歯科治療9年の苦労ばなし  86 

  
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  今日の写真は、歯科から帰りの道すがら撮りました。冬の終わりの景色です。
 
  歯の方は、月曜日の補綴の診察で、部分入れ歯を作り直すために型取りをしました。
 
 これは今のことで、下の話は2008年の出来事です。
 
  今回は、第三章 大学病院から民間病院へ の ”8 振り出しに戻る” です。
 
                
 
            「歯科巡歴の記―歯科からの帰還」                 
 
       第三章  大学病院から民間病院へ
 
            八  振り出しに戻る
 
 
    クラウンや部分入れ歯を削ったためか、状態は急変してどんどん調子が悪くなった。
 
    大学歯科病院歯周科の歯科医が、噛みしめがあると指摘したのは正しかった。まもなく、
 
   噛みしめのためにスプリントが割れてしまったのだ。民間病院の歯科医も驚いた。それなの
 
   に、またクラウンなどを削って、さらに低くした。

 
 
 その後も、またまた、左右上下のクラウンや部分入れ歯を削った。カチカチと上下の歯を
 
噛み合わせるのも、噛みしめもひどくなる一方だ。両奥歯が低過ぎので、食べ物がますま
 
す食べにくい。顎も痛い。筋肉も攣る。
 
 スプリントは姿勢を変えたり、暖かい飲み物を飲んだり、話をしたりしている途中にも、ポロッ
 
と外れた。
 
「こんなに歯が低いと、食べ物も満足に食べられません。カチカチや噛みしめも、いっそう
 
ひどくなりました。顎が痛くて、筋肉も攣って頭痛もします」
 
 私の訴えに、歯科医は笑うのを失敗したような薄ら笑いの顔で答えた。
 
「スプリントを嵌めて丁度の高さに調整してあるのですよ」
 
 えっ! そんな話は初めて聞いた。
 
「一日中ずっと嵌めていてください。食べるときは外して良いですよ」
 
「でも、低いので、歯を噛み合わせようとすると顎関節が痛くて、巧く噛めないのですが」
 
「食べ物を食べているときは歯と歯の間に食べ物が入っています。上下の歯が直接接触する
 
のは瞬間で、何秒もありません。合計しても、わずかな時間です」
 
「えっ!? でも、食べにくいです」
 
「食事中に上下の歯が接触するのは、ほんのわずかな時間ですし、一日中、食事をしている
 
わけではありません。それ以外の生活時間のほうが、ずっと長いのです。食事時に巧く歯が
 
噛み合わずに不愉快なのは、たかだか何秒、一日で何分にもなりません」
 
「はっ!?」
 
「歯は食べ物を噛むだけでなく、それ以外にも大事な役目を果たしています。眠っているとき
 
や様々な生活全体の場面で不都合がないように、調整しなければならないのです」
 
「はあ……」
 
 そうか、歯はものを食べるためだけにあるのではないのか。歯科医の言うことも、納得でき
 
る。だが、食べるのが苦痛で食事が進まず、体重が減ってくるのは、重大なことではないの
 
だろうか。                                                                    
                                                               
            
           歯科からの帰りに高速道路で。 すいていると思ったのですが、 すぐ横を車がビューンと通るのは結構怖い!  
                                                            
「あのう、それと、スプリントが緩くて、すぐに外れるのですが」
 
「ああ、少しくらい緩くても大丈夫ですよ」
 
「えっ!? でも、緩いと却って力が入って、正しい噛み合わせにならないと仰いましたが」
 
「もう、スプリントに慣れたでしょうから、大丈夫です」
 
「でも、話をしている途中にポロッと外れるのは、困るのですが……」
 
「そういうときは、事前に外しておいてください」
 
「はあ……」
 
 緩いと外れやすいばかりでなく、やっぱり力が入ると私は感じていた。だが、歯科医の言葉
 
にそれ以上なんと言って良いのか分からない。
 
 おまけに、奥歯が低くなってからは、スプリントを外すと両頬がこけて見える。正面から見れ
 
それほど目立たないが、少し斜めからだと頬骨の下がえぐられたように凹んで下顎が三角
 
出ているのが、はっきり分かるのだ。奥歯が低いとこんな人相になるのかと、驚くほど
 
った。入れ歯を外した老婆みたいで、外出するのも、友人と食事をするのも億劫になる。
 
早く、なんとかして欲しい。
 
 
 
「もう少し下顎を左にしましょう」
 
 三カ月前に顎の位置は決まったと言ったときよりも、さらに左に下顎が来るようにスプリント
 
を調整した。
 
 その夜、左顎下から首横、舌の左奥の筋肉が突っ張った。痛さのあまりスプリントを外す。
 
外すと、筋肉は元に戻った。

                      
                   我が家の近くにあるコジイやウバメガシなどの照葉樹林。縄文時代からの原生林と言われ、兵庫県の天然記念物。
              大阪から高速を走ってくると、山の感じが変わり、美しい森になります。ああ帰ってきたと、ほっとします。
                        

 この病院へ来る前にはすっかり治っていた顎関節の痛み、首や顎周りの筋肉の痛みも再発
 
していた。
 
「痛みが悪いものだとは限りませんよ。痛いから、それを避けようとして顎をずらしたり、
 
噛み合わせをずらしていたのかも知れません。顎や噛み合わせが正しい位置に戻ったので、
 
また痛みが出ているということもあります」
 
「ああ……」
 
「それに、これまで筋肉は、間違った位置になっていた顎関節に合わせた状態になっていまし 
 
た。顎関節が正しい位置に変わったので、合わなくなって痛みが出たのかも知れません。
 
僕は顎関節を正しい位置に戻しますが、筋肉は知りません。骨の状態に筋肉が付いてくるの
 
ではないですか」
 
「はあ……」
 
 その後も良くなる兆しはない。不安が募る。
 
                                    
                      高速を降りた道沿いで。良いお天気で、葉っぱがキラキラ輝いていました。
 
「噛みしめもですが、歯ぎしりもしているようですね」
 
「えっ! そうですか」
 
「意識して治してください。お昼していることを夜眠っている間に繰り返しているものです。
 
だから、お昼はポカーンと口を開けて、歯を噛み合わせないようにしてください」
 
「はあ……」
 
 また振り出しに戻った。口をポカーンと開けておかないといけないのだ。
 
 カチカチと上下の歯を噛み合わせたり噛みしめたりは、以前にもあったことはあったが、
 
今度ほどひどくはなかった。夜、ベッドに入ると、前歯も奥歯も一斉にカチカチと噛み合わせ
 
まう。無意識ではなく、意識のある状態でしてしまうのだ。意識しても、止めることができ
 
ない。毎晩毎晩、続いた。カチカチというスプリントと歯の噛み合う音を聞きながら、自分自身
 
で噛み合わせの位置を探しているような気がした。噛み合わせの位置はこの病院へ替わる
 
以前の状態に戻ってしまったようだ。
 
「でも、カチカチや噛みしめですが、今までこんな状態になったことはないのですが」
 
「いいえ、今までも、絶対にあったはずです。隠れていたのが出てきただけですよ」
 
 以前はこんなひどいことはなかったと思っていたが、そう言えばスプリントの奥歯のあたり
 
割れたことがあった。
 
「一度割れたことがありますが、そのときの主治医には何も言われなかったので……」
 
「そうでしょう。それがそうだったのですよ。ハハハハー」
 
 歯科医は、そのときの主治医が藪だと言わんばかりに笑って、自信を誇示するかのように
 
付け加えた。 
 
「僕ほど時間をかけて丁寧にスプリントを調整する人は、いないでしょう?」
 
「ええ……」
 
 症状は悪くなる一方だから納得していないのに、歯科医の話を聞いているとなんとなく安心
 
てしまう。穏やかな雰囲気と落ち着いた話し口調は、天性のものなのか。あるいは、長年の
 
経験から身につけた、この人の武器なのだろうか。 

                             昨年3月の写真。杏の木?     

                                                    つづく

                                 

        

 

 

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歯科治療9年の苦労ばなし  86  への13件のフィードバック

  1. ポポちゃん より:

    事前にはずしてたら、外してる間のこと医師考えてないみたいだね

  2. hulala より:

    こんばんはなだらかな斜面の山が落ち着いた雰囲気に撮れていますね。高速は一人で運転なさるのですか。

  3. Misa より:

    こんばんは☆天然記念物の林、昔からの景色と変わっていないのかな…緑はひとをほっとさせてくれますね(^^)「振り出しにもどる」ってタイトルで…うーん…と思いながら拝見し始めたのですが、お医者さまの話術によっては、すごい説得力アリな状況になりますよね…それだけ患者はお医者さまの言うことが絶対に等しいものなのに…

  4. Nami より:

    高速道路で歯医者さんに通われているんですね。地元に戻るとほっとす気持ちがわかるような気がします。自然に囲まれた良い所ですね^^口は昼間していたことを夜無意識にしてしまうんですね。でも、噛みあわせを確認するためにカチカチしてしまうと言うのも、わかるので、昼口をあけておくというのも、これまた、意識しないといけないことですよね。お医者さんの対応ってとても影響力ありますよね。

  5. アカショウビン より:

    患者の痛みを分からない医者が居るというのは、悲しいことですね(T_T)貴重な人生の時間が無駄になっているようで、辛いですね。高速道路の写真、路肩から撮っているように見えるのは、気のせいですよね(^^;山々に常緑樹が多くて、チョッとびっくりです。最近は手を加えられた山が多い中、貴重な自然が残されているのは、素晴らしいことですね(^^)

  6. booo より:

    高速を使って通ってるのは大変ですね。。。( ̄_ ̄;)でも、周りが緑に囲まれたところで気持ちは多少なりとも落ち着きますね。(゜▽゜*)実際にこの医師の口調を聞いていないので何とも言えないですけど、、、どちらにしても、患者の訴えは二の次というのは歯がゆいですね。。。

  7. 阿霞 より:

    綺麗なお花ですね~・・・歯をかみ締めると、歯が欠けてしまいますね奥歯の一部をかけてしまったことがあります

  8. 乙女 より:

    ああ言えばこう言う。飽きれかえっちゃうわ(><)

  9. たんぽぽ より:

    患者を不安にさせないようにしていたのでしょうね。心の中では、焦っていたかも・・・

  10. 洋子 より:

    あれこれと都合の良いように言ってくるものですね、医師は・・・商売だからそうして丸めこんでおかないと、という部分があるのでしょうかね・・・

  11. ちえみ☆ より:

    おはよ~患者さんの痛みがわかるお医者さんってどれぐらい居るんでしょうね。。。早くよくなって安心できるよう祈っています(*^_^*)

  12. Nami より:

    歯の治療って本当に大変なんですね。お医者さんの話し方って、結構心理的影響が大きいですよね。ホント、ああ言えばこう言うって感じですねぇ。一番下のお写真の杏、花が咲いたらきれいでしょうネ。(^^)

  13. 白い花 より:

    皆様、コメントを有り難うございました。優しい言葉に弱かった自分に、”カツ”を入れないといけないみたいです。たぶん、歯科医も内心あせっていたので、色々言ったのだろうと思います。車は脚代わりなので、夫のいる休日以外はいつも一人で運転しています。休日も山中などのややこしい道は夫が運転しますが、高速などの単調な退屈な運転は夫が嫌がり、私になることが多いです。植物は本当に目にも心にも優しいですよね。あの照葉樹林は遠目にも、とても美しいので大好きです。杏?の花の写真をそのうち撮ってきますね。

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