歯科治療9年の苦労ばなし  75 

               
                  P1000290
 
     金曜日の予定が遅くれて、日曜日になってしまいました。 
 
     今日の写真も大護摩法要のもので、幕引きのセレモニーです。最後に、お餅まきがあっ
 
    のですが、拾うのに一所懸命で写真を撮るのをすっかり忘れていました。その甲斐あって
 
    いうか、小餅を紅白あわせて5個ゲット! こんなに拾ったのは初めてです。おぜんざいに
 
    していただきました。御利益がありますように!!!
 
     歯の方は、来週の月曜日が1カ月半ぶりの予約の日です。
 
     今回は、第二章の三人目の主治医 ”3 夏も過ぎ秋も過ぎて冬になった” です。
 
              
  
 
           「歯科巡歴の記―歯科からの帰還」        
 
       第二章  三人目の主治医
 
               三  夏も過ぎ秋も過ぎて冬になった
 
 上下の歯列の型取りをすませ、治療は予定どおり進んでいた。
 
 
 
 左側下はクラウン二本をプラスチックから金属に変え、その横は二本続きの部分入れ歯を
 
作る予定だ。
 
 当然、上下の歯が噛み合う状態にまで歯を高く作らなければならない。下の歯だけを高く
 
すると、背高ノッポの歯になって不安定だ。下の歯茎にも力がかかりすぎる。それで、力を
 
分散させるために上の歯も高くすることになった。高くした分だけ下の歯を低くできて、安定さ
 
せることができる。そもそも上の歯は三軒目の歯医者で何本も削られ、もとの高さよりも低く
 
なっていた。これで、つじつまも合う。
 
 上の第二大臼歯と第一大臼歯はクラウンを被せていたので、自分の歯を削ることもなく
 
気安く作り変えができる。この二本のクラウンは下の歯との噛み合わせが悪いからと、
 
すでに七軒目の歯医者で作り変えていた。だが、その甲斐なく、歯列から少し外にはみ出て
 
下の歯と巧く噛み合っていなかった。高さのこと以外にも、作り変える必要があったのだ。

                         
 次の予約の日。
 
 駐車場で、いつもどおり日差しを除けて木陰に車を止めた。車を降りると、頬を撫でる風が
 
涼しい。もう夏が終わろうとしている。
 
 型取りのときにも上のクラウンはなかなか外れなかったが、今回も助手の歯科医ではビク
 
ともしない。木槌で思いっきりガンガンと叩く。金属のノミのようなものをクラウンの端に差し
 
込もうとする。その拍子に滑って尖った先が口の外に飛び出て、頬をひっかく。今にも突き刺
 
さりそうで怖い。何度試しても進展がない。
 
「あのう、主治医がいらっしゃるまで待たせていただきますので」
 
 やっと主治医が現れた。
 
「硬いですね。これは前の先生の土台の削り方が悪いのですよ。付いているときは
 
しっかり付いていて、外そうとしたときはすぐに外れるのが、理想なんですがね」
 
 手間取ったが、とにかく外れた。
 
 型取りをすませていた左側上のクラウン二本と下の二本続きのクラウンができていた。
 
ここまでは予定どおりに進んで、うまくいくかと思ったのだ。ところが、ここで足踏み状態に
 
なった。
 
 上下に嵌めたクラウンはなぜか巧く噛み合わない。上下が届かないのだ。嵌めた時点で
 
はっきり分かった。その場で主治医は言った。
 
「上を作り替えます」
                                           
 
 上だけでなく、下の二本続きのクラウンも調子が悪かった。
 
 親知らずの部分クラウンの端がピッタリと歯に沿わずに捲れ上がっている。鋭い金属の端
 
が舌に引っかかって痛い。クラウン全体も舌側に寄っていて第二大臼歯に被さった金属の角
 
が舌に当たる。擦れて痛い。
 
 左側の新しいクラウンが舌側に寄り過ぎなのは、右側を参考にして似せた状態にしたから
 
と言うではないか。右側の大臼歯は前の主治医が作ったもので、歯列を外れて舌側
 
寄り過ぎていた。作り直して欲しいとずっと頼んでいたが、そのままになっていたのだ。
 
新しい医は、前の主治医の教授が作ったものだから信頼できると考えていたようだ。
 
初診のときに歯の状態は一通り説明したつもりだったが、もっとはっきり言うべきだった。
 
 舌の左横が赤く腫れ、血が出る。痛みが増す。白いアフターまでできた。それが次第に黒み
 
を帯びてくる。顎下の筋肉も攣ってきた。鎮痛剤や葛根湯を飲んだが、我慢できない。
 
 二週間後の次の予約まで待ちきれずに救急へ電話を入れると、一週間後の主治の外来
 
の日に診てくれることになった。
 
「神経質ですよね。これくらいで」
 
 えっ!
 
 金属の尖った端が二カ所も舌に当たって、出血するくらいなのだ。痛いに決まっているでは
 
ないか。それを神経質と形容するのだろうか。
 
 そうは言ったが、主治医はクラウンの尖った先と捲れ上がった金属の端を何度か削って
 
磨いてくれた。
 
「まだ、当たって痛いのですが」
 
「これ以上、僕には無理です。僕の腕ではこんなものです」
 
「でも、痛いのですが……」
                           
 
 上下のクラウンの調子が悪いのは続いた。
 
 それでも、次の予約のときには部分入れ歯の型取りをした。三週間後には部分入れ歯
 
できているはずだったが、できていない。やっぱり、上下のクラウンの調子が良くなってから
 
すると、クラウンを調整しただけだ。診察は午前中に終わったが、痛みは治まらない。
 
 このまま帰ろうかと迷ったが、帰らずに午後の外来開始まで待って、救急でもう一度診て
 
もらうことにした。
 
「僕、講義を抜けて来ました」
 
 えっ! 
 
 主治医は午前中の外来を終え、午後からは学生に講義をしていたのだ。そうとは知らず、
 
午後からも外来にいると思っていた。私一人のために大勢の学生が犠牲になったのかと驚い
 
て、恐縮してしまった。
                         
 
 十一月の末、結局、上下のクラウン四本を作り替えてくれた。保険と同じもので、十割負担
 
の料金を払った。料金のことは初診のときに、作り直す場合は10割払ってくれと釘を刺され
 
ているから仕方がない。
 
 作り替えた上のクラウン二本は高くなったが、位置が悪かった。もとは外側に出すぎていた
 
だが、今度は内側に入り過ぎなのだ。
 
 新しい下のクラウンは低いし、まだ舌側に入り過ぎたままだ。金属の端もまた捲れているの
 
で舌に引っかかって痛い。低いのは高くできないが、 痛いのは削って調整してくれた。
 
しかし、小手先では解決できないようだ。もともとの作りが悪いのだ。
 
 前の主治医のときの技工士が作った部分クラウンが、右側下に二本入っている。高さは低
 
ぎたが、クラウンの金属の端は歯の表面にピタリと付いていて、どこからが自分の歯でどこ
 
らが金属なのか舌で触っても分からない。まして、金属の端がめくれて舌を引っ掛け出血す
 
など想像もできないほどのできばえだった。
 
「先生、まだ痛いのですが……。これを作ったのは右側を作った技工士さんとは違う人です
 
よね。技工士さんを以前の人に替えていただけないのですか?」
 
「技工士は指定できないのです。僕も誰が作るのか知りません」
 
「そうですか……。でも、この左のと右のとはずいぶん細工の出来が違うでしょう?」
 
「僕の指示が悪いのですかね。僕、下手なんでしょうね」
 
「いえ……」
 
 何度か磨いてくれたが、たいして変わりばえはしなかった。
 
「どうですか?」
 
「まだ、引っかかりますが……」
 
「僕、これ以上できません」
 
「……」
 
 こんなふうに開き直られると、どう言えばいいのか分からない。正直なのかも知れないが、
 
無責任にも聞こえる。できないのなら他の歯科医に替わって欲しい。しかし、新しい主治医に
 
なって半年も経たないで他の歯科医に替わってくれと、私からは言えなかった。
 
「自分で磨きます……」
 
「そんなことができるのですか? できるのなら歯科医は要らないじゃないですか」
 
「……」
 
 自宅に帰って、クラウンのめくれた金属の端を自分で磨いた。シルクの綿棒で磨くなど色々
 
したが、巧くいかない。歯ブラシで磨くとよけいに金属の端がめくれ上がる。痛みを我慢す
 
るしかないのだ。
 
 結局、自分の舌で磨いたようなものだった。何カ月かすると端が丸くなって舌に引っかから
 
なくなり、出血もしなくなった。ただ、第二大臼歯の舌側に寄ったクラウンの角は舌に当たって
 
不快なままだった。舌の横は赤く腫れ、痛みが続く。
 
 今回だけでなく、この七年ほどの間にブリッジや部分入れ歯の不調のために、舌の左側は
 
何度も傷付き赤く腫れ出血した。私が死ぬときは、きっと舌ガンに違いない。

                         
 
 カンカン照りの夏の日に主治医が替わり、秋が過ぎ冬になっていた。
 
 年内最後の予約の日だ。
 
「これから、どうしたものでしょうね」
 
 主治医にこんなことを言われると、心細くなる。
 
 左側上下のクラウン四本の状態は満足のいくものではない。できれば作り替えて欲しい。
 
だが、三度目を作ってもらっても、同じコンセプトではまた同じようなものしかできないだろう。
 
どうすれば良いのか、部分部分をいじくっているよりも、全体を作ってみたほうが見えてくる
 
かも知れない。とにかく一度、左右上下全部のクラウンや部分入れ歯を一通り作って完成さ
 
せて欲しい。満足に歯が揃ったことがない状態が七年も続いているのだ。ひとまず全部を作
 
てから、不都合があるところに手を入れたほうが巧くいくのではと、素人の私は思っていた。
 
「とりあえずということで、先に進めてくださいませんか。部分入れ歯もまだですし。
 
左側もですが、右側も低いままですし」
 
「そうですね。僕も先へ進めるのが良いと思います。やってみないと分からないですから」
 
 主治医も同じような考えらしい。
 
「でもその前に、次回は、左下の二本続きのクラウンが低いので、まずそれを高くしましょう」
 
「作り替えなくて良いのですか?」
 
「上に金属を積み足します。預かると、ない状態で三週間も我慢してもらわないといけない
 
ので、外してすぐに技工士に渡します。二、三時間待っていただくことになりますが、
 
よろしいですか。その日に、高くしたのを付けますから」
 
 次の予約は年末年始の休み明け一番に取ってくれた。
 
 
 
 それにしても、主治医は面倒見が良いには違いないと思うのだが、つっけんどんな話し方
 
なるのはどうしてだろう。予想以上に手こずるので嫌気がさしたためなのか、それとも技量が
 
足りなくて自信がないからなのか。私にはよく分からない人だった。
 
 
    

襟元に付けたたくさんのバッジが綺麗でした。腰のポシェット、お尻の腰巻きは鹿皮だそうです。
 
                                                      つづく
 
 
 
 
広告
カテゴリー: 健康 パーマリンク

歯科治療9年の苦労ばなし  75  への15件のフィードバック

  1. ポポちゃん より:

    木槌で叩く怖そう、

  2. booo より:

    大護摩法要の写真、緑と木漏れ日が、なぜか衣装?!を浮きだたせてキレイですね!(・∀・)/身につけている物までひとつひとつ丁寧に撮られてて、こうして見ると、とても凝った衣装なんですね!歯の方は、たしかにちょっと不思議な主治医ですね。。。でも、一生懸命な部分はとても感じられるのですが。。。

  3. mako より:

    (^O^)/ ~~ こんばんは♪歯に何かあると、ついつい舌で触ってしまいますねそうすると、舌も痛くなりますよね、解るわかる歯の不快に舌も痛いなんて・・・・・・山伏の装束、細かに見せて頂いて初めて知りました

  4. Misa より:

    こんばんは☆お写真、厳かな雰囲気ですね。衣装もこんな風に見たことがないので、新鮮な感じがします。鹿皮・・・本当だ・・・鹿のもようが見えますね!歯医者さん・・・悪い人ではなさそうだけど、ちょっと患者さんのことを考えてものを言ってもらいたいですよね。せっかくいいお話が続いていたので、すごく残念に感じます(>_<)

  5. Tosh より:

    こんにちは 白い花さん♪ 情けなくなりますねえ・・・。 すご~いピンチピンチの連続! そのような不完全な歯で7年間も過ごしてきたのですか! 美味しいはずの食べ物が全然美味しく感じられないですね。 最初を間違えるとそのようなことになるのですね。 うーーーん。 何かすご~く難しい治療をしているような・・・。 具体的に書かれていても想像できない口の中ですね。 それこそ恐怖体験!? 『恐怖サスペンス』はまだまだ佳境へは入らず、新たな展開が待ち構えているのですね。 

  6. hulala より:

    山伏の衣装はこんな風になっているんだ。ほらがいのカバー? 腰の袋 お尻の鹿皮は使いやすそうですね。山に行ってもあのままどこでも座れるからいいな。

  7. 洋子 より:

    舌の不快感、痛み、どんなに煩わしかったことでしょう・・・主治医も変わった方なのですね・・・よくやってくれているような投げやりなような・・・

  8. ちえみ☆ より:

    おはよ~「神経質ですね」「僕これ以上できません」患者さんには、言ってはいけない言葉の数々。。。酷いですね。。。

  9. さんぽ より:

    こんにちは。大護摩法要のセレモニーはとても立派なのには驚いております。お餅のご利益が今後に反映する事を 心からお祈り申しあげます。患者に不安を残すような言葉は、厳禁ですね~

  10. たんぽぽ より:

    お餅、よかったですね!きっと、いいことが待っていますよ(^_^)

  11. 白い花 より:

    皆様、コメント有り難うございました。大護摩法要は全国的にも珍しいそうです。車で30分くらいのところなので、気楽に見に行けてラッキーです。茶髪のロン毛の先生は、最初は良かったと思ったのに、だんだん雲行きが怪しくなってきました。良い先生だとは思うのですが、インプラントや骨移植という保険外治療が専門で、私のような保険治療の、しかも、ややこしい補綴の患者を扱うのは初めての経験ではないかと思います。木漏れ日の下の撮影が、どれほど難しいか思い知らされました。光量調整が難しくて、シャッター半押しで明るさを調整しながら何枚も撮ったのですが、全然ものになりませんでした。デジカメバカチョンではこれが限界だと夫にぼやきながら200枚以上は撮したのですが、お見せできるのは何枚もありません。”木漏れ日に衣装がきれい”と言っていただいて、嬉しいです!紅白のお餅の御利益が、そろそろ出ると良いのですが。

  12. sakura より:

    できませんと言われても困りますよね…途中まで手をつけたのならどんなことをしても最後までやるのがプロだと思いますが。。そんなに難しい治療ならいっそのこと研究課題として取り扱えばいいですよね。木槌で何度もガンガンやられるのは脳に響いてとても不快だと思います。

  13. 白い花 より:

    木槌で思いっきり歯を叩くので、頭だけでなく、歯や歯茎、顎とすごく響きます。痛いのはもちろんですが、こんなことして、歯の根っこは大丈夫なのかと不安になります。これじゃあ、何回もしていたら歯が揺れてくると、無条件で納得!

  14. 乙女 より:

    考えられないような事が次々起こり・・・(@_@;)投げやりな言葉を患者に言うなんて信じられないわ。益々不安が募り白い花さんのお気持ちお察しします。主治医も悪い人ではないのでしょうが・・・そうなのよねぇ~私も終わってから写真を撮っていなかったことに気付くのが多々あるわ(><‘)

  15. 白い花 より:

    先生も自分の得意な分野ではないので、お困りなのだと思います。つい、イライラして態度に出てしまうのだろうと・・・でも、私としては、そんなことも言っていられなくって・・・

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中