へ治療が進むという希望は持てない。歯や筋肉の痛みいう
 
肉体的苦痛のうえに治るという確信もなく、私の心はどん底で喘いでいた。こんなにして
 
まった歯医者を恨んでみたところで、歯がもとに戻るわけではない。どこにも気持ちの持っ
 
行き場がなかった。
 
 なにか突破口を見付けなければ。
 
 治療ミスでこんな状態にした開業医を訴え裁判をしよう。
 
 弁護士と相談したが、刑事告訴はまず無理だと言う。死んだとか大怪我をしたとか、命に
 
かかわるようなことでない限り、警察は採り上げてくれないらしい。これだけの歯と筋肉の
 
ダメージは大怪我に当たると私は思うのだが、歯に対する世間の理解はまだまだのようだ。
 
民事の訴訟ならできるらしい。が、説明を聞けば聞くほど、歯も筋肉も痛いまま、まだ治療が
 
続いている状態で裁判をするのは無理のように思った。治療の目処が付かず落ち込むのを
 
なんとかしたい。怒りを裁判で晴らしたい。ところが、ますます泥沼に足を突っ込むことになり
 
そうだ。勝ってもお金しか手に入らない。体は元には戻らない。
 
 裁判は諦めた。
 
 しかし、このままでは精神的に耐えられそうにない。心理カウンセラーを頼もうと思ったが、
 
今の私の状態では効果は期待できないらしい。歯を治すしかないと言われた。
 
 なにも突破口が見つからない。いっそう悲壮感が増していた。
 
                     
 ちょうど、そんなころ主治医が替わった。
 
「これ以上の治療は諦めて、スプリントを付けたままの状態で一生行くしかないですよ。
 
教授も同じ意見です」
 
 若い主治医が言う。直接説明が聞きたくて教授に会わせてもらった。
 
「僕が替わっても良いですよ」
 
 一時間の話の後で、教授が言ったのだ。
 
 この歯科病院では、補綴科、歯周科、保存科などように科がたくさんあり、一つの科ごと
 
トップに教授がいる。その下にグループがいくつかあり、それはピラミッド状に六人の
 
歯科医で構成されている。患者はどれかのグループの担当になり、六人のうちの一人が
 
主治医になる。私の一人目の主治医は第一補綴科Yグループのナンバー2だった。
 
 ナンバー2がギブアップしてナンバー1を飛び越え、その上の教授が主治医になったのだ。
 
大学病院で治療を始めて一年半が過ぎていた。 
 
 どうして、Yグループのナンバー1を飛び越えて教授なのだと不思議だった。
 
 調べてみると、主治医のナンバー2はこの大学の出身ではなく、他の大学を卒業後
 
この病院へきたようだ。教授もこの大学出身ではなく、この春この病院へ赴任してきたばかり
 
だった。教授とナンバー2は同じ大学出身で、ナンバー2は前の大学で教授の教え子だった
 
ようだ。ナンバー1は、この大学の出身だった。そういうことが関係しているのかも知れない。
 
 それに教授は赴任したばかりで張り切っていた。ややこしい患者は自分が引き受けてやろ
 
うと思っていたのかも知れない。
                               
 主治医が替わるときに困ったことがあった。
 
 替わる一カ月前の診察日だった。若い主治医は忙しかったのか、スプリントの調整を
 
ナンバー3に任せた。それまで他のメンバーに調整を任せたことは一度もない。詳しい指示
 
していなったのだろう。ナンバー3は一気に全体を低く削ってしまった。半年前に低いのは
 
合っていないいうことが分かり、高くするためにスプリントをわざわざ新しく作って調整しな
 
おしていたのだ。
 
「先生、スプリントが低くなっています。高くしていただけませんか?」
 
 若い主治医最後の診察日に頼んだ。このままでは、一年半調整してきた結果がこの状態
 
なのかと、次の主治医が誤解してしまう。  
 
「僕はスプリントを低く削ったことなどありませんよ」
 
「前回、他の先生が低く削られたものですから」
 
「……でも、もう手を加えることはできません。僕はこのままの状態で、教授に引き継がなく
 
てはならないのです」
 
 頑固にそう言い張った。
 
 やっぱり人が替わると、厄介なことが起こるものだ。新しい主治には、私が事情を説明し
 
た方が良いのだろうかどうなるのかと気を揉んでいた。
 
 ところが、新しい主治医は一回目の治療の日に、スプリントの型をさっさと新しく取り直した
 
のだ。以前の治療内容にこだわらず、自分なりの考えで進めていくのだろうか。カルテに事情
 
が書いてあったのだろうか。ともかくほっとする。
                                  
 次の診察日に気が付いた。
 
 カルテが以前のとは違うのだ。この一年半の記録が書かれたカルテの紙が、すべて真っ白
 
の新しい紙になっている。この病院では救急の診察のときや二科以上の受診のときは、
 
カルテを患者が持ち歩く。患者が読もうと思えば読める。自分のことだから目を通しておこう
 
と、私も通院初めのころは読んでいた。ミミズの這ったような字だ。読み辛くてそのうち面倒
 
なり、たまにしか目を通さなくなった。だから中身については大した記憶がないが、カルテ
 
紙の色や汚れ具合などは知っている。少しくたびれて薄黄ばみ、診察日ごとに字の濃さ
 
違っていた。それなのに全ページがまっ新のパリパリの紙になって、どのページも同じ調子の
 
字で同じペンの濃さになっている。この病院がカルテの改竄で裁判に負け、マスコミを賑わせ
 
てまだ間もないころだった。
 
「カルテの紙が全部新しくなっていますが、前の主治医が書き直されたようですね」
 
 新しい主治医に言ってみた。
 
「そんなことはないでしょう。カルテの改竄など、あってはならないことです。大問題ですよ」
 
「ええ、でも紙が新しくなっていますが……」
 
写真でも撮っておけば良かったのだが、私が感じただけの話で証拠はない。その話は立ち
 
消えになった。汚いので綺麗にと思って、書き直しただけかも知れない。改竄しなければな
 
らないことなどないはずだ。
 
 その後しばらくして、カルテは鍵の付いた青い袋に入れられ、患者が見られないように
 
なった。                                                
                             
 さらに、うんざりすることがあった。
 
通院して初めのころMRIを撮影していますので、それを一度見ていただけますか? 
 
それと、石膏の歯形も取っていますのでそれも参考にしてくだされば」
 
 治療の参考にするために頼んだ。
 
MRIの写真が見つからないのです。次回まで探しておきますから
 
 一カ月後に写真は出てきたが、歯形が見つかったのは二カ月後だった。しかも六個取った
 
うちの一番最初に取った一個だけだ。六個のうち五個は紛失したらしいと、一年以上も前
 
告げられていた。それで、そのとき一個取り直した。無くなったはずのうちの一個が出てき
 
て、取り直したのはまた紛失したのだ。なくても治療には大した差し障りはないのかも知れ
 
いが、必要だから保管することになっているのだろう。なんといういい加減な管理なのだと
 
呆れてしまう。一度紛失したときに今度こそはと頼んでいたのに、これなのだ。
 
                     つづく
 
 
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歯科治療8年の苦労ばなし  48 への17件のフィードバック

  1. さんぽ より:

    こんにちは。主治医が替わる・・これは不安ですね。(本来は信頼で安心のはずですが・・)今はニュースや友人のトラブルを耳にする事も多く、非常に不安です。しかし、患者としてはどうにかして欲しいから病院へ行くわけで・・・いい主治医との出会いが必須ですね。今回のお庭の花も 可愛くてやさしいお花ばかりですね。

  2. パンチ より:

    鍵ですか?カルテ証拠隠滅したととられても仕方ないですね、で紛失ですか?どうなってるんでしょうね、

  3. booo より:

    なんとなく病院のグレーな部分が徐々に黒くなりそうで怖い気もしますね。。。本来はうんざりを解消するために通院しているのに、どんどん大きくなっていくようですね。近代化する病院でも、保管物に対してはどれだけ管理されているのか、疑問に感じることはたしかにありますね。

  4. main より:

    貴女のHNと同じ、トップの写真・・・自然の美を感じます。カルテの改竄とは、ちょっと情けない話ですね。手書きのカルテってけっこうドイツ語で読めない部分がありますね(歯科も同じかと)。最近のカルテはPCを使ったものが増えてる様子、担当医が変わっても患者Noですぐに判るシステムになってるかと。医学とは 学問だけではなく、患者の立場をどれだけ判るかかという項目を加えて欲しいものですね。

  5. じばこ より:

    改めて、経過を読ませていただいて__悲しくなりますね~治療のはずが拷問だったのですから・・・私も先日、歯科検査に行った時、「調子はいいです♪」と答えておきました。いらない治療は必要ないと勉強しましたので。。。ね。「一箇所、虫歯になりかけていますから、歯ブラシで直るように努力して下さいね」と、言われましたが、、、開業医だったら、削られたかも…と思ってしまいました!

  6. たんぽぽ より:

    お庭に、いろいろな花が咲いているなんてすてきですね(^_^)それにしても、ひどい話ですね。何を信じていいのかわからなくなりますね。

  7. abend より:

    こんばんは~清楚なお庭という感じがします。素敵な花々です。医者というだけで こちらは信用して身体を治療してもらう訳だけど医者も天職のような人とまったく見れない人居ますもんね。

  8. 乙女 より:

    恐い話ですね。患者は素人だからプロのお医者さんに言われれば素直に受け入れて、それが後になって間違いだったなんて許せません(><`)病院に行って医者を信じずに誰を信じたらいいのかしら?不安になっちゃいますね。

  9. 阿霞 より:

    優しい感じのお庭なんだろうなぁって、想像します歯医者さんもいろいろですね・・・そこまで隠そうとするなんて・・・

  10. ミッキー・フォール より:

    治療がうまくいかないと他の医師にバトンタッチ・・管理しなくてはならない写真を紛失・・おまけにカルテを改竄。。^^;どうなってるんでしょうね。・・・何を、誰を信用していいのか分からなくなるでしょう。先日4連のブリッジが完成しまして、入れてもらったのですけど、神経を取ったはずの仮歯が痛むのです。w医師にそのことを伝えましたら、ブリッジは仮接着で様子をみてくれることになりました。

  11. main より:

    歯科って一番楽にとれる医師?と、漫然と思っていました。直接「生死」に関わりのない医師です、そういう医師こそ「患者」の側に立つべきです!!このブログを歯医者さんに観てもらいましょう!!

  12. ぷち より:

    こんにちは・・(^-^)お庭のお花・・・かわいいですね・・私の実家も母が茶花を色々植えて楽しんでいますが、名前を聞いてもすぐ忘れてしまって。。。私も今、月に1回メンテナンスに歯医者に通っていますが、変な治療をされたらと思うと恐いですよね・・・責任の所在って、近頃はうるさく言うのに・・・あまりの無責任さに呆れてしまいます・・・

  13. Misa より:

    こんばんは☆なんだかお話が病院単位での暗い部分に移り始めていて恐ろしいです。その場にいらっしゃった白い花さん、どんなに不安なお気持ちだったか、許せない気分になります。真実は一体どこに???お花の写真でほっと安心します(^-^)

  14. 洋子 より:

    花々の写真が素敵ですね。カルテにしても歯形にしても・・・こんなにずさんな管理状態では信頼度ゼロですよね・・・よくそんないい加減なやり方で続けていけているな、と思ってしまいます。

  15. ひだまり☆☆ニコニコ より:

    白い花さん、おはようございます 長い長い悪夢。。。白い花さんがここに綴ってこられた他にも、一日一日を振り返ったら、文字では表すことのできない苦しみがあったはずです。治療ミスが歯だけでなく、体全体に及ぼしていったダメージと精神的に受けてきたダメージを誰に訴えて良いのはわからない辛さは、ここを読んでいるみなさんにも白い花さんの悲痛な叫びが伝わってきていると思います。 以前のカルテや写真がなくなった時の白い花さんの不安な想いを病院側はわかっているのでしょうか。。。オーバーな言い方かもしれないけど、何か証拠を隠しているようで、なぜ?と言う想いが膨らんできます。

  16. Nami より:

    白い花さんのお庭には珍しいお花が咲いているんですね。赤い花も、白い花も黄色い花も、初めて観たものばかりです。どれも、カワイイ!歯医者もそうだし、もう、信用できないですね。TT

  17. 白い花 より:

    皆様コメント有り難うございます。今週は孫の子守で、お一人ずつにお返事が書けません。申し訳ないです。12月に次男に2子が生まれ、6月2日に長男にも第2子が生まれました。長男が育児休暇を取る予定だったのですが、ちょっと生まれるのが早かったので、今週は仕事に行かなければなりません。で、私が助っ人で、上の子を預かっています。4歳の男の子なのですが、体力要ります!脚に負担にならないように、気をつけて頑張ります。幸い新幹線とか電車が好きなので、昨日は新神戸駅へ新幹線を見に行ってきました。プラットホームのベンチに座ってお弁当を食べたり、写真を撮ったりと朝から昼過ぎまで遊んできました。すごく喜んでいました。帰りはデパートで新幹線グッズを買って帰りました。今日は昨日借りてきた新幹線のDVDを見ています。私は横で居眠りしています。

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