歯科治療9年の苦労ばなし  62  

 

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 今日の写真は、これも近くの散歩道。稲の穂がそろそろお辞儀をし始める頃ですね。 
 
黒いビニールはカラスよけです。(カラスと書いてしまいましたが、スズメだと思います)
 
 歯の方は、来週の9日に5週間ぶりの補綴科の予約があります。待っている5週間の間に
 
2回クラウンが外れて、近所の歯医者で付けてもらいました。「このクラウンはすぐに外れる
 
ような形になっているから、次の診察の時に主治医に言って、なんとかして貰いなさいよ」と
 
そこの先生が仰っいました。でも、そんなこと主治医に言ったら、きっと、「じゃあ、そこで
 
診て貰ったら」と、嫌みを言われるだろうし・・・。批判や指摘はできても、実際にやってみる
 
と、難しいと言うことかなと思ったり・・・
 
 今回も、まだ第一章で、 ”苦情係に逢いに行く” です。

 

         

 

 

         「歯科巡歴の記―歯科からの帰還」

 

     第一章  二人目の主治医

       十五  苦情係に逢いに行く

 

苦情は診てもらっている科の外来診療の責任者に言えば良いと、事務室で教えて貰った。

 

その歯科医に話がしたいと電話をする。

 

 

 

電話をかけた翌日、若い歯科医から連絡が入った。
「先生は学会で留守にしていましたので今忙しくて、
 
お逢いできるのは一カ月も先になるそうですが、宜しいですか」
 
「かまいませんが、電話でお話はできないのですか?」
 
「ええ、病院まで来ていただかなければなりません。
 
それと、クレームはカルテに記入されますが、それでもかまいませんでしょうか?」
 
「はあ!? ええ……」
 
「はっきりした予定を先生に確認してから、また連絡させていただきます」
 
 数日後、連絡が入った。
 
「主治医の予約の二日前なら取れるそうです。この日は診察室に主治医もいませんので。
 
三十分ですが、宜しいでしょうか。先日もお断りしたように、カルテに記載されますよ」
 
 二度も確認されると、たじろぐではないか。これでは、主治医への苦情など言えるものでは
 
ない。しかし、救急治療の対応の悪さに苦情を言うつもりなのだから、主治医に知れても別に
 
かまわない。主治医に直接言えば良いのだが、次回は例の歯を抜き、新しく作り替えた仮歯
 
のクラウン三個を嵌めて調整もしなければならない。スプリントの調整もある。一時間の予約
 
時間内に、それが出来るかどうかも怪しいくらいだ。歯が折れていることの確認にも時間が
 
足りないかも知れない。苦情を言っている暇はないのだ。
 
 ただ、三十分だ。車で往復四時間、交通費五千円、一日潰す。わざわざ出向く価値がある
 
だろうか。
 
 まあ、その日まで一カ月程ある。とりあえず予約は取って、そのあいだに考えよう。
 
あとでキャンセルはできる。今、予約を取らなければ、それっきりになるだろう。
 
「分かりました。予約をお願いします」
 
 苦情一つ言うにも、なんと手間暇がかかって面倒くさくて疲れるシステムになっているのだ。
 
責任者に辿り着く迷路のような手順にもうんざりしたが、苦情をカルテに書くというのも予想外
 
だった。これでは、苦情など聞く気がないと言わんばかりだ。
 
                                  
 
 一カ月程して、結局、外来診療責任者の歯科医に逢いに病院へ行った。
 
 歯の治療を始めて七年、この病院に通院して四年が過ぎている。そろそろ忍耐の限界だ。
 
どうしようかと迷ったが、ストレスを軽くするためにも問題は解決して残さないほうが良いだろ
 
う。ガス抜きを兼ねて出向くことにした。
 
 治療の予約ではないし、どこへ行けば良いのか。事務室に問い合わせた。
 
「苦情のお約束なのですが、入り口の器械で見ると診察になっています。
 
どこへ行けば良いのでしょうか」
 
「ここでは分かりません。外来の先生に聞いてください」
 
 事務室の奥から年配の人が、もう一人出てきて話に加わった。
 
「私達は単なる事務屋ですから、権限もなく詳しいことは分からないのです」
 
「なんでも、その時その時に言われた方が良いですよ。溜めておくのが一番良くないです。
 
溜まりに溜まって、なかには医者を替えて欲しいと言われる方もいらっしゃいます」
 
「大勢お医者さんがいますので、問題のある方も確かにいるかも知れません。
 
でも、あの補綴科外来診療責任者の先生は良い方ですよ。あなたが仰っていることは
 
もっともなことばかりですから、遠慮せずに先生に言われたら良いと思いますよ」
 
「歯はやっかいですよね。僕も最近、歯が悪くて苦労しています。
 
あなた、綺麗な歯をしていらっしゃいますね」
 
「本当に良い歯ですね。そんなお歳には見えないし、お若いですね」
 
 苦情に来る人の扱いに慣れているようだ。二人で上手になだめる。お世辞まで言う。
 
                                   
 
 結局、場所は分からなかった。とりあえず、いつもの診察室の前の廊下で待っていた。
 
「お約束の時間より十分早いですが、宜しいですか?」
 
 若い歯科医が馬鹿丁寧に確認した。待っているのだから良いに決まっている。
 
 診察台まで案内してくれた。治療のために来たのではない。診察台に座るのも変だし、
 
そのまま立っていた。
 
一分もせずに軽快に現れた歯科医は、白髪交じりのスポーツ刈りだ。にこやかに言った。
 
「どうぞ、お座り下さい」
 
「でも、今日はお話しにお伺いしただけですから。診察台では……」
 
 歯科医は、丸い小さな腰かけを二つ並べた。
 
「じゃあ、この椅子に。お話をお聞きしましょうか」
 
「用件は三つあります。一つは、先日、救急外来で御世話になりましたが、その時の対応で、
 
薬の処方の仕方。二つ目は仮歯の付け直しに関して。三番目は今後の治療についてです」
 
 三十分間の約束なので、正確に、手短に、言い忘れがないようにと、箇条書きのメモを作っ
 
ていた。分かり安い簡単なことからが良いだろう。鎮痛剤の件から始めた。
 
「抜歯しないと痛みが取れない、抜歯は一カ月以上も先だと分かっているのに、
 
たった五回分の鎮痛剤。足りなければ二日ごとに取りに来いとは、おかしくないですか」
 
「ああ、その先生はマニュアル通りにしただけで、間違ってはいないのです。ここは大学病院
 
で、若い歯科医の研修をしています。薬は頓服としては五回分しか出さないように指導して
 
いるのですよ。鎮痛用に二週間分を処方もできるのですが、それだと痛いままで、そんなに
 
長いあいだ放っておくような治療しかしていないということになります。それでは、ちょっとまず
 
いのです。だから先日のは、こちらの指導通りの正しい対応なのです。勝手に二週間分処方
 
するようなことがあっては、指導する私達が困ります」
 
「……」
 
そんなあ、そちらの都合ばかり言って、患者の立場はどうなるのだ。
 
「ベテランの歯科医なら二週間分を処方することができます。
 
あなたが、ベテランの歯科医に替わって欲しいと言えば良かったのですよ」
 
「はあ……」
 
 そうならそうと、事前に廊下の掲示板にでも貼りだしてくれないと!
 
 歯科医の説明はあまりに医者中心の考え方にしか、私には受け取れなかった。それは当た
 
り前と言えば当たり前の常識かも知れないが、予想もしない返答だったのだ。それ以上どう
 
反論し良いか、とっさには言葉が出てこない。
 
                                
 次の件に話が進む。
 
 この三年、主治医が教授に替わってから何度も救急で来ているが、対応は不満足なものだ
 
った。以前の主治医のときは救急外来でも本人が診てくれた。今度の主治医に替わってから
 
は、他の救急当番の歯科医が診る。私も他の上手な歯科医のほうが取れずに長く保つと
 
ているくらいだったから、それでもかまわなかった。しかし、歯科医によっては仮歯
 
たのを修理したり、形が合わないのを調整したりはできないらしい。「主治医の教授がどういう
 
方針なのか解らないので、勝手に仮歯の形を変えるわけにはいかない」と言う歯科医が多い
 
のだ。外れた仮歯の単純な付け直しぐらいしかしない。それでは、また簡単に外れた。 
 
 仮歯は、主治医が付けてもすぐに外れ、救急で付け直してもすぐに外れ、一カ月間で付い
 
いるのはせいぜい三、四日だ。そんな状態が三年も続く。仮歯の外れた隙間に隣
 
れ込んで、斜めに傾いてしまった。良くなるどころか悪くなっているのだ。
 
「なんとか、ならないのでしょうか。やっと付け直していただいても、自宅に帰り着いて
 
玄関で靴を脱ごうとした途端、また外れたこともあります。これでは治らないですよね」
 
「それは申し訳ないですね。薬は申しあげたような事情がありますが、プラスチックの仮歯は
 
形をいくらでも変えることのできるものです。主治医でなくても、どの先生でもできます。
 
すぐに外れるような形のものを、そのまま、また付けても意味がありませんよね。できないと
 
言うのなら、それができる上の先生を出してくれと、ご自分で仰れば宜しかったのに」
 
そんなあ~、これも入り口の掲示板に大きく張り出して欲しかった!
 
三年も経って教えてくれても、遅いじゃないか!
 
「そうですか。次回からは心得ておきます。良いことをお聞きしました」
 
 皮肉に聞こえていないのだろうか。歯科医は落ち着き払って、にこやかに続けた。
 
「しかし、救急に何度も駆け込まなければならないような状態にしか治療ができていないと
 
いうのが、そもそも問題ですよね」
 
 それはこっちが言うセリフだ!
 
 薬のこと、仮歯のこと、話を聞けば聞くほど、だんだん腹が立ってきた。
 
 なんでこの苦情係は、こんなににこやかな表情で平然と話ができるのだ。もうこれ以上は
 
話もない。したって無駄だ。
 
 時間もそろそろだと時計を見る。二十五分経っていた。予定より十分前に始まったから
 
約束の終了時間までは十五分残っていると思った。
 
三番目の件は時間切れになるかと懸念していたが、これなら時間は足りるだろう。
                   つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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歯科治療9年の苦労ばなし  62   への19件のフィードバック

  1. main より:

    こんにちは~もう62回になるんですね、拝見してて 「主治医って何?」と思うことが多すぎますね。ころころ変わる主治医は主治医では無いですよね、そのたびに「言い訳」を聞かされてるんじゃ本来の治療にはなりませんね。患者と医師で、様々な治療法を話し合い 互いに納得(ある程度の譲り合いも必要)しあえる治療をして欲しいものです。この治療をすると、どういう結果や症状になる予想がありますが、その場合は こうしましょう とかの話し合いがあって良さそうに思います、相互信頼には相互の「納得・妥協」も必要かと、ただ患者の方は苦痛に耐えてるということを医師側は理解すべきかと思います。

  2. sakura より:

    こんにちは。大学病院ってそんなものなんですかね…上から物を見るという態度で、最近は随分言いやすくなったとはいえ大きな病院だとまだまだ古い体質が残っているのでしょうか。それにしても9年間も時間と手間をかけて通い、自宅に戻ったとたんに借り歯が外れてしまったら治療費を返せって言いたくなりますね~

  3. パンチ より:

    官僚体質というか無駄が多いですね歯科医により出来不出来あるの信じられないよ、普通に町中にある歯科医はどうなんだろう?当たり外れあると思うけど。

  4. booo より:

    辛抱の連続ですね。。。変な言い方かもしれませんが、、、良くできているというか、適材適所というか、病院側にとって、ちゃんと適した人が苦情係をしていますね。。。自分だったら爆発してますよ、完全に。。。治療する先生もしっかりと適した人材がいるのが一番ですけどね。。

  5. さんぽ より:

    苦情係りがあるんですか? 知りませんでした。でも、誠意のある態度ではありませんよね~稲穂がたれて・・もう秋なんですね。

  6. hulala より:

    こんばんはあまりにも腹が立つことばかり・・・よく我慢なさっているんですね。

  7. 乙女 より:

    苦情を言うのにも予約をするなんて変な話ね。白い花さんは忍耐強いわね。私ならとっくに切れてるかも。

  8. main より:

    インフルエンザのワクチン優先順位が発表されましたね。歯医者さんも優先的に接種されるんでしょうか?大学病院の職員も?厚労省もわかんない省ですね(苦笑。

  9. 洋子 より:

    病院側は対応に慣れていて平然としているみたですね・・・それどころが、「そちらが言わないからいけない」みたいな態度・・・これでは話すのも嫌になってしまいますよね・・・

  10. Unknown より:

    たいへんですよねぇ官公庁、病院、苦情係りの対応は、時々、ドウナン  って思うこと多しですよねぇ。それに、いくら、文章素材が増えるとはいえ、身体の痛みが、あまりにもたいへんでしょうし・・言葉なく読ませていただいておりますが・・”一度、お読みいただいて、文章での解答をいただければと思うのですが・・”って、文面での質問てのは、どうでしょう??そんあふうにも、思いいたっておりますが・・

  11. たんぽぽ より:

    ストレスがたまることばかりですね。交通費も時間ももったいないですね・・・

  12. ぷち より:

    こんにちは・・・(^-^)私は以前、大学病院に通うのに電車で片道2時間半、車で行ったら1時間半くらいだったのでしょうか・・・それでもしんどくて、何故こんなことしなくちゃいけないんだろうと思ったりしました。白い花さんの我慢強さには到底及びません。。。しかも苦情を言うのも又予約していかなければならないなんて・・・理不尽なことばかりで、本当によく堪えてこられたと思います。

  13. Misa より:

    こんばんは☆えええー、苦情を言うまでのめんどくささ、その上、本当にそれ、どういう受け答えなんですか~!?ああ言えばこう言う、って、全然クレーム対応になっていないですよね…悔しいです。。。今後の治療について、一体どんな対応が待っていたのでしょう!?

  14. ちえみ☆ より:

    患者さんの身になって考えて欲しいですね。患者の方が神経をすり減らすなんて。。。腹が立つことばかりですね。

  15. じばこ より:

    やっと苦情を言おうと予約しても、止めさせようとしているのが見え見えですね。だいたい、苦情係なんて~名前がよくないわ–;クレ-マ-のようにされている。薬のことも、仮歯で上の先生を出してくれ、なんて、耳打ちして~言われなくちゃわかりませんよね。やっとのことで説明を聞きたいと、メモして、順序だてて行かれたでしょうに。。。

  16. ひだまり☆☆ニコニコ より:

    白い花さん、こんばんは~こちらにも案山子さんの役目をする鳥対策用の黒いビニール袋を見かけますよ~最近は要らなくなったCDやペットボトルなど、キラキラ光るものを使って怖がらせているところもあります。効果はあるのかな。。。うーーん、苦情や要望が医師に届くまでに仲介役がいるのも変ですし、直接患者さんのナマの声を聞かなかったら、伝わらないことだってたくさんありますよね。目を見ながら、声を聞きながら、初めてわかることだってあるのだから、このやり方には歯がゆさを感じてしまいます。患者さんと医師の間に温度差が生まれ、今後の治療もますます不安になってきますね(><) 後で旅行レポもゆっくりと読みにきますね。いつも遅くなって、ごめんなさい。

  17. 白い花 より:

    皆様たくさんのコメント有り難うございます。なんか歯自体のこと以外で、疲れてしまいます。でも、「ヤーメタ」と言えないのが辛いです。もう何度も、心の中ではぶっちぎれていますよ。友人にその度助けて貰っています。それと我が家の瀬戸物は何枚もこなごなになっています。

  18. ちえみ☆ より:

    少し腰を下ろしてゆっくりして下さいね。立っているばかりだと疲れます。

  19. 白い花 より:

    腰を下ろすにはどうすればいいのか。カウンセリングのために心理学のプロにもお聞きしましたが、歯を早く直して貰うしかないという答えでした。何か言いアドバイスがあればお願いします。

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