今日の写真も、1か月程前に神戸の裏にドライブに行ったときのものです。杉林に残る低木の紅葉が杉の緑に映えて綺麗でした。歯の方は、紅白のお餅の御利益があったのか、噛み合わせの状態が良い方に変化しているような気がします・・・わかりませんが・・・。思いあたる原因があるのですが、またの機会に説明しますね。歯科の次の予約は来年の1月20日です。また1カ月半ほど向こうですが、年末年始の休みが入るので仕方がありません。なんか慣れっこになったというか、諦めがついたというか、待つのみです。今回は、第二章 三人目の主治医の ”5 でっかい部分入れ歯”。 これは2008年の春のことです。「歯科巡歴の記―歯科からの帰還」第二章 三人目の主治医五 でっかい部分入れ歯左奥の二本続きのクラウンはバラバラになってしまった。だが、隣の部分入れ歯を嵌めれ
ば、奥の歯が倒れてくる心配はなくなるという。クラウンはそのままにして、先に部分入れ歯を作ることになった。五週間後にできてくる予定だ。
五週間後の予約の日が来た。久しぶりで青空に映える山並みを見た。診察室の窓越しに、うっすらと雪化粧をした姿が静かに迫る。今日からは、もとの補綴科の部屋での診察だった。昨年の夏の終わりから病院の改修工事が始まり、この診察室が長らく使えず、他の科でまだ工事にかかっていない部屋や工事の完了した部屋の診察台を借りて、治療が続けられていたのだ。まだ窓の外には外壁を塗るための足場が組まれている。窓越しの山の稜線が美しく連なるのは、もう少し先のことだろう。「部分入れ歯ができました。これなんですがね」「えっ!」主治医が差し出したのは、たった二本続きの部分入れ歯なのに仰々しい。でかい。歯茎を模したピンクのプラスチックの台に白い二本のプラスチックの義歯が嵌め込まれ、両横に一個ずつ隣の歯に引っかける二股の爪のようなものが付いている。そこまでは想像どおりだった。だが、それだけではない。さらに、金属の平たい棒のようなものが中央からニョキッと突き出て、湾曲しながら長く伸びているではないか。デッカイずうたいの棒は左側奥から下唇の内側の下の歯列と舌の間を横断して、右側奥に大きな顔を突き出している。顔の先端は爪状に曲がり、奥歯に引っかけるようになっていた。こんな嵩高い金属をずっと口の中に入れて、我慢できるのだろうか。「嵌めてみてください。我慢できなければ、右に回した長い金属は取るつもりですから」主治医は事務的にさらっと言った。私の愛車パジェロジュニアー。床が高いので山道を行くには最適です。余談ですが、普通車なのに軽のパジェロミニとよく間違われます。違反取り締まりのお巡りさんまで間違ったり。でも高速料金はしっかり普通車。部分入れ歯を嵌めた。「では、義歯の高さの調整をします」左右の歯列に赤い紙を挟み、何度もカチカチと噛む。歯を噛み合わせた状態で赤い紙を引っ張ると、左側の部分入れ歯のほうではなく、右側の赤い紙がスーッと抜けた。主治医は何度も確認してから言った。「右側、上下が噛み合っていませんよね。下のクラウンが低いのですかね?」「はい。以前から何度もそう申し上げました。前の主治医のときですが、矯正科の先生も、低すぎる、なにか理由があってこうしているのでしょうかねと仰いました。救急の他の先生方も、同じようなことを仰いましたし」「カルテには、そんなこと書いてないのです」やっぱり他の歯科医が言っていたとおり、前の主治医のカルテは記録が少なくて治療経過が分からないのだ。それに他の歯科医は口で私に説明してくれても、教授のカルテに否定的なことを書き加えるようなことはしなかったのだろう。「この低い右側のクラウンは教授に五回も作っていただいたのですが、結局、ギブアップだと仰って……」「教授がギブアップなんて、そんなことないでしょう!?」初診のときに詳しく話さず、今さらこんなことを言うのは申し訳ない気がする。「私にはそう仰いました」「教授にできないのが、僕にできると思いますか!」三人目の主治医は初診のときにも同じことを言ったが、今回は謙遜でも建前でもなく本気に聞こえた。私はなにも言わずに、できるというように縦に首を振るしかなかった。できたばかりの左側の部分入れ歯も少し低いので、上にプラスチックを足してくれた。すると、部分入れ歯の前後横の爪を引っかける歯も高さが足りなくなる。入れ歯の両端に庇のような突き出たものを付け足す。プラスチックなので、その場で粘土のように細工ができるのだ。前横の庇を被る歯は健康な歯だから他に手はない。だが、奥横の歯は金属のクラウンをかぶせてあるので、庇の高さ分を足した高さに作り替えることができるはずだ。この庇は応急処置なのだろうか。「この奥のクラウンは作り直していただけるのですか?」「本当に、この庇が要るんでしょうかね」そっけない返事だった。この歯はクラウンの上に金属を足して一度高くしたが、その後また削って低くなっていた。「この薄いプラスチックの庇のままだと、折れずに保ちますか」「さあどうでしょうね。とにかく、試してください」どれほどの強度があるのだろう。これが完成品だとすると、お粗末すぎるではないか。「あのう、この部分入れ歯は仮歯ですよね?」「いえ、仮歯とか思わずに、このままでずっと使ってもどちらでも良いですよ」「はあ!?」このままなんて。誰が見てもオモチャの細工のように見えるだろうに。「あのう、それと部分入れ歯の形ですが、教授からは両側二本ずつの歯に爪を引っかけるとお聞きしていたのですが……」「これが一番標準的な部分入れ歯の形です。年寄りはみんなこれで我慢しているのです!」「でも、もしこれに我慢ができなければ、他にも方法はありますよね?六本続きのブリッジや、両側二本ずつの歯に爪を引っ掛ける部分入れ歯とか」「これを試してください。どうしても駄目なら、右に伸びた金属の棒は切り落とします!」「はい……」帰りぎわに主治医が言った。「あなたの言うことは話ばかりです。誰がこう言ったとか」教授がギブアップだと言ったとか、他の歯科医がこう言ったとか、私がつい余計なことを口走ってしまったために、気分を害したようだ。引き継いだカルテに詳しいことは書かれていなくて、主治医には寝耳に水のことばかりだったのだろう。次回の予約は三週間後ではなかった。助手が説明する。「手術がいっぱいで、週二回だった外来が一日になっているので、予約が取れないのです。次は早くても、一カ月半は向こうになります」「前回は痛くても、救急がなかなか取れませんでした。結局、自分で削りましたが、今度のこの金属の棒は自分でそんなことできません。なんとか予約を早くお願いしたいのですが」「いえ、これで一番早いのです」三週間に一度の予約という約束は、前回から反故になったようだ。原因は、主治医が手術で忙しくなったためらしい。病院の改装工事のために手術室が使えず、手術が溜まっていた。手術室が使えるようになったので、それをこなさなければならない。それと、順番に診察室を改装しているので、医者はいても診察台が足りないのも一因のようだった。「もし痛くなれば、部分入れ歯は次の予約まで外しておいてください」あー! 助手の歯科医は歯の状態が判っていない。そんなことをしたら、奥の歯が前に倒れて、抜けるのに加速がかかるではないか。部分入れ歯を嵌めれば奥歯が倒れる心配がなくなると言って、奥の二本のクラウンはバラバラのままなのだ。「寝るときは外してください。歯磨き粉で部分入れ歯は磨かないでください。柔らかいので、すり減ってしまいます」ポリデントのようなもので消毒する。外したときは乾燥しないように水に浸ける。そうも付け結局、三本脚の部分入れ歯には慣れることはできなかった。口いっぱいに嵩高いものが押し込まれる感じがするのかと予想していたが、それほどの不快感はなかった。しかし、右に伸びる金属の棒が舌の先端や付け根の出っ張った筋、下唇の内側の粘膜などに当たって血豆ができたり、引っ掻き傷ができたりして出血する。痛くて、我慢できない。1カ月半が過ぎた。次の予約の日。「やっぱり駄目ですか。切り落としましょう」主治医は右に伸びた金属の棒を切り落としてくれた。より安定するという三点固定から、両横一本ずつの歯に爪を引っかけるだけの二点固定になった。爪を引っかける歯を両横一本ずつではなく二本ずつにすれば、安定が良くなり、引っ掛ける歯一本ずつへの負担も減ると、前の主治医には説明を受けていた。しかし、ひっかける両横の歯が一本でも二本でも原理的には二本脚の二点固定に変わりはなく、不安定さにたいした違いはないらしい。
右に伸びる金属の棒がなくなり、舌や粘膜の血豆や出血はなくなった。それでも、まだ舌の横が部分入れ歯のピンクの土台や義歯や金属の爪に擦れて痛い。気持ちが悪い。なんとか二カ月耐えたが、それ以上は無理だった。「もう他には調整のしようがないです。我慢するしかないですよ。慣れて下さい」「はあ……」「あなた、前歯一組だけがまず上下噛み合って固定されるので、他の歯が噛み合わないという状態になっているのを、前の主治医に説明しましたか?」「ええ」「たぶん、この一組だけ噛み合っている前歯の上の歯の内側を少し削れば、引っかかりがなくなって他にも上下噛み合う歯が増え、噛み合わせが安定するのではないですかね。そうすれば一気に問題が解決して、やり易くなると思うのですが」「はい、私もそう思います。でも、今、唯一噛み合っているこの歯を削るのは怖いです。良い結果になる保証はありませんから」「もちろん僕も怖くて、そんなことはできません。他の先生も同じだったのでしょうね」「……」「仕方がないですね。あなたに合った義歯を作るというのではなく、あなたがこれに合わせてください。合わないではなく、合わせるのです。良いですね」「努力してみます……」そう返事はしたものの、自信はない。納得もしていない。右側三本も、前の主治医の教授が作った低いままだ。左右ともこのままで我慢しなければならないのだろうか。開業医での大きな仮歯の治療ミスのために歯列が歪み、一組だけが上下届く状態になっている。主治医の言うように、そのためにクラウンや義歯を合わせにくいというのは間違いないだろう。しかし、今の不快な状態は、それだけが原因なのだろうか。それ以外に、単に細工が下手ということも一因のように思う。そして、さらに大きな原因が他にもあると思うのだ。舌の左横がクラウンや義歯に擦れて痛いということは一年ほど前まではなかった。左上の奥歯二本を作り替えて、歯列の内側に入り過ぎの状態になってから始まったことだ。上の歯が内側に入ったので、当然その下のクラウンや義歯も上に合わせて作られ、以前よりも内側に入った状態になっている。それで、口内の空間が狭くなって、舌を伸ばすことができなくなったのではないだろうか。上奥の二本の歯を作り替えたとき、「内側に入り過ぎだから作り替えて欲しい」と頼んだが、「理想的な形だ」と主治医は断言した。しかし、本当にそうなのか。主治医が替わって十カ月、ずっと左側だけの治療で手こずっている。前からの治療の続きをしていると言うよりも、新しい原因を作ってしまって、その為に右往左往しているように私は思うのだ。部分入れ歯やクラウンが合わないせいなのか。顎や首の左側の筋肉が突っ張り、緊張がこめかみまで広がる。頭痛が始まった。
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こんにちは。状況の深刻さの中で、自然の写真が癒しを与えてくれていますね。慣れろと言われても体は正直ですから頭痛や肩こりが出るでしょうね。歯科業界はまだまだ遅れているのでしょうか…整形外科もそうですけどね…どうにかならないものかなぁ。。祈るような気持ちですよ。パジェロが愛車なのですね!山に行くには最適な車だと思います。
「義歯にあなたが合わせてください。合わないではなく合わせるのです。」そんなことが出来るのかしら?ずいぶん無理なことを言う先生なのね(@-@)合わない義歯を長時間つけていたら頭痛もしてくるのが分かるわ。本当にどうにかならないのかしら(><;)
カッコイイ愛車ですね!パジェロジュニアって、普通のパジェロと比較して見ちゃうので、凄く小さく見えてミニと間違えられやすいんでしょうね。。。でも、取り締まりのおまわりさん、ナンバープレート見てないのかな??( ̄_ ̄;)歯の方は、泥沼の中の泥沼に足を入れてしまったような状態ですね。。。いろんな痛みやストレスとの闘い、、、辛いですね。。。
首の具合はいかがですか?頸椎を診断されました?歯も大切ですが首の異常を早く治療してください。益々寒くなる季節です、くれぐれもご自愛ください。
こんばんは☆木立の中の凛とした空気が伝わってくるような素敵なお写真ですね。愛車もカッコイイ!白い花さんのアクティブなイメージにぴったりです(^-^)ところで・・・またまた拝見していて悲しくなってきましたよ・・・肉体的な痛みももちろんですが、心がケガしてしまいそうな冷たい言葉に恐ろしくなります。それがお医者さんの言葉だから余計!!!
開業医の治療ミス、金返してくれないもんね、
こんにちは(●^o^●)愛車、パジェロジュニアなんですね^^ いろんなところ走れるからいいね。林かな? いい景色ですね~。教授がギブアップって、ちょっとどうなの?って思っちゃいました。精神的苦痛がふえるのも辛いですね。
コメント、そしてつながりへの招待を頂きありがとうございましたm(_ _)m私も、先日歯科治療を受けたばかりで、まだ違和感が残っていますが、長年、苦労というより、辛い思いをされているのですね(>_<)パジェロ・・山道には強そうですね^^以前は、かなり車高の低い車に乗っていましたが、雪で何度も立ち往生して、やや車高の高い4駆に変えました。でも、未舗装の道はちょっと勇気がないですね^^;
(^O^)/ ~~ こんばんは♪紅葉の写真素敵ですね、1枚目なんか少し幻想的とさえ思えますなんかありふれてない撮り方で素敵(私はありふれた撮り方しか)歯に合わせてくださいと言われてもね
素敵な車ですね(^-^)痛いのに我慢をしなくてはならないなんて、とても辛いですよね・・・
黄葉が綺麗ですね。水の流れも癒されそうです。それにしても病院側の対応、またもやよろしくありませんね・・・
白い花さんまだまだ困難が続きますね、歯車が一度狂うとなかなか元には戻らないですね。日本の紅葉って、やっぱり良いですね。静けさがつたわってきます。
おはよ~教授の「ギブアップ」には、驚きますね。。。本当に苦労ですよね。患者さんの辛さ解ってほしいですね。
歯の治療は大変そうですが、間に挟まれているお写真が素敵で見入ってしまいました。パジェロ、山道に強そうですネ。
おはようございます 白い花さん♪ 綺麗な紅葉写真が撮れていますね。 こちらは山が急に色づいたと思ってたら、冬に入りました。 『秋』は『暖かい秋』で、過ぎていきました。 ここ3日ほど外は寒いけれど、部屋の中は暖かくて、 ちょっと暖房を入れるとのぼせてしまうくらい、温度調節が難しい・・・。 なるほど・・・。前歯がかみ合っているけど、奥歯が噛みあっていない。 部分入れ歯における最大の難問を抱かえる状態なったのですね。 最初に問題ありき・・・ですね。 これは難しそう・・・。 人事ではない問題です。 僕はまだ前歯1本がブリッジだけですが、将来的には奥歯などは入れ歯になるのでしょうね。 その時、上下左右の噛み合わせがうまくいかなかったら・・・! それを何週間も我慢することを何年も繰り返すなんて、考えただけでも恐ろしい。 この『恐怖体験』は本当にめでたしめでたしのハッピーエンドを迎えるのでしょうか? ドキドキ!
こんばんはあまり人の手が入らない所のようですが紅葉がひっそりとしていて素敵です。
長年の歯科治療は、かなり精神的なストレスの伴う治療ですね。その想いがあるからこそ、ドキュメンタリーとしてブログに記録される熱意は充分伝わってきます。パジェロジュニアは初めて知りました。私はパジェロシリーズは、パジェロとパジェロミニしか知りませんでした。(- -;
冬至も過ぎ、これから益々寒くなります。私も古傷(GOLF中の骨折)が痛みます、水も冷たいのは歯にしみり、もっぱらお湯で(苦笑。寒くなると動きまで鈍くなるように感じるのは歳のせいでしょうか?(゚ロ゚;
皆様、コメント有り難うございました。3人目の主治医は、結構きつい言葉をズケズケというタイプの人なので、私はどっと落ち込みます。で、反応もしやすいというか・・・(良いのか悪いのか???)それに、口で言っていることと、心で思っていることにギャップがあるようでもあり、と言うか、分からないで困っているのを深く考えずに、とりあえずストレートに外に出すというか。単細胞で直球勝負の私には、結局、良く分からないタイプの人です・・・???パジェロジュニアーと軽のパジェロミニとの見かけは、車体は同じで、ボディーの両横に風を制御する出っ張りが付いているだけの違いです。エンジンの大きさは違います。ナンバープレートが黄色ではないので見分けが付くと思うのですが、なんでお巡りさんが間違うのと不思議でした。高速料金所の人が、機械に”普通車”と表示されるのを見て、「これ普通車の料金もらっても、ええの?」と。そう言えば、ミニはよく見かけますが、ジュニアーはあまりみかけませんよね。実は、この車の前はでっかいパジェロに乗っていました。右脚が痛くて松葉杖をつくようになったとき、大きな車を運転するのが辛くなって、この小さいのに変えました。ハンドルの大きさが一回り違うので、初めは変な感じでしたが、ハンドルを回すときの足腰への負担が、ぜんぜん違うので重宝しています。我が家では、私は夫の車のお下がりをいつももらっています。夫は頑固に4駆しか乗りません。このジュニアーは夫のお下がりではなく、私のために中古を買ったのに、普通の乗用車ではなく4駆を見つけてきたのです。夫はランドクルーザーに乗っていますが大きいので、山道や田舎道を走るのには私の車の方が適しています。でも、高速を走るのにはむいていません。床が高いので下から風が入ります。大型のバスやトラックが横を通ると、グラッと車体が揺れます。後ろから来ただけでグラッと来るので、大型車が来たと分かるくらいです。風のある日など横っ飛びして、怖いのなんのって。高速の谷にかかった橋を渡るときは、要注意。もう年だし、安全運転を心掛けています。歯の治療は、最近は持病だと思って付き合うことにしています。ただ部分入れ歯が気持ち悪くて、これを書きながらでも付けたり外したりを繰り返していますが・・・。