歯科治療8年の苦労ばなし  53 

 
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 今週の写真は、泰山木(タイサンボク、北米原産のモクレン科)です。モクレン科の花が
 
大好きで、タイサンボクとオオヤマレンゲを庭に植えていたのですが、両方とも枯らし
 
しまいました。無念! タイサンボクは近くの公園で、最後の2枚は韓国で撮りました。
 
 歯の方は、歯槽骨が増殖したところが痛いので、力がかかりすぎないように、また自分で
 
プラスティックの部分入れ歯を低くしました。病院へ電話しようかとも思ったのですが、
 
気が重くって・・・どうせ、「今のところ我慢するしかありません」とか、「僕、どうして良いか
 
分かりません」と、言われそうで・・・
 
 今回も、まだ第一章の二人目の主治医の続きで ”6 鎮痛剤の副作用” です。
                             
                  
         「歯科巡歴の記―歯科からの帰還」
  
 第一章  二人目の主治医
 
      六  鎮痛剤の副作用
                                       
往復六時間を三年以上も通って、治るどころかよけいに悪くなっている。これでは希望が
  持てないではないか。
                                                             
月に一度の予約の日が近づくと憂鬱になる。どうせ治療を受けても大した効果はない。
  お先真っ暗で病院へ行く気がしない。そうは言っても行かないわけにもいかない。重いお尻を
 
  渋々あげる。
一人目の主治医のときは、磨り減ったプラスティックの仮歯を高くして、スプリントの調整を
  した。なかなか巧くいかない。
「これでどうですか?」
 
「ちょっと噛み合わせが合っていないようですが」
 
「今度はどうですか。これで良いですか?」
 
 何度か仕直しても巧く合わない。
 
「どうですか?」
 
何度もやり直すうちに医者の方も嫌になるだろうが、患者の方もくたびれてくる。
 
「ああ、はい、これで結構です」
 
 もう諦めて手を打つ。
 
 帰りの電車の中でスプリントの合わないのが気になり出す。仮歯を被せた歯も痛くなる。
 
歯と筋肉の合体した痛みに鎮痛剤は効かない。翌日、痛みに我慢できなくなって仮歯の
 
セメント付けを外し、上に乗せるだけにする。噛み合わせが悪くて痛いところ不快なところは、
 
自分で調整した。百円ショップで買ったヤスリが重宝する。なんのために病院へ行ったの
 
ろう。一日ついやした。治療費と交通費もバカにならない。
 
                             
 
次の予約までの一カ月間の最初の一週間は、やりきれなくて気分がイライラしている。
  二週目になると、病院の余韻が薄れて少し落ち着いてくる。歯も顎も筋肉も痛いけれど、
 
  セメント付けを外した痛みには鎮痛剤は効く。とにかくしばらく病院へ行かなくて良い。
 
  三週目は、病院から遠くへ逃げ延び、縁が切れたようでほっとする。四週目になると、また
 
  行かなくてはならない。だが、行っても無駄だと気が滅入る。痛みが増すような気さえする。
 
  一日一日日が迫る。胸の中に鉛が詰まると、こんな感じなのだろうか。胸が重くて苦しい。
 
   仮歯が割れて、予約以外にも救急で行かなければならないこともある。しかし、病院へ行く
 
  のは気が重かった。
                               
一年半ほどして主治医が若い歯科医からベテランの歯科医に替わった。それからは、
  スプリントも仮歯も噛み合わせが結構合うようになり、痛みに鎮痛剤も効くようになった。
 
  しかし、歯が傾き、仮歯がすぐに外れるようになってしまった。仮歯がしっかり載っていないと
 
  気になって首や顎の筋肉が攣る。筋肉の凝りがこめかみを越え、頭痛まで始まった。
もともと歯と筋肉は痛かったので鎮痛剤は使っていたが、こんな状態になって、ますます
  鎮痛剤を手放せなくなった。大学病院へ通う以前からだから、もう五年以上は飲み続けてい
 
  る。段ボール箱一杯分くらいは飲んだだろうか。
                                     
   ある日、主治医が突然言った。
「鎮痛剤、そろそろ止められませんか」         
 
「まだ痛いので……」
 
「うーん、しかし、鎮痛剤を長く飲んでいると副作用で、痛みを感じるようになってしまうと
 
言われています」
 
「えっ? たくさん飲まなければ効果がなくなるとか、鎮痛剤を飲まずにはいられなくなるとか
 
そういうことではないのですか」
 
「そうではなくて、鎮痛剤を飲むと、痛みを感じるようになるのです」
 
これは初耳だった。
   私の場合、主治医の説明したような状態にはまだなっていない。鎮痛剤を飲むと痛みは
 
  治まている。だが、このままだと、いずれそうなるから今のうちに止めるのが賢明という
 
  ことか。あるいは、歯根の治療をしなおす必要はないと言ったものの、いっこうに痛みが治ま
 
  らないので原因を一つ一つ探っているのかも知れない。まず思い当たるのが薬の副作用と
 
  いうことなのろうか。しかし、以前、痛みは慢性痛になっていて、幻歯痛と言うのだと説明し
 
  てくれたではないか。
鎮痛剤を飲まない状態だと痛い。痛みを我慢すると慢性痛に移行する。激痛を我慢すると
  早い人では二週間で慢性痛になってしまうこともあるそうだ。で、痛いのも我慢できないし、
 
  慢性痛になっても困るので飲む。すると、そのうち鎮痛剤を飲むと痛みを感じるようになる。
 
  では、いったいどうすれば良いのだ。
「とにかく薬の量を減らしてください」
 
「はあ……」
 
「手元にあると飲むので、手元に置かないでください」
 
「はあ……」
 
痛いという実感だけではなく、さらに痛みが増したらという恐怖心のせいもあるのだろう。
  手元にあれば飲んでしまう。手元になければ我慢せざるを得ない。私の場合はすでに慢性痛
 
  になっているらしいので、皮肉だが、痛みを我慢して慢性痛に移行するという心配は無用だ。
しかし、手持ちゼロにはできなかった。十錠くらいは、いつも持っていた。それでも、しばらく
  は飲む回数を減らすことができて、このまま減らしていけばゼロにすることができるような
 
  がしていた。
ところが、事は巧く運ばないものだ。脚の痛みが増したので診てもらった整形外科医が、
  同じ鎮痛剤を処方した。歯科医の指示を伝えても、副作用については知らないのか、飲んで
 
  効くのならそれで良いではないかと言う。なかなか減薬は進まない。
その後、脚の痛みに飲薬は効果がないと分かって、整形外科の治療は、脊椎への硬膜外
 
神経ブロック注射に替わった。鎮痛剤の量を減らすことができる環境になったのだ。
 
減らそうと努力はしたが、たやすくはない。
「薬を欲しかったら、いつでも言ってね。私のをあげるから」
 
腰が痛くて整形外科へ通っている友人が心配して声をかけてくれる。そうでなくても、
  その気になれば鎮痛剤を手に入れることは難しくはない。整形外科だけでなく婦人科でも
 
  簡単に処方してくれる。薬局でも買える。 
                            
もう、行き止まりの壁に顔をぶっつけ、低い鼻も、おでこも、唇までザラザラした壁面にくっつ
  けたままという気分だった。
大学病院へ転院して三年目も終わり、四回目の新年を迎えていた。
 
「先生、二本の歯の治療、やっぱり仕直して頂けませんか」
 
「えっ!?
 
「待っていても、ラチがあきませんし。駄目元でも、今より悪くなってもかまいません。
 
試したいのです。歯周科の先生にお願いして良いですか」
 
「そうですか……。ここでも、それくらいできます。僕しましょうか」
 
 主治医の承諾には安堵したが、申し出にはちょっと困った。
 
「いえ、向こうの先生が、やらせて欲しいと仰っていましたから」
 
 歯周科の歯科医の方を選んだのは、その専門だからということもあった。が、一年前のこと
 
も忘れてはいなかった。あの時、主治医はその必要はないと言いきったのだ。今になって
 
「僕しましょうか」は、なんなのだ。一年間も無駄にしてしまったではないか。
 
それでもとにかく、やっと二本の歯の根を治療し直すことに漕ぎ着けた。
 
 
 
歯の根の治療中は炎症を抑えるためにも、鎮痛剤は飲まざるをえなかった。また回数が
  増えた。それでも治療が順調に進んでいたので、薬を飲む飲まないということに神経質に
 
  ならずにすんだ。治療が成功して痛みが消えれば薬は不要になるだろう。
 
            
        この2枚は韓国で撮りました。オオヤマレンゲ? と、厚朴(ほお)の花の散った後? 
        日本の厚朴の木を撮すチャンスがありません。病院へ通う高速道路の脇に咲いているのですが、
         危なくって。オオヤマレンゲは見かけませし。
                                                     つづく
 
 
 
 
 
 
 
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歯科治療8年の苦労ばなし  53  への15件のフィードバック

  1. さんぽ より:

    木蓮はいいですね。・・早春に葉がない木に咲くもくれんが母との思い出があり 好きですが・・・オオヤマレンゲも昔、庭にありました。母が大切にしていました。木蓮を見ると母との会話を思い出します。鎮痛剤では 眉毛の近くにある**神経を傷めたことがあり・・・それ以来鎮痛剤を極力我慢する事にしています。薬の怖さを感じて・・・ 

  2. たんぽぽ より:

    きれいな花ですね。鎮痛剤、今まで、そんなに飲んだのですか?・・・すごいですね。どうにかして、痛みのない生活が送れるといいですね。

  3. パンチ より:

    付きに1回しか行かないんですか?常用すると薬の効果なくなるんだろうね。

  4. Chieko より:

    こんにちは^^ 痛みどめ、効かなくなっちゃったりしますよね。。私だったらどうするかなぁ。。。ペインクリニックに行って相談するかもしれない。痛いのは本人にしかわからないですからね。つらいですね。

  5. Misa より:

    こんばんは☆鎮痛剤は、胃にも負担がかかりますものね。でもそれを飲まないと日常を過ごせないという過酷な日々…それに、手元に置かないように言われても、不安でストレスがたまって逆効果のような気もするのだけれど…。お医者様によってその辺の考え方もいろいろあるだろうし、でも、とにかくご本人が一番つらいのですから、患者さんの立場とちゃんと向き合ってお薬を処方したり、調整して欲しいですね。

  6. じばこ より:

    マイケル、ジャクソンを思い出してしまいました。傍からはちゃんとして見えても_辛い時は、判断力が鈍っていますもんね。以前、説明を聴いていた内容と違えば、尚更です!記録に残していた時期で良かったですね。辛い時のことは、覚えてないことだらけですもの~医者に通う気持ちが、とっても素直に表していますね。私も、医者に行くのは何ともないと言う人が、とっても羨ましいです。心臓がパクパクしてしまいます–;今は、それを分かってくれる医院に巡り合え、あまり患者がいないのには、?…ながら、行ってます^^:どのようにしてこの時期から脱出出来たか、早く知りたいです!

  7. hulala より:

    こんにちはタイサンボクが素晴らしいですね。ご自宅のは枯れてしまったのですか、それは残念。蓮の花のようにも見えるしっかりしたようすが大好きです。

  8. 阿霞 より:

    鎮痛剤も依存性がありますしね・・・でも、飲まないと痛いし・・・お花、綺麗ですね~

  9. booo より:

    100円ショップのやすりで調整できるレベルというのが、不謹慎でしょうけど歯科医達のレベルに笑っちゃいますね。。。往復6時間は大変な労力ですよ。仕事でも辛い。おまけに鎮痛剤の問題。。。そして「僕しましょうか」も、お金になるからかな?。。。自然な花の鮮やかさや穏やかさが、心から癒やされる日々だと思います。

  10. 洋子 より:

    白い花さんの当時の心の揺れが伝わってくる文章だなとそんなところに感心してしまいます。鎮痛剤、薬はなんにしろ飲み続けると副作用が出たり効果が鈍ってきたりなどあるものですよね。でも辛い状態だと頼らずにはいられないのが実情。辛い所ですね・・・

  11. main より:

    こんばんは~・・・鎮痛剤が痛みの慢性化を生むんですか、困った話ですね。多分 ロキソニンかと思うんですが PL顆粒(セデスの病院向け)では そういう話を聞いたことが無いんです。ロキソニンは胃を痛めますし。そんな簡単な話ではないかと思いつつ、歯の神経(痛みを感じる)も過敏になってるのかな?歯の神経って本当に微妙な面があるんですね。

  12. ひだまり☆☆ニコニコ より:

    白い花さん、おはようございます^^白い花さんのようにお出かけ先でお花や木もカメラに収めて来ると後で見た時に、どの季節に行ったかやお天気はどうだったかがひと目でわかっていいですよね。モクレン科の白いお花も清々しさが伝わってきて、素敵ですね^^せっかく治療に行かれても、直ぐにご自分で治さなければいけなかった白い花さんのお辛さがこの文章から伝わってきます。ひだまりも通院の日を心待ちにしていても、その日が近づくと憂鬱になり、どうせ、、、と何度も思ったことがありましたがそんな気持ちを先生の方がよく理解して下さっていたので、精神的にたくさんのサポートをして下さった先生には感謝の気持ちでいっぱいです。でも、白い花さんの辛さや不安な想いはひだまりとは違っていて、病院へ向かう心が重く精神的な負担がどんどん大きくなっていかれたことがわかります。お薬の方も難しいですね。ひだまりは痛みがある病ではなかったのですが、飲まなくても常に手元にないと不安になっていました。でも、痛みがある時は、精神的なことばかりではないので、医師とのしっかりとした話し合いも必要になってきますよね。

  13. ぷち より:

    こんにちは・・・(^-^)鎮痛剤、副作用があるんだろうなとわかっていても、痛いと我慢できませんよね。でも、鎮痛剤を飲むと痛むようになるなんて初めて聞きました。本当にどうしたらいいのかわからなくなってしまいます・・・100均のやすり、私も持っています・・・石を磨いて勾玉や石器などを作るのに使っていましたが、白い花さんは、自ら仮歯の調整に使われていたんですね・・・なんだか切なくなってしまいます・・・

  14. 白い花 より:

    皆様コメント有り難うございました。痛みと鎮痛剤のかねあいは、本当に難しいようです。昔は、常用すると効き目が薄れると言われていましたよね。でも、最新の情報では、飲み続けていると、薬を飲むと痛みが治まるのではなく、痛みを感じるようになると言われているらしいです。これは歯科医がそう仰っていましたので、脳神経専門医にも確かめましたところ、そうだということです。最先端のことなので、民間病院の臨床医の整形外科医は知らなかったようです。歯科の主治医は国立大学の教授なので、そういう新しい情報は知っているのでしょうね。で、これは、歯の痛みだけでなく、薬の種類も関係なく、言えることらしいです。私が使っていた薬はロキソニンです。これは軽い部類に属するもので、気楽にどこでも処方してくれるようです。私の場合は胃にも大した負担にはなりませんでした。ボルタレン(最初間違えてデパスと書いていました。書き直しました)という鎮痛解熱剤がありますが、これは強力で全身が冷え、すぐ粘膜に穴が開いて出血するそうです。私も、2軒目の整形外科で処方されたのですが、体が冷え切って、手足までしびれて、冷えのために却って痛みが増しました。より効果があるようにと飲み薬ではなく、座薬で入れていましたので、粘膜がやられて、やっぱり下血しました。口から飲むと胃の粘膜に穴が開くと言います。知り合いの医師に聞くと、たいていの人が出血するから、即刻止めた方が良いと言われました。結局、その薬も効果がなかったので、神経ブロックになりましたが・・・それも効かず・・・。私も、百均のヤスリで素人の私ができるのにと思いました。でも、考えてみると、歯が動いていたり、筋肉の緊張が一定していなかったりと、その時その時で、歯の状態が決まらないからではないでしょうか?自分でだと、自宅で、色々の状態の時に、何回にも分けて少しずつ、手間、時間を惜しまずにできます。病院だと、その時一発勝負なので・・・たぶん?・・・でも、どうかなあと思って、県の歯科相談所のようなところに、相談に行ったことがあります。相談にのってくださった歯科医がおっしゃるには、「この治療には歯と筋肉についての知識がいるので、自分の腕では到底駄目。たぶん、どこの開業医でも無理だろう。大学病院の歯科に行くしかない」でした。これは知識的にも、技術的にもですが、経営的にもだそうです。開業医などでは、利益にならないので診ないというのです。知り合いが言うには、1回の治療が15分を超えるようなのは、大きな病院へ回すとか。ネットでも歯科を検索しましたが、普通の町の比較的簡単な治療をする歯医者か、特別の名医と言えば、インプラントや歯列矯正などの審美歯科のような歯科病院しか見あたりませんでした。手間暇のかかる歯根や噛み合わせなどの治療をする歯科医は減ってきているようです。医者とよく話し合うのは大事ですよね。私は、それが下手なのでしょうね。でなかなか巧くいきません。こちらが泣きそうなくらいの顔をしていると、とりあえずは優しくしてくれるのですが、いざ、肝心の治療となると、医者にもどうして良いか分からないという感じです。私だけが、主治医と相性が悪いのかと、他の患者さん2人に尋ねてみたのですが、その人も同じ事を考えていたと仰って、話をしたいからと電話番号を教えて下さいました。結局、どこの民間の歯医者でも治らなくて、この病院へ紹介されてきたのだから、簡単に治る状態ではないのかなあと思ったりしています。どうして、この状態から抜け出たのかというと、一か八かで覚悟して、してもらった再治療で、痛みが取れたからだと思います。

  15. 白い花 より:

    ごめんなさい! 最初ののコメントに、鎮痛解熱剤の名前をデパスと書いたのは、ボルタレンの間違いです。なんか最近、覚え間違いがあるのですよね。本当に、お恥ずかしいことです!!!!!薬の名前を書き直して、コメントを投稿し直しました。申し訳ございませんでした。

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