歯科治療9年の苦労ばなし  76 

 
               P1000290
 
  写真は、少し前に夫とドライブに行ったときに撮ったものです。昨年撮影した銀杏の大木
 
もう一度と思って出かけたのですが、すっかり落葉し、しかも工事用の車が葉を踏み荒らし
 
無惨な眺めになっていました。自然の眺めも、天候だけでなく人工の影響やさまざまの偶然
 
左右され、いつも同じ姿は期待できないのですね。何事も出会いなのだと、しみじみ!
 
今回の写真は、別の木です。今年は紅葉も銀杏も、色が赤茶がかっていますよね。
 
 歯の方は7日(月曜日)に診察に行ってきました。歯周科の担当医には慰められましたが
 
補綴科の主治医とは、ちょっとしたバトル・・・!? 私も主治医も疲れて嫌気がさしいるの
 
だと感じました。
 
 今回は、第二章 三人目の主治医 ”4 バラバラ事件” です。これは昨年(2008年)の
 
新年のことです。     
                  
           
 
 
          「歯科巡歴の記―歯科からの帰還」          
 
 
    第二章 三人目の主治医
 
        四  バラバラ事件
 
 
 治療はとりあえず先へ進めることで合意した。しかし、左下の部分入れ歯を作る前に、
 
その爪を引っ掛ける奥横の二本続きのクラウンを高くすることになった。少し低いだけなので
 
作り替えるのではなく、上に薄く金属を盛ることができるらしい。
 
 
 
 新年が来た。正月休み明けの予約の日だ。
 
 午後一時過ぎ、二本続きのクラウンを外してすぐに技工士に渡す。低いのが高く加工されて
 
外来に届くのは四時だと言う。待っていたが、予定の時刻はとっくに過ぎ、ようやく診察室へ
 
案内されたのは五時過ぎだった。
 
「こんなになっていました。技工士が、これくっついてたんですかと聞くんです」
 
「はあ?」
 
 確かにクラウンは高くなっていた。ところが、二本続きだったのにバラバラの二本になって
 
いたのだ。
 
「もともと、このクラウンは一本ずつ別々に作って、あとでくっつけたものらしいんです。
 
それで熱く溶かした金属をクラウンの上に載せたら、高熱で接着面が溶けて外れてしまった
 
と言うんですよ」
 
「はあ……」
 
「今日は、もうやり直しの時間がありません」
 
 クラウンが外来に届くのが遅かったので、技工士は帰っていない。
 
「うまいこといかないものですね……」
 
 いつになく、主治医がしみじみと言った。
 
「……」
 
 私も言葉が出ない。
 
「仕方がないので、このまま付けます。高すぎるので削って低くしましょう」
 
「いえ、結構です」
 
 今までも高いのにはすぐに慣れた。それに、前後左右どの位置で上下の歯を噛み合わせれ
 
ば良いのか自信がない。噛み合わせの位置によって高さが変化するのだ。
 
「でも、やっぱり高すぎますので少し削っておきます」
 
 二本バラバラになったクラウンを嵌めると、その上の歯とは噛み合わせが合っていないよう
 
に感じた。その合っていない状態に合わせて削っているようにも思える。
 
「どうですか? もう少し低くしましょうか?」
 
「いえ、結構です。合っていないような気がしますが良く分かりませんので、このままにして
 
ください。様子を見たいです。削るのは、それからお願いしたいのですが」
 
 ゆっくり落ち着いて自分で確認してからでも遅くはないだろう。削ってしまうと、もとには戻ら
 
ない。
 
「高すぎて痛ければ、救急で対応していただけますか?」
 
「ああ、良いですよ」
 
 装着したのは見覚えのある助手の歯科医だった。以前してもらったことがあるが、上手では
 
なかった。やっぱり手間取っている。嵌め終わった時点で違和感があり、痛みも出た。
 
「いかがですか?」
 
「あのう、もともとクラウン自体が合っていないせいかどうか判りませんが、変な具合に収まっ
 
ているように感じます。たぶん、きちんと嵌っていないので痛みが出たように思うのですが」  
 
 しばらく押し問答のような会話になる。
 
「でも、これだけ話せているから大丈夫です。もし痛ければ救急で来て下さい」
 
「はあ……」 
 
 もしって、すでに痛いのだ。
 
 しかし、診察終了時刻四時を過ぎた五時から診察を始めたので、もう診察室には患者も
 
医者もほとんどいない。主治医もいない。この助手の歯科医にし直してもらっても、時間が
 
かかるばかりで期待はできそうにない。諦めて病院をあとにした。
 
                            
 
 痛いのを我慢したが、三日でどうにもならなくなった。
 
 左首の筋肉まで突っ張って、首がポキッと折れそうだ。いよいよ首を動かすのも大儀になっ
 
てきた。かつて首を捻挫して大変な思いをした経験がある。そうなる前になんとかしてもらわ
 
ければ。救急で対応してくれる約束だ。病院へ電話した。
 
 予約が詰まっていて、救急でも受け付けられないと言うではないか。
 
「それなら、先日入れていただいたクラウンを自分で削りますが、良いですか?」
 
 こうまで言えば、なんとか引き受けてくれるに違いない。
 
「じゃあ、来て下さい。でも一カ月後になります」
 
 そんなあ~! 救急に予約が必要で、それも一カ月後だなんて。
 
 我慢できそうにない。予約は入れてもらったが、自分で削った。クラウンを外して付け直す
 
は自宅ではできない。親知らずと第二大臼歯のクラウンを付けたままで、少しずつ削ること
 
にした。
 
 まず、百円ショップで小さなヤスリを買ってくる。削る前にカチカチと赤い紙を噛んで、鏡に
 
映った歯をじっと睨み付ける。よくよく観察し終えたら、テーブルに鏡を立て、明かりの位置を
 
調節する。照明が悪いのか、赤い色は見えにくい。鏡で見た記憶が頼りだ。ほんの少しだけ
 
ヤスリで擦ったら、歯を噛み合わせて感じを確かめる。 これを何度も繰り返す。二時間近く
 
けた。
 
 その後、何時間か調子を見て同じことを繰り返す。深夜になった。 夫が呆れる。
 
「よう、そんなん自分でやるわ。根気あるなあ」
 
                                            
 やっと、一カ月後の救急予約の日が来た。
 
 苦労の甲斐あって、幸い自分で削った二本のクラウンはちょうど良い高さになって、痛みも
 
消えている。あとは収まりの良いように付け治して、細かいところを調整してくれればと思って
 
いた。三人目の主治医は削ると削りすぎにる傾向がある。頼みたくはないが、細かいところ
 
は自分ではできない。
 
「先生、ほんの少しだけで結構ですので」
 
 念を押したが、やっぱり削りすぎて少し低くなってしまった。頼まなければ良かった。
 
 それでも仕上げに赤い紙を左右に入れてカチカチ噛むと、左側のクラウンは上下噛み合っ
 
当たる部分があった。しかし、右側奥は上下の歯がまったく届いていない。 前々から低い
 
作り直してもらう約束にはなっていたが、状態を分かってもらう良い機会かも知れない。
 
「どうですか?」
 
「左は少し低くなり過ぎのように感じますが、上下が当たっていますし、痛みはありません。
 
でも右の奥歯は上下が届いていませんでしょう?」
 
「僕、左しか見ていませんでした。同時に右まで観察する能力は僕にはありません」
 
「……」
 
 え~! 主治医の言葉に私は絶句した。 もう一度見直す気もないようだ。そのまま次の
 
移った。
                              銀杏
                      
「左のクラウンを被せた第二大臼歯が揺れていますよね。 クラウンの形や高さをきちんと合わ
 
せたりしていたのでは、その間にますます揺れがひどくなって、肝心の歯が抜けてしまうと
 
いうようなことになりかねません。歯があっての物種です」
 
「そんなにすぐに抜けそうですか?」
 
「今すぐというのではありませんが、何度もクラウンを嵌めたり外したりしていると、
 
その刺激で揺れがひどくなります」  
 
 クラウンを外すとき、あんなにガンガン叩くのだ。相当の衝撃になるだろう。七軒目の歯医
 
者も似たようなことを言っていた。外すときは力がかかるだけでなく、熱も出るのでダメージが
 
さらに大きいとも言ったのを思い出す。
 
「だから、このままで、先に二本の部分入れ歯を作った方が良いですよ。
 
それに部分入れ歯を入れれば、その奥の二本のクラウンがバラバラでも第二大臼歯が倒れ
 
てくる心配はなくなります。このままにしましょう」
 
「ええ・・・」
 
 どうして、もっと早くにそう言ってくれなかったのだ。
 
                             
 
「今日、部分入れ歯の型取りをして、次回入れます」
 
 上下歯列全体の歯型を取り、噛み合わせの型も取った。
 
 噛み合わせの型取りは、いつもは下の歯列全体にブルーの柔らかいプラスチックを載せて、
 
上下の歯を噛み合わせていた。
 
 ところがそれだと、歯と歯の間にプラスチックが挟まる。なにもなしに直接上下の歯を噛み
 
わせたときと同じ位置かどうか分からない。少しでも正確にするためなのだろう。
 
このときは上下の歯を先に噛み合わせてから、歯列の側面にそってグルッとプラスチックを
 
張り付けて型を取った
 
「前の歯、噛み合ってますけどね」
 
 プラスチックを張り付ける前に、上下の歯を噛み合わせた状態を見て主治医が言った。
 
 私は診察台に上半身を垂直にして座っている。主治医の視線は上からだから、前歯六本は
 
上下が届いているように見えるのだ。
 
「下から覗き込まないと、上下の歯の隙間は見えないのですが」
 
「ああ」
 
 真ん中から右二本目の一組しか上下の歯は噛み合っていない。すでに何度も説明していた
 
が、信じていなかったのだろう。とにかく観察はして、確かめようとしている。納得すれば
 
適当方針は出してくれるのだろうか。
 
 次回の予約は二週間後になっていた。だが、型取りした部分入れ歯はその日に間に合わな
 
言う。予約は五週間後に繰り延べになった。 
 
 

                  つづく
 
   
 
 
 
 
広告
カテゴリー: 健康 パーマリンク

歯科治療9年の苦労ばなし  76  への20件のフィードバック

  1. Chieko より:

    おはようございます(*^_^*)救急で一カ月後って、驚きました。ご自分で削られたこと、どんな気持ちだったか思うと涙が出そうでした。かみ合わせが上手くいかないとイライラしますよね。

  2. ポポちゃん より:

    自分でヤスリで削る、失敗したら怖そう。

  3. sakura より:

    ご自分で削ったなんてすごいというか驚きです。。そうせざるを得なかったんですよね…救急で観てくれるといっておきながら実際には観てもらえないなんてその場しのぎの返事だったんですね。。なんだか悲しくなりました。

  4. Misa より:

    こんばんは☆技工士さんがやってくれないなら、自分で・・・ホント、そんな風に思っちゃいますよね。でもご自身で実際やられることが、白い花さんの行動力なのでしょうが、本当にこのお話・・一度いい方向に行きかけていたのに、残念でたまりません!もしこのお話が世間の皆さんが知ったら(どこのお医者さんとかも)、大勢のひとたちが治療を別のところに変えそうです。そのくらい影響力があるお話だと思います。たかが歯医者さん、されど歯医者さん。歯の不具合はものすごく日常に関わりますものね・・・それ以上に、治療する側の態度に頭来ます!(>_<)!!!

  5. Misa より:

    追伸です。もんじゃの記事のところにメロンちゃんの写真をupしました!!

  6. Nami より:

    目の前で痛いと言ってるのに。そういうものなんですね。それに、痛いと救急で、見てくれるといったのに、それも、一ヵ月後だなんて・・ちょっと、ひどいですね~。それにしても、ご自分でヤスリでけずれるんですね。すばらしい。白い花さんが歯医者さんになったら、とても、いい先生になりそうな気がします^^

  7. booo より:

    もう現時点では必要ないのかもしれませんが、、、自分で削るのなら、100円ショップのヤスリよりも、ちょっと高価になりますが、爪用のガラス製の物なんかどうでしょうか?あれ、滑らかにもの凄く削れるようです。 ただ、ガラスなので、口の中で割れたら怖いですけど。。。でもおそらくご本人が一番慣れたモノがいいでしょうからね。(゜_゜)ホントに経験不足のような診察、、、プロ意識はあるのかなぁ。。。ないか。。。

  8. Tosh より:

    こんにちは 白い半さん♪ これは昨年のこと!? ということは、『果てしない闘争』、『サスペンス劇場』はまだ続いているのでは・・・? 『上下の歯が噛みあわない』というのは『歯』として作用してないということですよね。 あ~あ、将来僕もそのような苦労をしなければならないのだろうか??? 食べ物がちゃんと食べれるのは歯がちゃんとかみ合っているからなのですよね。 当たり前のことですが、この当たり前のことが『歯科医』に出来ない、とはどういうことでしょうか? 白い花さんの『歯茎』は、これまでの経緯からそうとうダメージを受けておられるのではないでしょうか? とすれば、このサスペンスドラマ、戦慄の恐怖がこれから訪れるのでは・・・。 ブルッ! でも、白い花さんは今いるのだから、果たしてどのようにこの窮地を脱するのでしょうね。 期待と言うよりは、興味津々になってきました。

  9. 阿霞 より:

    とんでもない病院ですね・・・読んでいてびっくりしました

  10. mako より:

    (o^0^)o コンバンワァ♪銀杏まっき色ですね^^きれい自分で削ったなんて凄い!それほど医師が頼りに成らない?救急で1ヶ月後って?救急の意味なしてない~

  11. さんぽ より:

    日本の四季には感謝ですね~イチョウがきれいです。前回のお餅の御利益は無かったようですね。御自分で削ったのは、よほどの事・・・お察しいたします。

  12. 乙女 より:

    その場で痛かったら時間が経てばもっと痛くなるのは目に見えているのに・・・自分で削ったって事は我慢の限界を超えていたのね(><)良い方向に向いていたのに残念だわ。早く歯医者さん通いと縁が切れるように願っています。

  13. たんぽぽ より:

    痛い思いをしてかわいそうです。我慢の連続ですね・・・

  14. 洋子 より:

    イチョウの黄色が圧巻ですね。また歯科医の対応がだいぶあやしくなってきましたね・・・信じられない言葉の連続、驚いてしまいます。

  15. Nami より:

    こんばんは。歯の治療、大変ですね。お写真、素敵ですネ。イチョウ、きれい~。どんぐり(?)もかわいいですネ。

  16. hulala より:

    こんばんはギンナンの実は白い花さんのですか、ずいぶん沢山ありますね。集める時は手袋して踏まないように気をつけなくちゃなりませんね。白い塀に銀杏の黄色がとってもいいですね。

  17. ちえみ☆ より:

    おはよ~何て言うか。。。お医者さんが自信の無い言葉を言うのは???患者さんを不安にさせるのは?どうかと思います。そうでなくとも患者さんは不安なんですもんね。銀杏きれいですね(^O^)/ぎんなん沢山ですよね。こんなに採れるんですね。凄い(*^_^*)

  18. あきな より:

    痛いから治してほしいと思うのに・・・ご自分で削ったと言うことは もう我慢が出来なかったんですね。銀杏の葉、きれいに色づいてます(。◕‿◕。)見頃でしたね!

  19. Tosh より:

    こんにちは 白い花さん♪ 銀杏は、この家の近くの大山祇神社の境内にもありまして、近所の人達がその実を拾いに行きます。 なんと言っても茶碗蒸しに入れた銀杏は美味しくて、僕にとっては『おふくろの味』です。 先週の火曜日以来、喉風邪から鼻風邪をひいていて、ちょっと気力が減退していました。 今日もお昼過ぎまで寝ていました。 でも、仕事は夕方からですから、大丈夫です。 では、また!(^0^)!

  20. 白い花 より:

    皆様、コメントを有り難うございました。こじれた患者を診られる歯科病院の数が少ないので、患者の都合の良いようには、なかなかいかないようです。普通の病気だと、かかりつけの町の開業医、こじれたり難しい病気は大病院や専門病院へというようになっていますよね。でも、歯科はまだまだのようです。町の歯医者の数は多すぎて倒産するところもあるらしいですし、審美歯科のようなところは増えているようなのですが。自分がこうなる前は、私も「歯の治療なんて町の歯医者で事足りる」と思っていたのですものね。治療を始めて9年目でしたから、義歯を自分で細工するのは、もう慣れっこになっていました。冗談に、友人は歯の技工士になれというくらいです。爪と、歯のクラウンや義歯の材料とは堅さが全然違いますので、ガラスのヤスリでは無理だと思います。金属や歯用のプラスチックは、鉄のヤスリなら削れます。ただ、歯の材質とほとんど硬度が変わらないくらいのプラスチックがあって、義歯が磨り減らないように先端に塗ることがあるのですが、それとスプリントのプラスチックは硬くて、鉄ではほとんど太刀打ちできません。ちなみに天然の歯の表面はダイヤモンドと同じくらい硬いとか。銀杏は私のではありません・・・残念ながら・・・大きな銀杏の木のあるお寺さんの境内に、干してありました。あれだけの銀杏の実を掃除するのは大変だったと、頭が下がるのみです。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

w

%s と連携中