歯科治療9年の苦労ばなし  73 

 
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  今日の写真も大護摩法要のものです。弓を引く姿は写真よりも、もっと格好良かったのです
 
が、巧く撮れていないのが残念です。
 
 歯の方は12月の予約を待つのみです。先日、2軒の開業医へ行ってみて駄目だというの
 
がはっきりしましたので、もう焦っても仕方がないと心を決めました。
 
 今回から第二章の三人目の主治医に入ります。その”1 茶髪のロン毛”。2007年の夏の
 
ことです。  
 
 
  
 
           「歯科巡歴の記―歯科からの帰還」          
 
     第二章  三人目の主治医
 
           一  茶髪のロン毛     

 

 やっと主治医を替わってもらうことができた。が、希望した歯科医は病気で、違う歯科医が

主治医になった。 

 
 
 カンカン照りの八月初旬、新しい主治医の初診の日が来た。
 
 どんな先生なのだろう。新しい人は新しい風で心の空気を入れ換えてくれるに違いない。
 
流れを変えてくれるかも知れない。
 
 診察台に座って目を閉じて待っていた。長い時間が過ぎたように感じた。
 
「こんにちは。僕が担当になりました」
 
 声がしたので目を開けると、新しい主治医がいた。
 
 えっ!
 
 茶髪のロン毛の青年がいた。 大学の先生がこんなヘアースタイルで治療や講義をする
 
時代になったのだ。一瞬たじろいでしまった。私も歳を取ったのか。良く言えばビートルズの
 
ジョンレノンのような……。
 
 ファッショナブルな横長眼鏡の奥の細い目を、カルテから私に移しながら言った。
 
「先週、教授に替わってくれと頼まれました。それで、教授が治せなかったのを僕が治せるか
 
どうか……分かりませんけど、できる限りやってみますので……」
 
  新しい主治医は緊張した重い表情で挨拶した。 教授ができないほどなのだか余程難し
 
のかと考えるのは、当然だろう。それを治せなくても治せても困りものだ。治せたら余計に
 
厄介かも知れない。
 
 もっと気楽に始めて欲しい。主治医を替わってもらったのは、気楽な理由でなければ。
 
「厄介なのをお引き受け下さって、本当に有り難うございます。教授だと、なかなか時間を
 
取って頂けなくって・・・。もう治療を始めて七年半になります。教授に診て頂いて三年半。
 
私が精神的に、もうこれ以上保ちそうにないので、なんとか早くして頂きたいのです。
 
大雑把でもかまいませんから、とりあえず左右の奥歯を今年中に入れて頂きたいのですが」
 
「ああ、そうですか」
 
「教授だと予約も一カ月から、長いときには二カ月近く開いたりします。それに痛かったり、
 
仮歯が取れたりして救急で来ても、若い先生が診て下さって、教授に考えがあってしている
 
ことだから手が出せないとか。それで仮歯の形を変えたりしていただけなくって……」
 
「教授が主治医だと、そうでしょうね」
 
「形を修正せずにそのまま付けるだけなので、またすぐに外れて。外れたままだと、
 
横の歯が倒れてきたり、ますます悪くなって……。結局、歯が割れて一本抜きました。
 
そういうこともあって、とにかく早くしていただきたいのです」
 
「そうですか。わかりました」
 
 こんな初っぱなから、教授の腕が悪いから替わって欲しいのだとは言えない。嘘を言った
 
から信用できないとも言えない。他の理由をあげるしかない。教授本人にも建前上、同じこ
 
を言ってある。だが、この理由も嘘ではない。理由は複数あったのだ。こう説明したほうが、
 
若い主治医も肩の荷が軽いだろう。
 
 それまでの緊張した雰囲気が少し和らいだようだった。
 
                               
 
 初診なので治療の前に、今までの経過や今後の治療などについて話し合うことがたくさん
ある。治療方針などについても説明してくれた。
 とりあえず左下の二本続きのプラスチックのクラウンを作り直し、次にそれを金属に変える。
 
その後、横前の抜歯した二本のところに部分入れ歯を付ける。金属の爪で両横の歯に引っ
 
掛けるタイプのものだ。それから右側下の低いクラウン三本を作り変え、スプリントも変化に
 
合わせて作り直す。さらに私が、左上二本も位置が悪いので隣や下の歯に合わせて作り替え
 
欲しいと頼むと、了解してくれた。
 
 料金についても、はっきり言った。初診で料金の話をした歯科医は初めてだ。
 
 これだけのカルテの分厚さだから一筋縄ではいかない。クラウンなどを作っても一回では
 
合いそうもない。作り直しをすることになるだろう。保険で作る場合、作り直しの二回目からは
 
三割負担ではなく、十割負担で払ってもらうことになる。
 
 こう説明してから、全面的に私費の治療にするのなら別に方法もあるのだがと口を濁した。
 
私は主治医の意図を理解できなかったが、治療のし易いようにしてくれれば良いと申し出た。
 
作り変えるのは九本だ。私費だと、一本九万円が十本で合計九十万円。すでにこの七年程で
 
治療費や交通費などを含め、三百万円は使っている。あと九十万円でさっさと終わるのなら、
 
それでもなんでもかまわない。
 
「でも、前の主治医は保険で作って噛み合わせの位置などを確かめてから、
 
私費のものに作り変えたほうがとおっしゃったのですが」
 
「そうですね。やっぱり、まずは保険で作ることにしましょうか」 
 
                     

 いよいよ作業に取りかかる。軽快に尋ねてくれた。
 
「今日は左側のプラスチックの仮歯の修理をして嵌めるだけで良いですか? 
 
部分入れ歯の型取りまでして欲しいですか?」
 
 両方してくれるのならして欲しいが、三時から始めてもう診察終了の四時が迫っていた。
 
今までの経験から考えれば、到底両方はできそうにない。  
 
「いえ、仮歯だけで結構です。型取りは次回で」
 
「この仮歯を修理してしまうと、元どうだったのか判らなくなりますので、
 
これを参考に新しいのを別に作り、これは保存しておきます」  
 
 慎重な人らしい。新しく別の二本続きのプラスチックの仮歯を作って嵌めることになった。
 
「ああ、もうこんな時間か。会議には出られないと連絡してくれるか」
 
 主治医は助手に頼んだ。
 
「えっ! それは申し訳ないですね」
 
「いえ、構いません」
 
 こんなふうに居残ってまでしてもらえるとは思ってもいなかった。
 
 プラスチックの二本続きの仮歯と一言で言うが、結構難しいようだ。時間がかかる。
 
この仮歯は親知らずと第二大臼歯の二本に被せる。第二大臼歯は周りを削った歯に被せる
 
全クラウンだが、親知らずは高さだけを足すための部分クラウンだ。歯の周りはまったく削っ
 
ていない。そのうえ抜歯後、第二大臼歯の前横の歯二本がないままで四カ月が過ぎていた。
 
以前の三本ブリッジのときにも外した状態が何年もあった。そのために第二大臼歯が前横に
 
倒れてきて、後ろの親知らずとの間に隙間ができている。この状態で、しかも細工のしやすい
 
い金属ではなく、嵩高いプラスチックで作るのだ。初めての診察だ。一度では巧くいかない
 
ようだった。
 
「先生、時間がかかって申し訳ございません。もしお急ぎなら」
 
「いえ、どうせもう会議はキャンセルしましたので、時間は気にしなくても構いませんよ」
 
 なんと面倒見の良い先生なのだろう。前の主治医とは雲泥の差だ。
 
 やっと診察が終わったのは五時もとっくに過ぎていた。主治医は六人グループのナンバー1
 
だ。治療が終わるまで他のメンバー五人も帰れない。並んで待っていたナンバー2から
 
ナンバー6に、私は診察台を降りて部屋の出口に辿り着くまで何度も頭を下げた。
 
「遅くまで有り難うございました。有り難うございました。有り難うございました」
 
 会計の窓口は五時に閉まる。支払いは次回になった。
 
 次の予約は半月後。それ以後は三週間ごとに予約を入れると言ってくれた。なんとか早く
 
治療を終えてほしいという私の希望を汲んでくれたのだ。

                      つづく

 
 
 
 
 
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歯科治療9年の苦労ばなし  73  への16件のフィードバック

  1. Chieko より:

    こんにちは(*^_^*)茶髪のロン毛の先生、いい先生のようでよかったですね^^これからは安心して治療が受けられますように。。。他人事ながら、ちょっとうれしい内容でした(^_-)-☆

  2. ポポちゃん より:

    ようやく良い医師が見つかりましたね。

  3. 乙女 より:

    見かけで判断しちゃダメなのね。良い先生にめぐり合えたようで良かった~~\(^0^)/

  4. Misa より:

    こんばんは☆外見ももちろん大切だけれど・・・やっぱりお医者様は中身ですよね。。会議優先が当たり前だなんて考えてみたらおかしいですもん!とにかくいい先生でよかった・・・でも「しかし・・・」なんて、続くのではないかと、ちょっと不安です(>_<)

  5. Tosh より:

    こんばんは 白い花さん♪ いよいよ新しい章がスタートしましたね。 これで平穏が訪れるのかどうか・・・。 会議を欠席してまでして患者を大切にする態度は好感がもてますね。 しかも、時間をオーバーしてでもちゃんとするべきことはした・・・。 でも、これはまだ『第二章』の始まりだから、まだまだ多難な先があるのでしょうか? 一種のサスペンスですね。 山伏の弓を引く姿――動きがあるから、それを静止写真で表現するためには、何枚も連続写真を撮って、 その中から、「これ!」と思えるのを探すか、ムービーで見せるかしないと難しそうですね。 携帯では連続写真が撮れても、普通のデジカメでは撮れませんよね。 でも、何度かチャレンジするのは楽しいかもしれませんよ!(^0^)!

  6. САБУРО(サブーラ) より:

    確かの歯にかかる治療費は嵩むとも、大事な歯はお金に換えられませんからね。大学病院の医者組織の官僚化の実態が少し分かったような気がします。

  7. ちえみ☆ より:

    こんばんわ~人って外見では、決められませんね。こんどこそいい先生に巡り会えたのかなぁ~そう祈りたいですね。

  8. mako より:

    (o^0^)o コンバンワァ♪山伏の弓を引く姿カッコ良いですね~このようなのを見る機会なんて有りませんから茶髪のロンゲ、ありながら親身な感じの先生で外見じゃないですよね、会議を取りやめてまでお話を聞いてくれる歯はお金もかかりますネェ~^^;

  9. 洋子 より:

    なかなか親身なジョン・レノンのようですが・・・新しい章のまだ一回目・・・これまた何やらあるのでは・・・と思ってしまいます(~_~;)

  10. booo より:

    おっ、なんとな~く好感触な先生ですね!(・∀・)ここで安心しちゃいけないか。。。弓はその場にいると、緊張感もあって、かっこいいですよね!でも、どの写真も緊張感が伝わってきて、かっこよく撮れていますよ!

  11. Nami より:

    ろん毛の茶髪の若い先生ですか~。診療時間を過ぎてまでも。とても、誠意を感じられますね。このまま、いい具合に治療が進めばいいのですが。ところで、今、友達が紹介してくれた本を読んで、健康に少しこっています。杉山平き先生の本なんですが、いろんな病気で病院も放棄したという人もここで、良くなることがあるそうです。お腹がポイントなんですが、良かったら、一度、参照なさってください。http://www.heso-anpuku.com/もしや、歯も関連してるかな?と思って、紹介いたします。

  12. たんぽぽ より:

    ずいぶん親切な先生ですね(^-^)よかったですね!この先生は、安心できそうですが・・・

  13. hulala より:

    こんばんはよさそうな先生が見つかって そろそろ終盤に入るのかな。寒さが急に来ていますから、おからだお大切にしてくださいね。

  14. 白い花 より:

    皆様、コメント有り難うございました。今度の主治医は、若いと言っても40才は過ぎていらっしゃるそうです。ちょうど医者としては経験もあるし、体力気力もあるし、テキパキして記憶力も良いし、これで治るものだと・・・

  15. sakura より:

    こんにちは。コメントが遅くなってしまいごめんなさい。茶髪は今や普通ですものね。記事からすると丁寧に治療をしてくださったようで安心しました。この内容も2007年のことなのですね~すごい記憶力です。それに今迄に300万の治療費というのにも驚きました。

  16. 白い花 より:

    sakuraさんふ、ふつうですか!? 世代の差でしょうか。ちょっと、ビックリしましたよ。記憶力ではなく、もちろんメモを残しています。治療費は、私もなんとも凄いものだと地団駄踏んでいますよ。旅行に何回行けたでしょう。

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