歯科治療9年の苦労ばなし  57

 
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 今週の写真は、我が家の芙蓉の花です。今年は雨と風にやられて、せっかく咲いた花
 
あっというまにボロボロになってしまいました。来年は、雨のときは軒下に入れることができ
 
るような軽い植木鉢に植え替えようと思っています。
 
 歯のほうは、いよいよ来週の月曜日が待ちに待った予約の日です。
 
 今回も第一章が続きます。”10 やっぱり外れる仮歯”です。
 
                                    
 
        
                  「歯科巡歴の記ー歯科からの帰還」
 
     第一章  二人目の主治医
 
        十  やっぱり外れる仮歯      
 
 矯正はできないという結論だった。
 
 大き過ぎる仮歯のために押されて歪んだ上下の歯列は、そのまま。仮歯を長らく、きちんと
 
嵌めていなかったので、横の歯にもたれるように傾いてしまった歯も、そのまま。
 
 結局、この状態で左右奥歯十本のクラウンやブリッジを作らなければならない。
 
 
 
「せめてこの歯だけでもゴムのパッキンを挟むとかして、起こせると思うのですがね」
 
 歯周科の担当医は残念そうだった。
 
 左下の第二小臼歯のことだ。このまま斜めに倒れた上にポールを立てても、根元の歯槽骨
 
は解ける一方だ。二、三年で、横の第一小臼歯を救うために抜くことになるのだろう。
 
「いやあ、大丈夫ですよ。二、三年は、このままで保つと思いますから」
 
 補綴科の主治医は笑顔で言う。 
 
 この歯は、歯茎の中に根の部分しか残っていない。歯根の再治療後、どんなふうにその上
 
に新しいポールを立てたのか、自分で見ることはできない。歯茎から上にはプラスチィックの
 
四角いポールが見えていた。以前は丸い金属のポールだった。
 
 奥の第二大臼歯には、ベースという新しい金属の土台のようなものを被せる。それは以前
 
のものと良く似ていた。
 
 その四角いポールとベースを脚にして、三本続きのブリッジを嵌める予定だ。金属で作る前
 
に、まず以前のようにプラスチィックの仮歯のブリッジを試しに嵌めた。歯の左右前後の位置
 
と高さが、まだ分かっていない。削ったり付け足したりを自由にできる材料が便利なのだ。
 
                                 
 
 再治療後、歯の傾きが原因の歯茎の痛み以外にも、厄介なことがまだあった。
 
 新しいプラスチィックの仮歯のブリッジが、以前同様すぐに外れるのだ。矯正科検査
 
受ける一方で、予約の診察以外にも仮歯の付けなおしに、救急外来へ何度も通っていた。
 
 以前は、ポールが傾いているから外れやすいと言われていた。再治療後のポールは真っ
 
すぐに立っている。どうしてまた外れるのだろう。
 
 主治医は、歯がグラグラと不安定なので揺れるたびにセメントがもろくなり取れてしまうと
 
説明した。睡眠中の噛みしめや歯ぎしりで歯の揺れがさらに大きくなる。その予防のために
 
スプリントを付けていたほうが良いと、歯周科の担当医が言う。スプリントを外して二年ほど
 
経っている。またかと思うとうんざりしたが、仕方がない。補綴科の主治医に新しいスプリント
 
を作ってくれるように頼んだ。
 
 主治医は、私が噛みしめも歯ぎしりもしていないので必要ないと言った。また、二人の歯科
 
医の考えが違うのだ。
 
 
 
 二年前までスプリントを付けていたときは、噛みしめのためにキズが付いたり割れたりする
 
ことはなかった。歯ぎしりのために擦られて、その部分が光るということもなかった。だから、
 
噛みしめも歯ぎしりも、していないということになる。
 
 しかし、顎関節が痛いのは眠っているあいだに歯ぎしりや噛みしめをするからだと、一人目
 
の主治医は言った。しかも、その習慣は昔からあったのだと。
 
 私は、そんな習慣はなかったと主張した。顎関節が痛くなったのは、五軒目の歯医者の
 
大きすぎる仮歯のミス以後のことだ。身内の者に尋ねても、いびきをかくことはあるが、他は
 
一度も見たことがないと言う。
 
 だが、噛みしめや歯ぎしりは、外から見て分かるほども口を動かさずにしていることもある。
 
だから、自身の自覚も、身内の人の観察も当てにならないと説明を受けた。それでも、夫は
 
「おまえは、いつも口をポカーンと開けて寝てるから歯を噛み締めることなんか、でけへん」と
 
言った。
 
 ところが、二人目の主治医に変わってスプリントを外した頃から、眠っていないときに左側の
 
奥歯が噛みしめをしたり、カチカチと歯を鳴らし始めた。そのために左首の筋肉が攣って、
 
頭痛まで起こる。左のブリッジの仮歯が低いと症状がひどくなる。主治医も「この症状が起こ
 
らない、低くもなく高くもない、ピッタリの高さを見付けないとね」と仮歯を調整した。
 
それなのに、噛みしめも歯ぎしりもないと言う。
 
 いったい、どっちなのだ。
                        
 
 診断がどうであれ、仮歯はすぐに外れる。歯の揺れはひどくなる。
 
 結局、しぶしぶだろうが、スプリントを作ってくれた。
 
 できる限り長時間付けているように努力はしたが、悪化するのを遅らせることはできても、
 
すでに揺れているのを止めることはできない。すぐに外れるのに変わりはなかった。                         
 
「あのう、また外れたのですが、上手な先生が救急の当番にいらっしゃるのは、
 
いつでしょうか? 今日でなければ、明日でも明後日でも、待たせていただきますが」
 
 救急外来へ電話する。何度も救急へ行っていると知恵が付いてきた。
 
「はあ?」
 
「いえ、あの、仮歯が二週間くらい外れずに付いていて欲しいものですから」
 
「そんな先生は、三、四人もいませんよ」
 
「えっ! でも、いらっしゃるのなら、それはいつですか?」
 
「確実に決まっていませんので、その都度お尋ね下さい」
 
 そんな調子で、以前にも増して歯科医を選んで救急外来へ行くようになった。
 
 しかし、この診察室に百人近い歯科医がいるのに、私が目指すのはたったの三、四人な
 
だ。なかなか上手な人には巡り会わない。
 
 救急で行くと、外れた仮歯をセメントで付けることはしてくれた。しかし、磨り減って低くなっ
 
たのを高くしたり、外れやすいのを外れにくいように仮歯の形を調整してくれる歯科医は
 
ほとんどいなかった。せっかく調整できるようにプラスチィックで仮歯を作っているのに、
 
用をなさない。
 
                               
 なにもしてもらえないことさえ、あった。
 
 補綴科と歯周科の予約は、それぞれの歯科医の都合で同じ日に取れないこともある。
 
たまたま、仮歯が外れて欠けた日の三日後に歯周科だけの予約があった。補綴科の救急外
 
へ行くのを先延ばしにした。病院まで行く時間と交通費を考えると、二、三日なら我慢して
 
でも一日で済ませたい。
 
 その日の補綴科の救急医は、いかにも今日が初めてという感じの若い人だった。何年も
 
通っているので、診察してもらったことがなくても、たいていの歯科医の顔は見覚えている。
 
初めて見る顔だ。カルテを見ながら、四角張って言った。
 
「歯周科の予約に来るついでに来ただけですね。その程度で良いことなら、
 
わざわざ救急の手を焼かせるほどのことではないでしょう」
 
「遠いので、二、三日のことならと我慢していたのですが……」
 
「救急というのは、どうしても今すぐ治療が必要な患者さんを診るところです」
 
 新米の歯科医は、マニュアルどおり憶えましたという感じの話だけは、しっかりした。
 
が、口の中も、ろくに見なかった。
 
 話をする時間で処置ができないのか。事前に事情は説明してある。こんなことなら診察を
 
引き受けなければ良いだろう。新米歯科医の話し口調に腹立たしさを超して、バカバカしく
 
なった。歯周科で頼んでみよう。補綴科だけでなく歯周科にもかかっているのが、幸いする
 
ことが何度もあった。
                                
 
 以前の一人目の若い主治医のときは、外来の当番の日以外で診察室にいない日でも、
 
患者一人のために都合を付けて診察室に出向いてくれた。他の歯科医の場合も、受け持ち
 
患者の救急の治療は主治医本人がするようだ。だが、教授は忙しいのか、事前に連絡して
 
そうはならない。
 
 一度だけ、救急当番の歯科医が主治医を呼んできてくれたことがある。
 
「今、この部屋に教授がいるで。呼んできてあげるわ」
 
 主治医は、ふくれっ面でやって来た。
 
 仮歯をハードのセメントで付けようとするので私が言った。
 
「いつもは、ソフトですが」
 
「ソフトもハードも同じです。そんなもん、大して変わるか!」
 
 大声で怒鳴りつけた。
 
 どうして、そんなに機嫌が悪いのだ。周りの他の歯科医への見栄からだろうか。却って逆
 
効果だろう。近くの歯科医が、ニヤニヤしながら見ていた。
 
 呼びに言ってくれた歯科医は新米ではなく、そこそこのベテランのようだった。だから教授
 
でも声をかけることができたのだろう。補綴科では誰が主治医でも、救急治療は主治医本人
 
が診ることになっているようだ。このとき分かった。
                              つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

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歯科治療9年の苦労ばなし  57 への14件のフィードバック

  1. パンチ より:

    やはり医師の技術のレベルあるんですね、年配の医師がいいのかな?しかし責任転嫁は駄目ですね。

  2. 乙女 より:

    歯科医にも当たりはずれがあることがあるのね。はずれにあたったら・・・(><)「ソフトもハードも同じです。そんなもん、大して変わるか!」にはビックリ(@@)同じなら一種類で良いと思うけど・・・

  3. booo より:

    やっぱ、いたるところで雨風が悪影響を与えているんですね。。。せっかくのキレイな花がボロボロになるのは辛いですね。でも、白い花さんの治療のがもっと辛い事ですね。。。しかし、患者を怒鳴るって、どういう心境なんだろう。。。聞いてみたい。

  4. たんぽぽ より:

    ひどいですね。大声で怒鳴りつけるなんて・・・白い花さん、びっくりしたでしょうね。ピンク色できれいな花ですね。

  5. main より:

    ↑の芙蓉の花、初めて観ました。野生そのものの花って感じかな?素敵ですね~(*^-^*)↓・・・いつの間にキルギスに?空気が綺麗な国みたいですね、羊の肉の味が違うみたいですね、牛や豚の肉より脂分が少ない羊の肉、学生時代に陸上部の部費を稼ぐために学際で「ジンギスカン焼き」を部員一同で売ってました(笑。それ以来食べてません、ちょっと懐かしくなり機会があったら食べようかな?と思っています。歯のお治療も大変でしょうが、「気持ちを大切に」という意識を歯医者さんに持って欲しいですね。

  6. 洋子 より:

    可愛らしい芙蓉ですね。マニュアル通りでろくに見ない新人も口の悪い主治医も困りものですね・・・

  7. abend より:

    芙蓉の花 可愛らしいですね。近くて ほんとに良い医者ってなかなか居ないのかもしれませんね。不機嫌な人 ごめんやわ。それだけでも嫌ね。

  8. ぷち より:

    こんにちは・・・(^-^)芙蓉は、私の郷里の福岡市のシンボルなんですよ・・・・・・患者さんを怒鳴るなんて、最低のお医者さんですね!昔、歯科医院でアルバイトした時、そこの院長もすぐ感情的になる人だったので・・歯医者さんって人間性に欠ける人が多いのかとつい思ってしまいます。。。

  9. Misa より:

    こんにちは♪芙蓉のお花、名前とお花が一致したのは、白い花さんのおかげです…(^-^)マニュアル通り、機嫌に左右される、そんなお医者さんが患者さんのために何が出来るのでしょうね。もちろんそうじゃないお医者さんもたくさんいると信じたいけれど、現実は…どうなのでしょう…白い花さんは実体験をもとに書かれているので、リアリティがすごく伝わってきます。。。

  10. sakura より:

    こんにちは。芙蓉の花は夏を代表する花ですよね!近所に群生していましたが、道路整備ですべて抜かれてしまいました…平気でこんなことするのですから信じられないな。。せっかくきれいに咲いてたのにと可哀想でした。歯科治療ってどういうお医者さんがいいのか分かりませんね。一度で済むところを何回か通院させて点数を稼ぐ歯科医院もあると聞きました。

  11. hulala より:

    中国美人を思わせるような芙蓉の色合いですね。やはり一日花なんでしょうね。

  12. ひだまり☆☆ニコニコ より:

    白い花さん、こんばんは~今年の長雨はいろんなところで影響が出ていますね。母の畑のグラジオラスやダリアもいつもの年に比べて元気がないみたいです。綺麗に咲いた芙蓉も可哀想なことをしましたね(><)来年、また綺麗に咲いてくれることが楽しみですね。前に書いたことのある友達も口が開かなくなるくらいの大変な顎関節症でしたが噛みしめや歯ぎしりなどの癖はないと言ってました。歯の生える場所が他の人よりも狭いようでしたが、しっかりと治療したら朝起きた時も口が開くようになり、違和感も少なくなったようです。白い花さんのお医者さんの言い方、酷過ぎますね。患者さんの心を傷つけるなんて、読んでるだけで悲しくなってきます。

  13. じばこ より:

    白い花さんのの歯のことなのに、医師ひとりひとり違う言い方をされては、患者側はどれが本当か分かりませんよね。訴えても聞き入れてもらえず、適切な治療がなされなかった不信感が拭いきれませんね–;(話が反れますが、昔の、歯医者って、田舎は本当に藪でした。直した歯が悪くなるのです。。。)通っている歯科は大病院なのに、権威の上に動いている虚しさを感じます。患者に怒鳴っている上司を、ニヤニヤしている職場ってあるのでしょうか?患者の立場が無視され過ぎですね(怒

  14. 白い花 より:

    * 白い花さんの投稿: 皆様、コメント有り難うございました。芙蓉のこの花は、品種改良された園芸種なので特にか弱いのかも知れません。「中国美人のような」と言われてみれば、本当にピッタリそんな感じですね。この主治医はお天気屋で、ニコニコしているときと、プッと膨れて機嫌の悪いときとの落差が酷いのですよね。助手の歯科医にも、ぼろくそに怒鳴ったり、かわいい女医さんだと、いやに親切だったり。歯医者の上手下手はあるようです。知識があって、観察力があって、手先が器用でと、いろいろの能力が必要ですものね。それと、記憶力もしっかりしていないと駄目ですね。前回までどんなことをしていたのか憶えていないのは困りますよ。そういう意味では、若い歯科医はきちんと憶えていますね。そこそこ経験があって、まだいろいろの能力が衰えていない人が良いと思いました。どんな分野にでも言えることでしょうが。自分の能力の低下が分かるので、つくづく身にしみて感じます。大学病院の人事って、かなり複雑な感じです。白い巨塔のあの感じが、まだまだあるような・・・論文の数で、出世が決まるようですよ。腕ではなくって。今の3人目の主治医は、年は40代半ばで、そこそこ経験もあって、会議をキャンセルして、時間を延長してでも診てくれます。論文を書くよりも治療を大事にと、ご本人は考えているつもりのようです。お若いけれど、助手の歯科医にも、いつも変わりなく優しい口調で指示を出すのですよね。でも、茶髪のロン毛で、ちょっと皮肉屋で・・・泣かされそうになります・・・けれど、2006年に歯根の再治療をして、痛みが消えて楽になり、この歯科医に替わった2007年からは、食欲も出て体重がもとに戻り、2009年の今は、精神的にもかなり立ち直り、気が強くなったように思います。(もともと、女のくせに気が強いといわれるタイプだったと思います。歯のことがあってから、すごく気が弱くなっていました)前回で、右(3本のうち1本クラウンを試しに高くしました)と左、両側の歯の高さが同じくらいになって、顎が安定し、口まわりも気分も軽くなりました。 なにより、「脂肪肝で5キロ痩せろ」と春に内科医に注意されたのに、痩せられないのが健康な証拠だと思って、喜んでいます。

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